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昨季4位躍進のコンサドーレ札幌はACL初出場なるか

2019 2/19 15:00SPAIA編集部
ペトロヴィッチ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

クロスからの得点はリーグ最多

いよいよ2019年のJリーグ開幕が迫ってきた。3連覇を目指す川崎フロンターレに注目が集まっているが、北の大地で虎視眈々と爪を研いでいるのが北海道コンサドーレ札幌だ。これまでJI昇格とJ2降格を繰り返してきたが、昨季はペトロヴィッチ監督を迎えて過去最高の4位に躍進。第31節には3位に浮上したものの最終的にはACL出場を逃しただけに、今季は3位以内が当面の目標となる。

持ち味の堅守速攻のスタイルから指揮官が攻撃的サッカーにモデルチェンジ。相手がボールをもつと豊富な運動量でプレッシャーをかけて自由にさせず、コンパクトな守備によってボールを奪うことで攻撃時間を増やした。ボール支配率は2017年の45.1%(リーグ15位)から2018年は51.6%(同4位)に上昇した。

得点パターン表,ⒸSPAIA

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ボール保持が増えるもそこに固執しなかったことが、札幌が躍進した理由の一つだ。菅や早坂、駒井らがサイドからクロスを放り込み、身長190センチのジェイと187センチの都倉にボールを集めるのが得意パターンとなっていた。実際、昨季48得点中、クロスからの得点はリーグ最多タイとなる12を数えた。

移籍した都倉の穴を埋められるか

敵陣における空中戦の勝率がリーグ2位の55.9%と、空中戦の強さはデータ上でも証明されている。セットプレーでもその強さを存分に発揮しており、コーナーキックからのクロス成功率はリーグ断トツの51.4%。140回中72回が味方に渡っており、大きな得点源のひとつと言える。

そういう意味では昨季12得点を挙げた都倉がセレッソ大阪に移籍したのは、戦力的に大きなマイナスであることは確か。V・ファーレン長崎から加入し、昨季11ゴールの鈴木武蔵も185センチと高さのあるFWだけに穴埋めとして期待がかかる。

川崎から期限付き移籍で加入し、主力として26試合に出場した三好も退団。FCソウルからアンデルソン・ロペス、ブラジルのヴィトーリアからスピードのあるルーカス・フェルナンデスを補強し、大幅な戦力ダウンは回避した。さらに冬の高校選手権を制した青森山田の檀崎竜孔ら楽しみな新戦力もいる。

クロス表,ⒸSPAIA

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また、得意のクロスは相手から警戒されるため、中央で細かいパスをつないでチャンスメークできるかもカギになるだろう。“タイのメッシ”ことチャナティップや浦和時代にペトロヴィッチ監督の秘蔵っ子だった駒井らのコンビネーションで相手の守備網を突破するようなシーンが増えれば、自然とゴールも量産できるはずだ。

無駄なイエロー撲滅も課題

イエローの多さも気になる点だ。昨季もらったイエローカードはリーグ最多の64枚。62枚のヴィッセル神戸とともに飛び抜けて多く、1試合平均で2枚近くもらっている計算になる。激しいプレーの代償など仕方ない面もあるとはいえ、遅延行為や意識の持ち方次第で減らせるカードもあるはずだ。

また、与えたフリーキックから直接シュートを打たれたのが長崎に次いで多い25回。与えたセットプレーから3プレー以内にシュートを打たれた回数に広げてみると、リーグ最多の109回にのぼる。実際にゴールを奪われたのはそのうち12回とはいえ、相手に決定機をつくらせないためにも無駄なイエロー及びファウル撲滅は喫緊の課題と言える。

ファウル表,ⒸSPAIA

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ACL出場権を獲得できる3位以内に入るのは決して楽ではない。新加入選手はいるものの、戦力だけを見ると札幌より上のレベルのクラブは多い。加えて、昨季躍進したことで対策がとられることは十分に考えられる。鍵を握るのはペトロヴィッチ監督だ。広島、浦和で「ミシャ式」と呼ばれる独自のスタイルを築き上げた。戦力差と対戦相手からの対策を上回るには、昨季よりもチームとしてのクオリティを上げていくしかないだろう。

開幕戦は2月23日、アウェイの湘南ベルマーレ戦。相手は昨季13位、リーグ戦の対戦成績も1勝1分けと相性は悪くない。昨季は開幕3戦未勝利と出遅れたことが結果的に響いただけに、きっちり勝って好スタートを切りたいところだ。