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機は熟すか?古豪サウサンプトンの2016-2017シーズン展望

2017 1/25 10:28
サウサンプトンFC
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Photo by Fabrizio Andrea Bertani/ Shutterstock, Inc.

イングランド・プレミアリーグに所属する古豪サウサンプトンFC。 数々の苦難を乗り越えてプレミアの舞台に復帰、その5年目にあたる今シーズンでセインツは躍進を果たせるのか? 古豪の機が熟す可能性を解説していきます。

サウサンプトンが古豪たる所以

1885年に「St. Mary's Y.M.A.」の名称で創設されたサウサンプトンFC(愛称:セインツ)は、1978-79シーズンから2004-05シーズンまでの27年間をトップリーグで戦い続けた古豪として知られています。その間のリーグ最高位は2位、FAカップでは2002-03シーズンに準優勝を飾っています。
しかし、トップディビジョンでの優勝となると、2部リーグに所属していた1976年のFAカップ1度のみ。チームとして伝統を持ちながらタイトルに縁がないことが、セインツを「古豪」止まりにさせている最も大きな理由でしょう。

優れた選手育成と財政難

サウサンプトンのアカデミー(育成組織)出身者には、大成してビッグチームのメンバーとなった選手が多数存在します。
アーセナルに所属するテオ・ウォルコット選手やアレックス・オックスレイド=チェンバレン選手、レアル・マドリードのガレス・ベイル選手などが今も現役で活躍しており、過去にはウェイン・ブリッジ選手やアラン・シアラー選手といったスターも生み出しました。
しかし、セインツはクラブの財政難を抱えてこれらの選手を放出、さらには運営会社が破産してしまったことでリーグから勝ち点を剥奪され、一時は3部まで降格するなど、2012-13シーズンにプレミア復帰を果たすまでは幾多の苦難も味わってきました。

現在のサウサンプトンを支える主な選手たち

2016-17シーズンを戦うサウサンプトンには、各国の有力選手が名を連ねています。GKには201cmの身長を誇るイングランド代表のフレイザー・フォスター選手、CBにはポルトガル代表のジョゼ・フォンテ選手と、前監督のロナルド・クーマン氏が呼び込んだフィルジル・ファン・ダイク選手。この3人の秀逸な働きによってセインツは高い守備力を発揮しています。
中盤ではFCバルセロナやチェルシーにも所属したオリオル・ロメウ選手が司令塔を担い、新加入の若手ながら得点にも絡むネイサン・レドモンド選手がサイドを攻略します。FWはアイルランド代表のシェーン・ロング選手や10番を背負うチャーリー・オースティン選手が中心となっています。

日本代表の吉田選手は2人の壁を越えられるか?

日本代表DFの吉田麻也選手は2012-13シーズンからサウサンプトンに所属しています。移籍当初はCBのスタメンとして活躍していましたが、チームの先輩でありキャプテンも任されるフォンテ選手と、オランダ代表不動のCBであるファン・ダイク選手の厚い壁に阻まれ、現在は控えのCBという扱いになっています。
フォンテ選手は2014年からポルトガル代表の一員となった遅咲きで、責任感の強さと状況察知能力が高いクレバーな選手です。セインツでキャプテンを務め、周囲の信頼を得ている存在です。ファン・ダイク選手は吉田選手を凌ぐ身体能力の持ち主で、高さ・速さ・強さのすべてを高次元に兼ね備えています。
そんな2人に割って入るには、吉田選手の持ち味でもあるビルドアップ能力のさらなる向上と、時折見せる集中力の欠如をなくすことが求められます。

サウサンプトンの躍進に向けた課題は?

プレミアリーグ2016-17シーズンを16節まで終えた段階で、サウサンプトンは5勝5敗6分けの9位という成績です。昨シーズンは6位、一昨シーズンが7位だったことを考えても、さらに順位を上げていきたいところ。
そのために改善すべきは得点力です。16節終了時でセインツの得点は14。1試合平均0.88点という状況です。逆に失点数は15とリーグ3位の成績。得点力不足は明確になっています。
リーグ後半戦へ向け、守備力を維持しつつゴール数を増やしていければ、古豪復活を印象付けられるシーズンになるでしょう。

まとめ

リーグでの巻き返しを狙うサウサンプトンですが、主将のフォンテ選手に移籍の可能性が取り沙汰され、オースティン選手は負傷による長期離脱が報じられるなど順風満帆ではありません。 吉田選手をはじめ、出場機会に恵まれていない選手の奮闘に期待がかかります。