札幌を圧倒
代表ウィークによる中断期間を経て、2週間ぶりに行われたJ1リーグ。好調の名古屋グランパスが、本拠地豊田スタジアムに北海道コンサドーレ札幌を迎えての一戦は4-0で快勝。首位に浮上した。
快勝の立役者は、今季リーグ戦初先発となった長谷川アーリアジャスールだった。起用されたポジションは、昨季最もプレー機会が多かったセントラルMFでも、本来のポジションである攻撃的MFでも無く、ジョーと並ぶ2トップの一角。中盤以降は前節と同じメンバーを起用し、今季初黒星となったFC東京戦から長谷川のみが入れ替わった形だ。
長谷川起用の効果は、前半の立ち上がりから直ぐに見られた。札幌のDFラインに対して、ジョーと長谷川の2トップを中心に、高い位置からプレッシングをかける名古屋。札幌の3バックに対しては、この2トップに加えてSHのガブリエル・シャビエルも参加。守備的MFの1人を下げて4バック化する動きに対しては、さらにもう1人のSHである和泉まで加え、とにかく前線からのアプローチを徹底してきた。
札幌の監督ペトロヴィッチの戦術に対して、前線からのアプローチを徹底するというのは代表的な対策の1つ。尹晶煥がC大阪や鳥栖でもこの手法を用い、ペトロヴィッチ監督率いるチームに勝ち越している。
しかし、リスクもある。それは、前線に人数をかけるぶん後方は手薄になり、札幌の攻撃を加速させてしまうということだ。
「相手がボールを奪いに来た時にできるスペース」を使う動きを徹底しているペトロヴィッチ監督の戦術。守備でスイッチを入れる動きが、札幌の攻撃スイッチを同時に入れることにもつながる。その結果、お互いが攻め合う激しい試合展開になっていくことが多い。
このプランを90分間完遂するには守備陣がハードワークし、1対1のデュエルで勝つことはもちろん、デュエルの回数自体を減らすことが必要。そのためには、マイボール時に前線で時間を作ることと、試合を早く決着させることが重要になってくる。
今試合で、この2つに成功した名古屋。前線で時間を作ったのは、守備でも奮闘していた長谷川だった。ジョーよりも少し低い位置で確実にボールを収め、他の選手が上がってくる時間を作り、前半で3得点、50分に4得点目を奪い試合を決めた。