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内田篤人所属!王者の青・シャルケ04を徹底解説

2017 4/12 20:20dada
シャルケ04
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Ⓒゲッティイメージズ

王者の青、シャルケの概要に迫る!

シャルケ04(以下、シャルケ)は、「王者の青」の愛称で親しまれるブンデスリーガ屈指の強豪クラブだ。 日本の内田篤人選手も所属していることから、日本のサッカーファンの間でもその名を知っている方も多いのではないだろうか。
1904年に発足したシャルケはエンブレムに「S」と「04」のデザインを配し、ブンデスリーガの前身であるドイツ・サッカー選手権では7度タイトルを獲得している。
赤のユニフォームでお馴染みのFCバイエルン・ミュンヘン、黄色のユニフォームでお馴染みのボルシア・ドルトムントらとは、毎年のようにタイトルを争っており、宿敵とも呼べる間柄だ。観客動員数やクラブ収入の面においても、この2クラブを追うような数値となっており、サポーター間の緊張感にはひとしおのものがある。

優秀な選手たちが生まれるクラブ

シャルケには優れた育成組織があり、毎年のように優秀な選手たちが誕生することでも有名だ。
2016?17シーズンにマンチェスター・シティFCに所属することになったレロイ・ザネ選手や、パリ・サンジェルマンFCのユリアン・ドラクスラー選手はいずれもシャルケのユース出身の選手だ。このユースは「クナッペン・シュミーデ」と呼ばれ、国内でも評価の高い組織だ。
細かに組まれた育成カリキュラムに加えて、義務教育面においても本拠地フェルティンス・アレーナの近くの学校と一緒になって若い選手たちを育てていく。 現在のトップチームにも、主将のDFベネディクト・ヘーヴェデス選手やMFマックス・マイアー選手、GKラルフ・フェールマン選手など、シャルケのユース出身の豪華なメンツが揃っている。

偉大なFWの系譜!ラウール・ゴンザレスとシャルケ

シャルケにはこれまで偉大なFWがやってきている。スペインの至宝ことラウール・ゴンザレス選手もその1人だ。
彼は2年間シャルケに在籍し、66試合に出場し28得点を記録。当時すでに30代を迎えていたラウール選手だったが、並外れた得点感覚によりシャルケでもストライカーとして活躍することに成功した。
2年契約後は家族との時間を優先したラウール選手と契約の延長が叶わず、退団が決定する。しかし、シャルケ側は背番号7を永久欠番扱いとし、彼を栄誉とともに送り出した。※のちに7番はマックス・マイアー選手が引き継ぐ。

ドリブルのキーマン!マックス・マイアー

シャルケにおいて、トップクラスのドリブラーとして知られるのがマックス・マイアー選手だ。ドイツ代表としても着々と出場試合数を重ねる彼は、小刻みなドリブルを持ち味としている。背番号は前項のラウール選手が付けていた7番だ。
ユース時代には15試合中11得点11アシストを記録し、自身の優れた得点感覚と味方との連携の質の高さを披露する。この活躍がきっかけでシャルケのGMの目に留まり、トップチームに昇格する。
以後も彼はシャルケの中盤でプレーし、ボールを受けるとすぐさまドリブルを開始し、機を見て鋭いパスを通している。プレースタイルのイメージとしては、アンドレス・イニエスタ選手やマリオ・ゲッツェ選手に近いものがあるかもしれない。高いドリブル技術はフットサル仕込みだそうだ。
ボールを持たせれば何らかのアクションを起こせるため、攻撃時にサポーターが寄せる視線には熱いものがある。

パス回しのキーマン!ヨハネス・ガイス

シャルケの中盤の底でプレーする、ヨハネス・ガイス選手はシャルケにおけるパス回しのキーマンだ。ショートパスもロングパスも精度が高く、緩急をつけることができ、味方の攻撃を促進させることに一役も二役も買っている。
ドイツのU代表の各年代でも経験しているエリートで、そのパスセンスには年々磨きがかかっている。 さらにはFKの名手でも知られ、鋭く曲がるボールを蹴ることができる。セットプレー時には間違いなく頼りになる選手だ。

ブレイク間違いなし!ブレール・エンボロ

シャルケが保有する選手のうち、間違いなくブレイクするであろう選手がブレール・エンボロ選手だ。 2016?17シーズン夏の市場でクラブ史上最高額の約23億円で、FCバーゼルからシャルケに加入した。
エンボロ選手は優れたフィジカルにスピードを兼ね備えた選手で、前に走り出せば簡単に倒れない選手だ。その上破壊力抜群のシュートを叩きこむこともあれば、相手DFを突破して落ち着いてコントロールシュートを決めることもできる。1997年生まれと若い彼だが、ゴール前での落ち着きはベテラン選手に全く劣らない。
育成に定評のあるシャルケでのプレーは、今後の彼のキャリアを鑑みればベストの選択と言えるだろう。当たりの強さからプレミアリーグでプレーできるともされていたが、そこで負傷してしまえば元も子もなくなる。今の彼に必要なのは無理をすることではなく、欧州の5大リーグで出場機会を積むことだろう。

内田篤人はなぜシャルケで愛されるのか

シャルケに所属する右SB内田篤人選手は、度重なる故障に悩まされている。 彼の持ち味である右足から繰り出される、高精度のアーリークロスはシャルケに多くの攻撃チャンスをもたらすが、同時に大きなダメージにもなっているようだ。太もも裏の肉離れや膝蓋腱の負傷はいずれもクロスの際に使う右足の負傷だ。
それでも内田選手は素早い攻め上がりを繰り返し、チームに欠かせない選手になった。彼の微笑みは国を超えてドイツの地でも愛されている。本人はあまり好きではないようだが、愛称はドイツの女性を指す「ウシ」だ。ピッチに内田選手が立つと、サポーターは大声でこの愛称を叫ぶ。日本のTVでもこのシーンはよく放映されている。
シャルケでの出場機会は減っているが、放出の噂もあまり聞かない。それはこれまでのシャルケへの貢献度にフロントとサポーターが感謝していることの表れでもあり、選手を大事に育ててきたシャルケの気運にもよるのかもしれない。

シャルケがブンデスリーガを制覇するために必要なもの

シャルケは宿敵であるFCバイエルン・ミュンヘンやボルシア・ドルトムントに比べると、どうしてもタイトルが遠い印象を受ける。
そんなシャルケが今後タイトル獲得をするには、「スターを放出しないこと」がポイントとなるだろう。シャルケは優れた下部組織により、有望な選手を輩出する仕組みは整っている。しかし、育った選手を他クラブの放出する傾向があり、思うように勝ち点を積み上げられていないように思える。冒頭でも取り上げたレロイ・ザネ選手やユリアン・ドラクスラー選手は、いずれも前線の選手で得点力にも優れていた。
やはり自クラブで育てた有望な選手、特に点を挙げられる選手を放出することはもったいないように思える。もちろん、運営資金の捻出も目的の一つにあるのだろうが…。 マックス・マイアー選手やヨハネス・ガイス選手、ブレール・エンボロ選手など、若い選手たちがシャルケでさらに才能を開花させ、残留してくれることを祈るばかりだ。