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【優勝するのは誰だ】リーガ・エスパニョーラで注目すべき監督に迫る!

2017 8/25 10:07dada
Ernesto Valverde
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帰ってきたレジェンド!ジネディーヌ・ジダンが持つ3つの力

「白い巨人」で愛称で知られるレアル・マドリードCF(以下、マドリード)を率いているのが、ジネディーヌ・ジダン監督(以下、敬称略)だ。

ジダンは現役時代にマドリードでのプレー経験があり、「銀河系軍団」と呼ばれた陣容の一員だった。そのなかでもジダンの存在は飛び抜けて目立っており、いくつもの美しいパスとゴールを量産した。マドリードの躍進に欠かせない存在だった。

そのジダンは現役を退き、監督としてマドリードに戻ってきた。銀河系軍団とは呼ばれないながらも、現在のマドリードにも多くのスター選手が所属している。
前任のラファエル・ベニテス監督は、彼らの手綱を上手く引くことができずあっけなく解任されてしまった。そんな状況下で2015-16シーズンの途中、急遽就任が決まったのがジダンだった。

ジダンはそのシーズンのCLを制すると、2016-17シーズンは所属する多くのスター選手でローテーション制をとり、常に選手が最も良い状態で試合に臨めるように起用をしていった。その甲斐もあり、マドリードはリーグを制覇、CLでは連覇を成し遂げ、世界最高峰のクラブとしての位置付けをより強固なものとした。

クラブと相思相愛の関係を築くジダンは、これからもマドリードの監督として采配を振るうのだろう。
彼にはそれを可能にするだけの采配力、求心力、カリスマ性が備わっている。宿敵であるFCバルセロナ(以下、バルセロナ)やアトレティコ・マドリード(以下、アトレティコ)に対しても、サポーターと一丸となり臆することなく挑む。その瞬間、本拠地であるサンティアゴ・ベルナベウは独特の雰囲気に包まれる。

真価が試される新監督!エルネスト・バルベルデとは

2017-18シーズンよりバルセロナの監督を務めることになったのが、エルネスト・バルベルデ監督(以下、敬称略)だ。

バルベルデは、バルセロナ就任以前にアスレティック・ビルバオ(以下、ビルバオ)の監督を4年間務めていた。
ビルバオは「バスク純血主義」を掲げるクラブで、常に限られた選手たちで構成される独特なクラブだ。バルベルデはこのビルバオに2013-14に就任しているのだが、これは2回目のことであった。
2回目の指揮でバルベルデは真価を発揮した。中盤にはムニアイン選手、イトゥラスペ選手らゲームメイクに優れる選手を置き、トップにはアリツ・アドゥリス選手、フェルナンド・ジョレンテ選手といった空中戦に絶対の自信を持つ選手を配置した。

結果、2013-14シーズンからの4年間で、リーグ4位、7位、5位、7位と、度重なる1桁台でのフィニッシュに成功し、それまで中位以下でのフィニッシュが当たり前だったビルバオを強豪に押し上げた。

また、バルベルデは出場試合数は限られるものの、現役時代にバルセロナでのプレー経験もある。こういった彼の手腕とキャリアを評価し、バルセロナは彼を招聘したのだろう。

バルセロナには前述のマドリード同様に多くのスター選手がいる。前任のルイス・エンリケ監督は縦に速いバルセロナを作り上げ退任した。バルベルデはこのエンリケの遺産を活かしつつも、持ち味である巧みな選手起用を行っていくことだろう。

2016-17シーズンのバルセロナは、タイトルにあまり恵まれなかった。このような事態はバルセロナにあってはならない。バルベルデに課せられた使命は就任1年目から大変大きなものだが、これを達成しないわけにはいかないだろう。世界中のサッカーファンが彼の力に注目している。

チョリスモの戦術は昔も今も、ディエゴ・シメオネとアトレティコ

マドリードとバルセロナに次ぐ、リーガ・エスパニョーラ屈指の強豪アトレティコ。
ディエゴ・シメオネ監督(以下、敬称略)が就任する2011年12月以前は、得点はできても守備が甘く惜しいところで勝利を逃すような試合が散見されていた。

そのアトレティコを変えたのが、シメオネの「チョリスモ」と呼ばれる戦術だった。
チョリスモにおいては、どの選手もハードワークが求められる。DF、MF、FWの区別などない。相手選手がボールを持てば、全員で襲いかかるような勢いでプレスをかけボールを奪う。そしてボールを奪った瞬間に前線にいるFWにボールを託してゴールを狙う。
このスタイルは、現役時代にアトレティコでプレーしていたシメオネの姿そのものだ。

アトレティコはシメオネとともに、タイトルを当たり前のように狙えるだけのクラブへと成長した。特に2013-14シーズンに達成された、18年振りのリーグタイトル獲得とCLでの準優勝は、彼とアトレティコの関係を一層強固なものにした。

しかし2015-17シーズンの2年間は無冠に終わり、2017年の夏には補強禁止処分を受けているアトレティコ。シメオネの去就にもわずかながら黄色信号が灯りつつあるが、果たしてどうなるのだろうか。

セビージャは苦難のシーズンを迎える?エドゥアルド・ペリッソ

セビージャFC(以下、セビージャ)は、2017-18シーズンよりエドゥアルド・ペリッソ監督(以下、敬称略)が監督に就任する。
ペリッソはそれまでにセルタ・デ・ビーゴ(以下、セルタ)の指揮をとっていた。
セルタは長らく好成績を残していないクラブだが、ペリッソは2016-17シーズンのセルタをELでベスト4入りに導いた。

しかも、セルタはペリッソの下でバルセロナ相手に4-1で圧勝した経験があり、戦力的にはるかに上回る相手にも引けを取らない戦いを見せる。
常にハイプレスをしかけ、スター選手の自由を奪うことが得意だ。
セビージャは2013-15シーズンのEL連覇などを達成している一方で、ビトーロ選手、イボーラ選手ら主力の流出も起こっている。

ペリッソには限られた選手を巧みに操り、マドリードやバルセロナら強豪と渡り合っていくことが求められる。

バレンシアは本当に新時代を迎えたのか?マルセリーノの憂鬱

2017-18シーズンよりバレンシアCF(以下、バレンシア)の指揮をとるマルセリーノ・ガルシア・トラル監督(以下、敬称略)は、非常に難しい状況に置かれている。

バレンシアは、2014年5月にシンガポール人の実業家であるピーター・リム氏の下で多額の資金を得ることに成功した。その資金で積極的な補強に出るが、国内のリーグ戦でも国外のELおよびCLでも全くと言っていいほど結果が出ていない。
さらには、アンドレ・ゴメス選手やパコ・アルカセル選手ら主力の流出は留まることを知らず、監督の就任と退任が頻繁に起こっている。

この不安定な状況下でマルセリーノはどうバレンシアを変えていくのだろうか。
マルセリーノは就任会見において、「変革だって?私はその言葉が嫌いなんだ。分析をしっかりと行い、不足しているポジションを見つけ解決策を練り、ミスを最小限に抑えていくつもりだ。変化を起こすことに異論はないが、魔法の杖があるわけじゃないんだ。選手たちに覚悟と野心を植え付けるために、メンバーの大幅な入れ替えを図るつもりだ」と抱負を語った。

マルセリーノの憂鬱はまだ続くかもしれない。しかし、この憂鬱がバレンシアに立ち込める暗雲を晴らすだけの原動力になる可能性だってあるだろう。