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弱小だったレスター・シティが奇跡の優勝を果たせた理由

2016 8/13 15:01
フィールドにサッカーボール
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走りよく尽くす選手たち

まず始めにヴァーディやマフレズを筆頭に、各選手がベストを出し切ったことが第一に挙げられる。

よく走るレスターの選手だが、特に守備面でよく走る。危ういと感じれば、前線の選手でも下がり、相手のバックラインにプレスをかけ続ける。そこで生じた緩みに、今季中盤で躍動した仏代表カンテがボールを絡めとりに行く。

カンテは169cmと小柄ながらファールをとられることなくボールを奪取し、そのままスルスル攻め上がり、素早く前線にボールを託すこともできる。

つまり、守備から攻撃へのトランジションが非常に早いことが勝利に繋がる大きな要因となっている。

ドッカンクリアで仕切り直し

「自分たちは決して技術が特別高い選手の集まりではない」と選手が謙虚な姿勢を保ち続けたことも、勝利を導いた理由のひとつと言えるだろう。

敵に攻め込まれた際、ロングボールで早々にクリアすることを俗に「ドッカンクリア」という。プレミアにはゴールを奪うことに長けた選手が非常に多いため、深く攻め込まれた時点で得点を易々決められることもしばしば……。そのため、技術に頼る細々した精緻なパスで相手の攻めをけん制しようとすると、自チームのゴール付近が危うくなる。

だが、この状況を予測していたレスターの選手は、「ドッカンクリアで仕切り直せばOK」考え、シーズンを通して継続した。

ラニエリと選手との信頼関係

現地では、ラニエリは謙虚であり、優しさに満ちた監督だと評されている。シーズン開始当初、選手には「味方のためにプレーするんだ。自分たちが小さなチームであるのはわかっている。ただ、大事なのは戦う相手がどこかではなく、如何に自分たちが強いチームであるかを示さなくてはならない」と伝えた。

レスターが小さなクラブということをきちんと認識していたラニエリは、勝利にこだわるより先に強い姿勢を見せることが重要だと選手に説き続けたのだ。そのおかげで、選手はのびのびと持ち味を出していけたのかもしれない。

レスターの優勝の背景には、ブレイクを果たした選手を筆頭に各々がベストを出し切ったことにある。選手はラニエリの言葉を胸に、小さいながらも自分たちが強い気持ちで戦うチームであることをハングリーに示し続けた。レスターの奇跡の優勝はプレミアリーグ史にしっかりと刻み込まれ、今後も同様の奇跡を達成しようとするクラブも現れるはず。こうしてプレミアリーグはまた、魅力的なリーグであり続けるのだ。