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サッカー界を揺るがした超新星!ポール・ポグバとは

2017 5/17 09:55dada
pogba
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120億円の男、ポール・ポグバ

ポール・ポグバ選手は、2016−17シーズン夏の移籍市場でユヴェントスFC(以下、ユヴェントス)からマンチェスター・ユナイテッドFC(以下、ユナイテッド)に移籍。この時の移籍金は約120億円とされ、前代未聞の大事件となった。

サッカー界の移籍市場でやり取りされる移籍金や契約金は、年々高騰しつつある。このことにはASローマのレジェンドであるフランチェスコ・トッティ選手が「最近の選手は金ばかりだ」との発言をしたことでも話題になった。

そのことを踏まえるとポグバ選手の移籍も、多額の金銭によってもたらされたとみるのも普通だ。
しかし、ポグバ選手のクオリティを考えれば当然ことであり、またユヴェントスでスタメンに定着していることを思えば、他クラブに移籍させるには莫大な移籍金がかかってしかるべきだ。ユヴェントスはセリエAで連覇を続けているし、CLのタイトルだって毎シーズンのように狙っている。

ポグバ選手を引き抜かれることはクラブの大きな損失となるから、「せめて置き土産(多額の移籍金)だけでも置いて行ってくれ」と思うはずだ。

サー・アレックス・ファーガソンの功罪

ユナイテッドにおいて、サー・アレックス・ファーガソン監督の功績は伝説となっている。個性の強い選手たちを束ね、多くのタイトルを獲得し27年間ユナイテッドを指揮し続けた。ファーガソン監督は間違いなく歴史に残る監督だ。

ただ、ポグバ選手はユヴェントス在籍前にはユナイテッドに所属していた。ユナイテッドではトップチームでの出場機会が思うように与えられなかった。しまいには、問題行動を起こすようになりファーガソン監督でさえ手懐けられなかったという。

結局、ユナイテッドはポグバ選手をフリーでユヴェントスに放出。そのため約120円の移籍金による買い戻しを「払い過ぎ」、「フリーで放出したのに馬鹿らしい」と非難する声も噴出した。
さらには、「ファーガソンが放出を認めたのがいけなかったんだ」とする声もあった。

しかし、選手のブレイクや価値の向上というのは、どんな名将でも100%読み切ることは不可能だ。ブレイクのきっかけにしても、ポジションを変えたことや練習メニューを変えたこと、クラブを変えたこと、役職を与えられたこと(キャプテン、副キャプテン等)など、多岐にわたる。 もちろん、何をしたって芽が出ないまま終わっていく選手も存在する。
そんな中、ポグバ選手はクラブを移籍したことで大ブレイクした。ユナイテッド所属時には全くそんな兆候を見せさえしていなかったのに、だ。これはもうどうしようもない。

アンカーとしてのポグバは失敗?

ユナイテッド移籍当初、モウリーニョ監督はポグバ選手を中盤の底(アンカー)に近い位置でプレーさせることが多かったようだ。ポグバ選手は中盤ならどこでもプレーできるが、アンカーというのは少し後ろ過ぎたようで試合に絡むことが全くできずにいた。

アンカーとして相手選手にプレスをかけにいけば、持ち前のフィジカルで圧倒できることが多い。ただ、集中力が続かないのか、試合の終盤になると粗さが目立つようになり突破を許すことも多くなった。ユヴェントス在籍時にも中盤の後ろの方が定位置ではあったが、そのポジショニングは極めてフリーに近く、機を見て前に走り得点に絡むシーンが多かったように思える。

それがユナイテッドで再現することはできなかったようだ。アンカーは後ろ過ぎた。

トップ下としてのポグバは成功?

そこでモウリーニョ監督はポグバ選手の定位置をトップ下に変更。トップ下にはアンデル・エレーラ選手やクラブの象徴ウェイン・ルーニー選手がいる。結果としてルーニー選手はベンチに追いやられる試合が増えるようになる。メディア対応に厳しく我が道を行くモウリーニョ監督でさえ、120億円もの金額で獲得したポグバ選手をトップ下で使わないわけにはいかなかったのだろう。

ただ、アンカーの位置よりもプレー位置が前になったことで、ポグバ選手は徐々に影響力を高めるようになった。ボールを受けるとドリブルで運ぶこともできるようになったし、ポストプレーを活かして味方を上手く使うことや豪快なミドルシュートも狙うようになった。ポジションを変えたことで水を得た魚のごとく、ピッチで躍動し始めた。

それでも120億円の価値を発揮しきるには至っていない。ボールを足元に収めるだけでなく、直接的にゴールに絡む動きが求められるだろう。ポグバ選手ほどであればリーグ戦年間で10〜15ゴール、アシストも10近くは狙いたいところだ。

未来のバロンドール最有力候補?

ポグバ選手は将来的にバロンドールを獲得することが有力視されている。1993年生まれと若いだが、彼ほどクオリティの高い選手はそう多くはない。ユナイテッドの象徴としての成長も期待され、世界有数の名選手だ。

しかし、バロンドールの候補には有力だとしても、実際にバロンドールを獲得するのはおそらく難しいだろう。
というのも、2008年以降のバロンドールはリオネル・メッシ選手とクリスティアーノ・ロナウド選手ら大量得点を挙げるFWで占められており、ポグバ選手が彼らほど得点できるとは思えないからだ。これはモウリーニョ監督も同様のことをコメントしている。

メッシ選手ら以前には、2007年にファビオ・カンナバーロ選手がディフェンダーとしてバロンドールを獲得している。しかし、それ以前も以後も、基本的にバロンドールで最も加味されるのは得点力だ。やはり得点は評価として目立つし、これは仕方ない部分もある。

バロンドールが選手の価値を決めるわけではないし、点を決められる選手が一番偉いということでもない。バロンドール獲得の指標がガラリと変わることはないだろうから、サッカーファンそれぞれがポグバ選手の価値を見極められると良い。

番外編!お茶目なポグバ

ポグバ選手は「DABポーズ」というセレブレーションでも有名だ。片手を顔の前に、もう一つの片手を空、もしくは自身の後方にへ突き出すあのポーズだ。このポーズの起源には諸説あるが、広く知れ渡るきっかけになったのはヒップホップダンスの振り付けからなのだそうだ。
ポグバ選手が得点した際には、このポーズをセレブレーションとして披露するはずなのでぜひ観察してみてください。ちなみにSNS等では同僚のジェシー・リンガード選手らとの即興ダンスを披露していることもある。

また、ポグバ選手は奇抜なヘアースタイルでも有名だ。過去にはヒョウ柄の剃り込みを入れたり、あの『ポケモン』のモンスターボールを模したものまで披露していた。

サッカー選手なのでプレーに意識を集中してもらいたいところではあるが、ポグバ選手のようなお茶目な選手がいるのもとても面白い。ピッチ内外で目立つ彼に期待したいところだ。