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世界が認めるWBの現役選手!プレースタイルとクラブでの役割とは

2017 4/12 20:20dada
victor moses
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待ち望んだシーズン到来!ビクター・モーゼス

ビクター・モーゼス選手は、チェルシーFC(以下、チェルシー)に所属しているWBの選手だ。
故郷はナイジェリアだが、幼い頃の凄惨な事件により両親を失い渡英する。以後はウィガン・アスレティックFCに所属し、2012年にチェルシーへ移籍。そこからいくつかのプレミアリーグのクラブをレンタルで渡り歩き、2016?17シーズンからチェルシーに復帰した。
これまで、復帰してもシーズンが始まる毎に他のクラブにレンタルされるため、「彼がチェルシーでプレーすることはもうない」というのが大方の見方だった。しかし、アントニオ・コンテ監督は彼を戦力として計上、新しく導入したコンテ式3バックでWBを任されるようになる。
モーゼス選手は元々サイドミッドフィルダーやウィンガーとしてプレーする選手だ。豊富な運動量で何度も攻め上がることを持ち味としていた。WBを任されるようになってからは、その活動領域を少し下げ、守備にも参加するようになる。持ち味であった豊富な運動量は相手のサイド攻撃に食らいつくための力に生まれ変わり、チェルシーに欠かせない選手の1人となった。
2016?17シーズンは、多くの苦難を乗り越えた彼が報われた、待望のシーズンだ。

無名のWBは頂点を目指す!マルコス・アロンソ

マルコス・アロンソ選手は前項のモーゼス選手と同じくチェルシーに所属するWBだ。2016?17シーズンからチェルシーに移籍し、これまたモーゼス選手と同じくコンテ式3バックの導入でWBを務めるようになった。 アロンソ選手の持ち味は、スピードと他の選手との相互理解能力の高さにある。
アロンソ選手の少し前のポジションには優れた攻撃力を発揮するエデン・アザール選手がいる。アザール選手は攻撃のためにスタミナを温存したいと考える選手で、守備のタスクをあまり背負いたくはないようだ。モウリーニョ監督の第二次政権では、守備もこなすようになったが、2015?16シーズンでついにパンクする。守備に対する負担が増え、負傷が重なり、攻撃が機能しなくなったのだ。
ここで登場するのがアロンソ選手だ。 彼は前述のアザール選手が攻撃参加する機会を増やすべく、アザール選手がカバーしきれないスペースを素早く埋めることができる。アザール選手がどこに行きたいかを予測し、前もって守備に入ったり、パスの受け渡しを担当したりする。アロンソ選手が担う役割なくして、アザール選手の攻撃はあり得ない。
もちろん守備と攻撃の両方が上手く機能している時には、アロンソ選手も持ち前のスピードを活かし果敢に攻撃参加を行う。
アロンソ選手は、これまでサッカー界全体では無名の選手だった。ただその風潮はチェルシー移籍で大きく変わり、彼の名は一躍高まった。2016?17シーズン絶好調のチェルシーのタイトル獲得に向け、アロンソ選手も走り続ける。

舞台変更後も抜群の攻撃力!ダニエウ・アウヴェス

ダニエウ・アウヴェスはスペインの名門FCバルセロナ(以下、バルセロナ)で長年活躍してきた選手だ。バルセロナでは右SBとして不動のレギュラーで、彼以外の選択肢はあり得ないほどだった。 2016?17シーズンからは活躍の場をバルセロナからユヴェントスFC(以下、ユヴェントス)に移す。ユヴェントスでは3バックシステムを基本とし、両翼にはWBを置く。
アウヴェス選手は守備への貢献よりは攻撃への参加を得意とする選手だ。素早い駆け上がりとドリブル技術により、味方のサイドアタッカーをも抜いて前線に飛び出すことができる。シュート技術、威力にも定評があり、シャドーストライカーとしても機能する。
ユヴェントスではWBを置いても、その前にサイドアタッカーは置かない。そのため、やはりアウヴェス選手の攻撃参加は1つの攻撃パターンとして必要不可欠だ。
イタリアのサッカーは堅固な守備として有名だが、スペインからやってきたこの攻撃的WBであれば突破も容易いだろう。

伝説の再来か?!アレックス・サンドロ

ブラジル代表ではロベルト・カルロス選手が偉大な左SBとして非常に有名だ。スピード、パワー、テクニック、その全てに優れる彼は多くの選手にとっても伝説的な存在だ。
前項のアウヴェス選手と同じく、ユヴェントスで活躍するアレックス・サンドロ選手は、その伝説的左SBの後継者として活躍を続けている。
サンドロ選手は足元が抜群に安定しており、上半身が少々ぶれていても強烈なシュートを放つことができる。ドゥンガ元ブラジル代表監督もサンドロ選手を高く評価しており、「ロベルト・カルロスを思い起こさせる部分がある」としている。
セリエAのタイトル獲得、CL出場の常連であるユヴェントスで活躍を続けていくことができれば、サンドロ選手もその名を歴史に遺すことができるだろう。

インテルの最古参でフロント入りも?!長友佑都

インテルナツィオナーレ・ミラノ(以下、インテル)に所属する長友佑都選手は、2016?17シーズン時点でインテルの最古参として活躍を続けている。 かつてのインテルは、ディエゴ・ミリート選手、エステバン・カンビアッソ選手、ヴェスレイ・スナイデル選手らが所属しセリエAの強豪クラブだった。
そんなインテルも会長の交代や財政状況の変化により、かつての栄光は遠いものとなりつつある。 長友佑都選手はインテルの2011年からインテルの良い時代も悪い時代も見守ってきた。チームメイトのなかでは最古参となり、主将としてキャプテンを務めることもある。
インテル移籍後の初ゴールで披露したお辞儀のセレブレーションは一躍話題となり、インテルの下部組織の選手にまで定着しているようだ。
ポジションはWBおよびSBで、豊富な運動量を持ち味とした上下動、正確で速いクロスが持ち味だ。インテルの最前線にはマウロ・イカルディ選手がおり、長友選手のクロスを起点にターゲットマンとして機能している。
長友選手の実直さとプレーへの熱意は、今や世界の多くの人が知り得るところとなり、引退後にはインテルのフロント入りまで騒がれるようになった。長友選手はサッカースクールの開設や、トレーニング術を書籍化するなど多方面にわたって活躍している。これらの活動がインテルのフロント入り、そしてコーチングスタッフとしての働きに良い影響を与えてくれるのではないだろうか。
今回紹介したWBの選手たちは、いずれも攻撃と守備の双方に優れている選手だ。彼らの駆け上がりと守備への貢献には目を見張るものがあり、もっと評価されるべきポジションと言えるだろう。彼ら縁の下の力持ちがいることで、前線の選手は輝くことができる。