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世界が注目するレスター・シティの2016-2017シーズンを解説!

2017 1/25 10:28
leicester city
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Photo by mooinblack / Shutterstock, Inc.

プレミアリーグ史上、類のない戴冠となった2015-16シーズン。レスター・シティの名は一躍世界に響き渡りました。 誰もが予想し得ない偉業を果たしたレスターは、2016-17シーズンにおいてどんな活躍を見せるのか? 近年の動向も含めて解説します。

「下部リーグの常連」レスター近年の歩み

レスター・シティがプレミアリーグに再登場したのは2014-15シーズンのことです。その前年までの10シーズンは2部リーグの常連で、2008-09シーズンには3部リーグまで格を落としていました。
2010年にタイの資本家が経営権を買い取ったものの、名だたるプレミアの強豪と比べてその資金力はあまりに小さく、プレミア昇格初年度は終盤まで降格まっしぐらの成績でした。しかし最後の最後で4連勝を含む7勝1敗1分けと奇跡の追い上げを見せ、14位でこのシーズンを終えます。

あまりに有名な「オッズ5000倍」の背景

2014-15シーズンを何とかプレミアリーグ残留で終えたレスター・シティですが、シーズンオフにも苦難は続きます。
クラブはシーズン中及びツアーでの不祥事を問題視してナイジェル・ピアソン監督を解任、選手数名も解雇とする決定を下しました。ピアソン監督の解任は日本代表の岡崎慎司選手がレスターに入団したわずか4日後の出来事でした。
後任にはヨーロッパで実績のあるクラウディオ・ラニエリ監督が招聘されましたが、多くのファンやメディアはレスターを新シーズンの降格候補と見なしていました。
開幕前にブックメーカーが提示したプレミアリーグ優勝オッズは実に5000倍。「エルヴィス・プレスリーが実は生きている(2000倍)」「ローマ法王がレンジャーズでプレーする(4000倍)」といった冗談にしか思えないような題目よりも高いオッズが付けられていたのは有名なエピソードです。

苦労人がレスターで次々に開花!

サッカーファンを驚愕させたレスター・シティのプレミアリーグ優勝ですが、2015-16シーズン開幕時に世界的な名声を誇るスターは存在していません。強豪チームのユースに所属しながらトップに昇格できなかった選手や、各国の下部リーグで燻っていた選手が中心になっています。
今やイングランド代表にまで上り詰めたエースのジェイミー・バーディー選手は、レスターに加入するまでセミプロのクラブに所属し、工場で働きながらサッカーをしていました。バーディー選手とともに優勝の立役者と称賛されたリヤド・マフレズ選手はフランスの2部チームからの移籍、2016-2017シーズンからチェルシーの選手となったエンゴロ・カンテ選手も、フランスの中堅クラブからレスター入りしています。
いずれの選手もレスターで才能を開花させ、サッカー人生を劇的に飛躍させたのです。

日本期待の岡崎選手がレスターに果たしている貢献

日本代表でもある岡崎選手は、2015年のレスター加入から2016-2017シーズンが2季目となります。マインツ(ブンデスリーガ)からの移籍初年度にプレミアリーグ優勝という日本人初の偉業を果たした岡崎選手。しかし2015-16シーズンの成績は38試合出場5得点と、フォワードにしては得点数が物足りない結果でした。
レスターでの岡崎選手は、前線から相手を執拗に追い回す守備と、攻撃時には中盤まで下がって組み立てに参加するといった仕事でチームに貢献しています。
現地メディアも「常に走り回って中盤と前線をつないでいる」という評価を岡崎選手に下しています。ただ本人は新シーズンに向け、今の役割を維持しつつ得点数もさらに伸ばしていきたいと語っています。

新シーズンのレスターに突き付けられる課題

2016-17シーズンのプレミアリーグにおけるレスター・シティはここまで苦戦を強いられています。新シーズンも4ヶ月が経過して未だ連勝なし、黒星が大きく先行している状態です。
優勝を果たした昨シーズンとの違い、それはもちろん各チームがレスターの戦略を研究していることもあります。しかしそれだけではありません。守備面では、中盤で絶妙なフィルターとなっていたカンテ選手が強豪チェルシーに移籍、その代役をこなせる選手が現れていません。ダニー・ドリンクウォーター選手やアンディ・キング選手など力のある選手はいますが、カンテ選手ほどの活躍は見せられていないのが現状です。
攻撃面ではバーディー選手の得点力が落ちています。マフレズ選手にも昨シーズンの躍動感が見られません。ただ第15節のマンチェスターシティ戦ではバーディー選手がハットトリック、マフレズ選手が2アシストと復調の兆しを見せています。

まとめ

2016-2017シーズンのレスター・シティは、16節を終えて4勝4分け8敗の14位、降格圏とは勝ち点4差とギリギリの戦いが続いています。 しかし、絶大な称賛を浴びた奇跡の優勝を過去のものとして、自分たちの戦い方を続けていけば、シーズン後半の再進撃も不可能ではありません。