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J2柏の“反則級”の2選手と万能アタッカー江坂任が猛威 9連勝で独走態勢突入か

2019 8/13 17:00中山亮
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すば抜けた存在感を発揮するオルンガとクリスティアーノ

柏レイソルが強い。J2に降格した今季序盤は引き分けが多く、思うように勝ち点を積み重ねることができなかったが、第19節から連勝中。第25節にはついに首位に立ち、9連勝を決めた第27節終了時点での2位との勝ち点差は5。この勢いは止まりそうに無い。

連勝の原動力となっているのは爆発的な得点力。この9試合でなんと25得点。1得点で終わったのは2試合だけで、4得点以上の試合が4試合あるというのは驚異的だ。

得点を量産しているのが前線にいる2人の外国人選手、クリスティアーノとオルンガ。クリスティアーノは2013年から日本でプレーしており、柏でも2015年のシーズン途中から半年間甲府に復帰する期間をはさみ5シーズン目となっているのでもはやおなじみの選手だろう。精度の高いシュートを武器にJ1でも得点を量産。以前のJ2であれば“反則級”の選手である。

そしてそのクリスティアーノの近くでプレーしているオルンガも“反則級”だ。シーズン途中の加入となった昨季は可能性は感じさせたものの、Jリーグ初のケニア人選手ということも影響したのかフィットするまでには至らなかった。しかし2シーズン目となる今季は初先発となった第3節からコンスタントに得点を記録。高さ、強さは桁違いでJ2のCBで1対1で対抗できる選手はほぼいないというのが正直なところ。

柏にはそんな“反則級”のFWが2人もいるのだ。

攻撃のキーマンは万能アタッカー江坂任

柏には「反則級」の外国人選手が2人もいるが、攻撃のキーマンは彼らではない。

クリスティアーノ、オルンガの2人はどちらかといえばパワータイプ。彼ら2人のパワーは相当なものだが、戦術が発達してきた現在のJ2ではそれだけではここまでの成果をあげることは難しい。2人のパワーが生きない状況を作る戦術をとることもできるからだ。

しかし現在、対戦相手が対策を取ることは簡単ではない。なぜなら柏には背番号10番の江坂任がいるからだ。

そう、江坂こそが柏の攻撃のキーマンなのだ。

江坂は1トップ、2トップ、トップ下、SHと攻撃的なポジションならどこでもできる器用な選手だ。大学時代はその器用さから決め手に欠けると見られてしまい、プロ入りが決まったのもギリギリのタイミングだった。しかしザスパクサツ群馬でプロデビューすると1年目から攻撃の核として大ブレイク。柏に移籍すると万能さはさらに進化した。

柏の対戦相手はパワー系の2人を防ごうとしてもポジショニングとテクニックで勝負できる江坂が鋭く守備陣形を切り裂いてしまうのだ。

そうなると対戦相手は2人を止めることに集中できなくなる。つまり迷う。そこをクリスティアーノとオルンガがパワーにモノを言わせて突破する。江坂がいることでクリスティアーノとオルンガの強みが活きているのだ。

シンプルかつ明確なネルシーニョ采配、山下達也の加入でますます強力に

そしてもう1つ。この圧倒的な攻撃力を支えているのはネルシーニョ監督が作るチームのバランスである。

近年はポジショナルプレーやストーミングなどチームの戦い方は戦術的に複雑になっているが、ネルシーニョの作るチームは非常にシンプル。しかしその分攻守のバランスは決して大きく崩れない。必要以上に攻撃に人数をかけることもなく、守備にも人数をかけることもない。

そして各ポジションの選手に求めることも明確だ。例えばCBにはパス能力などを求める前にまずは守備力。1対1で止めることができる選手を配置している。SBは守備力+アップダウンというシンプルかつ明確な能力が要求される。

柏はそもそも昨季J1で戦っていたチームなので、各選手の能力は高い。それがシンプルに整理されているので大きく崩れることは少ない。

そしてさらに8月11日には、強烈な攻撃陣を支える守備陣としてC大阪から山下達也の獲得を発表した。

ここ数年は出場したりしなかったりという状況が続き、チームの戦い方が変わった今季は木本、瀬古というパス能力に長けた若手の後塵を拝した。カップ戦が主戦場となっていたが、まだ31歳。対人の強さは衰えておらず、ここ一番の守備固めの際に起用されていた選手である。

ネルシーニョ監督が求める対人守備の強さという面ではうってつけの人材だ。さらに今のディフェンスリーダー染谷とは2014年、2015年とC大阪でコンビを組んできた2人。コミュニケーションやコンビネーションの問題も無いだろう。

柏がこのままJ2首位を独走しても何ら不思議ではない。