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もし、柏レイソルが2016年Jリーグの年間優勝を目指すなら

2016 9/7 17:39
サッカー
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勝ち点から見た「柏レイソル年間優勝」の可能性

7月2日に行われたJ1セカンドステージ開幕戦を1-0の勝利で終えた柏レイソル。これでファーストステージと合わせた勝ち点は27、年間順位は7位、首位の川崎フロンターレとは勝ち点差14という情勢。リーグは残り16試合。年間優勝を果たすには数字的にも決して不可能ではない。

ここ10年間にJ1で優勝したチームの年間勝ち点を見ると、最低が60、最高が2011年のレイソルも含めた72となっている。今年、勝ち点を72まで積み上げるのは正直厳しいが、60までもっていければ期待できる。

問題は今年のJ1において、勝ち点60が年間優勝のラインに乗るかどうかだ。ファーストステージで優勝を争った上位陣と、力がありながらも優勝争いに加われなかったチームの動向によっては可能。つまり、これらのチームで星のつぶし合いが行われれば、年間優勝に必要な勝ち点が下がり、レイソルにとって大きなチャンスとなる。

ポゼッション型コンパクト戦術が攻守に好影響

柏レイソルが今年採用しているフォーメーションは主に4-5-1だが、対戦相手によって陣形も変化させる柔軟さも備えている。現に両ウイングがより攻撃的な位置取りをする4-3-3や、フォワードを2枚にした4-4-2、さらには3バックで戦ったこともある。

このように幅広いシステムが採用できるのは、多数でボールを支配する攻撃戦術があるからだ。また、守備時に見せる球際の強さやアグレッシブな動きも、ボールを支配する戦術に大きな貢献を果たしている。

試合の中盤で各選手がボールホルダーをサポートしながら動き、狭いスペースでもボールをつなぐコンパクトな戦術を用いているため、サイドの選手でもタッチライン際を上下するだけでなく、中に入る動きで中盤のボールポゼッションに参加する。当然、対戦相手は中盤の守備に人数を割かなければならなくなり、とっさに空いたスペースを突かれると対応が遅れてしまう。

「柏の魂」が起こしたチーム改革

今年のJ1ファーストステージ。ブラジル人のミルトン・メンデスを監督に据えてスタートしたレイソル。しかし、Jリーグでメンデス監督が指揮をとったのはわずか3試合。1分け2敗の未勝利という成績で突然の辞任となった。

この時点で既に降格圏に沈んでいたチームは混乱。しかし、「柏の魂」とも呼ばれたレジェンドOBの下平隆宏監督によって危機的状況は救われた。メンデス政権ではヘッドコーチとしてチームを支えていた下平は、レイソルで長年プレーしキャプテンも務めた。指導者を失ったクラブは監督経験のない下平に命運を託し、チームは見事に上昇気流に乗ることができた。

4月から約1か月にもわたる連勝。17位に低迷していたレイソルを一時的とはいえ4位まで躍進させたのは、紛れもなく下平の手腕によるものだ。

若い力とヒーローの帰還

今年のレイソルで特徴的なのが「若手の起用」。スターティングメンバーに名を連ねた20歳前後の選手のほとんどが、ユース出身者で占められている。

代表的な例がディフェンダーの中山雄太だ。弱冠19歳にしてレギュラーを勝ち取った中山は、ファーストステージ第5節で先発フル出場を飾り、以降は実績ある増嶋に代わりリーグ戦の主力にのし上がった。

レイソルの最終ラインは、20歳の中谷や23歳の伊東もレギュラーとして活躍。ゴールキーパーは、オリンピック日本代表でもある21歳の中村が務めている。これほど若い選手たちで占められたディフェンス陣は、Jリーグでも珍しいといえる。

さらに、6月22日にはレイソルファン待望のビッグニュースが発表された。昨年、大活躍を見せてくれたクリスティアーノが完全移籍で再加入となったのだ。ヒーローの帰還でチームの雰囲気は一段と上がっているところ。セカンドステージ制覇、そして年間優勝へと準備は整った。