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【クラブW杯】鹿島vsレアル・マドリード、2年越しの再戦へ

2018 12/18 07:00中山亮
鹿島アントラーズ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

国際舞台でも魅せた鹿島らしさ

試合序盤の両チームからこの結果を想像できた人はほとんどいなかったのではないだろうか。

立ち上がりの前半3分にグアダラハラが鹿島の左サイドを完全に崩し、サルディバルのゴールで先制。

人への意識が強い鹿島の守備を逆手にとるようにCBや守備的MFを中央から動かし、そのスペースを使って攻め込んでくるグアダラハラの攻撃を、鹿島は全く捕まえられない。さらにボールを奪ったとしても守備で選手を動かされてしまっており、前線が孤立しているため、縦パスを入れられない。

北中米カリブ王者であり、メキシコ代表選手も多く所属するメキシコでも有数のビッグクラブ・グアダラハラに、鹿島は立ち上がりから圧倒されていた。もし前半にグアダラハラが2点目を奪っていたら、試合は決まっていたかもしれない。

しかし、GKクォン・スンテのビッグセーブや、昌子、チョン・スンヒョンのCBコンビが身体をはったプレーでカバー。さらに、無理にボールを取りに行かず一旦落ち着いて守る形を選択し、前半に追加点を許さなかったことが後半へと繋がった。

後半、鹿島は左SHのレアンドロを下げ、Jリーグベストヤングプレーヤー賞に選出された安部裕葵を投入。動かされているきっかけとなっていた左サイドをテコ入れし、中央でボール奪取力に優れたレオ・シルバ、永木が網を張る形の守備に変えると、徐々に鹿島ペースへと試合の流れが移り変わっていった。

49分にカウンターから永木のゴールで同点に追いつくと、69分にはセルジーニョがPK。84分には安部が「デル・ピエロゾーン」から鮮やかなシュートを決め3点目を挙げた。

終了間際にグアダラハラの猛反撃に遭うも、PKからの1失点に抑え3-2で勝利。鹿島らしい粘り強さと勝負強さを感じさせる試合運びで、北中米カリブ王者を下し準決勝進出を決めた。

レアル・マドリードとのリベンジマッチ

準決勝の相手は世界最高峰のクラブの1つである欧州王者レアル・マドリード。2年前のクラブ・ワールドカップ2016決勝の再戦となる。鹿島にとってはあと少しのところまで追い込みながらも延長の末に敗れたリベンジマッチだ。

一方、レアル・マドリードは監督解任もあったように今季は苦しんでいる。ただ、それほど調子が良くないとはいえ、当然ながら簡単な相手ではない。スペインリーグでも3位にまで順位を上げ、チャンピオンズリーグでもグループを1位で突破。クリスティアーノ・ロナウドは去ったが、モドリッチがバロンドールを受賞した。

また、前回のレアル・マドリードにとって、鹿島アントラーズは完全なるアウトサイダーだっただろうが、2年前に対戦したことでどういったチームかも知っているだろう。

しかしサッカーは何が起こるかわからない。レアル・マドリードはレアル・マドリードであるように鹿島アントラーズは鹿島アントラーズであることを準々決勝で証明した。対戦する以上、リベンジのチャンスはある。

選手にとっても世界へアピールするチャンス

鹿島の選手たちにとって、レアルとの再戦はリベンジだけでなく、世界へ自分を売り込むチャンスでもある。

ここ数年何人もの選手がヨーロッパに渡っているように、ヨーロッパのクラブにとって、日本人選手が魅力的な存在であることは間違いないだろう。ただ、問題なのはアピールするチャンスが少ないこと。もしヨーロッパのクラブが興味を持っていたとしても、その実力を測りきれないのが現実だ。

だが、レアル・マドリード戦となると話は別。基準が明確になるからだ。実際に2年前のクラブワールドカップでの活躍により、柴崎岳はスペインへと移籍。鹿島の選手達はその姿を間近で見ているだけに、この試合が持つ意味もわかっているだろう。

鹿島アントラーズにとっては願ってもない舞台となるレアル・マドリードとの一戦は、12月20日(木)【19日(水)深夜】午前1時30分にキックオフとなる。