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日本代表初招集された北川航也とは?その魅力に迫る

2018 10/16 11:00中山亮
サッカーボール
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育成年代で注目を集めるも伸び悩んでいた北川

日本サッカー協会は川崎フロンターレの小林悠の負傷辞退を受け、パナマ戦、ウルグアイ戦に向けた日本代表に清水エスパルスの北川航也を追加招集を発表。
フィールドプレイヤーとして清水エスパルスから日本代表に招集されるのは2011年1月、アジア杯(岡崎慎司、藤本淳吾、本田拓也)以来7年9か月ぶりである。

日本代表初招集となった北川はオリンピックにも出場しておらず、プロ4シーズン目とはいえチームで本格的にポジションを掴んだのは今季から。全国的な知名度としてはまだそれほど高くはないだろう。

しかし彼も育成年代から大きな注目を集めていた選手の1人だった。

北川航也の名前が最初に知られることになったのは彼がまだ清水エスパルスジュニアユースに所属していた中学生のころ。

鋭い動き出しからマークを外す俊敏さと、強烈なシュートを打つことができる両足が武器に、日本クラブユース選手権(U-15)で大会MVPと得点王を同時に獲得。ストライカーとして世代別代表にもコンスタントに選ばれる選手となった。

同世代の世代別代表には現在ドイツでプレーする井手口陽介らがいる。

しかし、この世代最初の国際大会であるU-17ワールドカップのメンバーからは落選した。

これは当時のU-17日本代表は吉武監督が率い「96ジャパン」と呼ばれたチームの戦術によるところが大きい。

FCバルセロナをモデルにし「0トップ」の布陣をベースにしたポゼッションに特化したチームで、当時は世界的にも大きな注目を集めたチームだったが、このチームには北川が得意とするストライカーのポジションは無かった。

そして高校生になるとU-19日本代表にも選出されていたが、このチームで注目を集めたのは先日のコスタリカ戦で日本代表初ゴールを決めた南野拓実だった。

リオ五輪に出場したU-23日本代表にも選出される可能性もあったが、浅野拓磨などプロ入り後もチームで出場機会を掴んでいた選手に比べ、北川はチームでポジションを掴みきれず選外に。

かつての期待をよそに足踏みが続きチャンスを掴みきれない。そんな印象が強い選手だった。

清水の若きエースへと成長

今回の代表招集は森保監督がその理由を「結果が出ている」と答えた様に、今季のリーグ戦第29節までで11得点とわかりやすく結果を残しているからに他ならない。

昨シーズンまではJ2時代の2016年に9得点を記録したことがあるもののJ1では通算6得点。先発出場機会も多くなかった。

しかし今季は第29節まで28試合に出場し先発出場も24試合。完全にポジションを確保しており、夏に加入したドウグラスとの2トップはチームのストロングポイントとなっている。

非凡なプレーをみせるものの好不調の波が激しいという問題もあったが、今季は安定して高いパフォーマンスを維持している。

北川は直近の第29節、ジュビロ磐田との「静岡ダービー」でも存在感を示した。

まずは開始1分に決めた先制点。ドウグラスからのスルーパスを引き出すと左足で落ち着いてフィニッシュ。逆サイドに流し込んだものだ。

このプレーは冷静さはもちろんだが、ドウグラスがボールを奪い返した瞬間にスプリントを開始しているところが注目点だろう。

さらに38分にドウグラスが決めたゴールをアシストしたのも北川。磐田の選手3人に囲まれる状態となっていたが確実にキープし鮮やかなスルーパスを通している。61分のドウグラスの2得点目もアシストした。

そして北川のこの試合2得点目となる72分のゴールも鮮やかだった。

中央でボールを受けた石毛に対し磐田の選手が慌ててアプローチに出た瞬間、その背後に回り込みスルーパスを受けると、右足のアウトで前に出てきたカミンスキーを外すシュートでゴールネットを揺らしている。

この静岡ダービーでの2得点からもわかるように北川の魅力は鋭い動き出しと冷静なフィニッシュ。

動き出しの鋭さはトップチームでプレーする姿をみて少年時代から憧れ続けていたという岡崎慎司に匹敵するほど。シュートまでのスムーズな動きは当時の岡崎以上だろう。

清水エスパルスでは2016年から当時の岡崎と同じ背番号23番を背負う北川。日本代表でもかつての岡崎のような存在感を発揮できるポテンシャルは十分にある。