「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

J1史上最も過酷な残留争い 勝ち点10差以内に下位9チーム

2018 10/16 11:00中山亮
サッカーボールⒸShutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

過酷な残留争いで最下位チームの勝ち点記録も更新

2018年の明治安田生命J1リーグも第29節を終え、延期分を抱えているチーム以外は残り5試合となった。

今季の残留争いは史上稀に見る大混戦となっているが、第29節終了時点で最下位の長崎が勝ち点28。J1が18チームになった2005年以降、最も多くの勝ち点を獲得した2009年の最下位チーム千葉の「27」を既に越えている状況だ。

J1史上最も過酷な残留争いとなっている今季だが、過去最も高かった2012年のJ1残留ライン、勝ち点39を超えることはなさそうだ。

例年であれば早々に降格が確定してしまうチームが1つはあり、残り2枠をかけいくつかのチームで残留争いに突入するのだが、今季は最下位の長崎もまだ残留の可能性が十分ある状態。

さらに最下位長崎から勝ち点10差以内にリーグの半分にあたる9チームがひしめきあっている。

残留争いに関わる10位の横浜FMから18位長崎の残り試合の半数以上となる26試合が、10位以下のチーム同士で勝ち点を奪い合うことになるからだ。

それでも今季の残留争いが厳しいことに変わりはない。

鳥栖、長崎が絶対に逃せない「6ポイントマッチ」

近い順位同士の直接対決は、勝利したチームが勝ち点3を得るのに対し、敗れたチームは勝ち点3を得る機会を逃すことから「6ポイントマッチ」と呼ばれる。

残り試合数が少なくなってくる中では言わずもがなだが、「6ポイントマッチ」の重要性は一気に高まってくる。

勝つことはもちろん重要だが、どこのチームに勝つのかも重要になってくるのだ。

残り5試合の中で最も大きな意味を持つ6ポイントマッチは第31節に行われる17位鳥栖対最下位長崎の試合。この2チームがJ1残留するためにはこの試合以外に少なくとも2勝が必要だ。

この試合に敗れたチームは、ほぼ降格が決まるといっても良いだろう。

勝ったとしても厳しい状況は続く。

最下位長崎は次に順位の近いチームとの対戦となる磐田戦、横浜FM戦、G大阪戦。17位鳥栖は11位神戸戦、10位横浜FM戦で勝ち点を奪えなければ、他の試合で勝利しても降格の可能性がある。

逆に言えば、10位横浜FM、11位神戸、12位G大阪の3チームはこの下位2チームに勝利することができればほぼ残留は確定するといっても良いだろう。

ただ、神戸は残り5試合中、10位以下のチームとの対戦は31節の名古屋戦、33節の長崎戦の2試合のみと少なく、上位との対戦を多く残している。この2試合に敗れてしまうと一気に苦しい状況に立たされてしまう。

予断を許さない柏、磐田、名古屋

鳥栖と長崎のすぐ上の順位にいる14位柏、15位磐田、16位名古屋の3チームも厳しい戦いが続く。

というのも、この3チームの内、柏と磐田は、上位陣との対戦を多く残しているからだ。勝ち点33で並ぶこの2チームにとっても残り2勝、勝ち点6はほしいところ。

しかし、柏は残り5試合の中に首位川崎F戦と3位鹿島戦があり、磐田に至っては28節が未消化のため残り試合数は6試合あるが、広島、FC東京、札幌、川崎Fと現在のトップ5のうち4チームとの対戦を残している。

それを考えると柏と磐田の2チームは勝ち点では上回っているものの状況は同様に厳しい。

一方で全く読めないのが16位の名古屋。名古屋は延期分が2試合で残り7試合ある。延期分が5位札幌と8位C大阪と勝ち点を簡単に計算できる相手ではないが、勝ち点を積むチャンスがあるのは大きい。

しかし、後半戦開始から一時は7連勝で一気に順位を上げた快進撃もチームへの分析が進みストップ。その後3連敗と勢いが落ちているだけに予断を許さない。

次の30節は14位柏以下の5チームのうち4チームの直接対決があり、翌31節には鳥栖対長崎。この2節は過酷な今季の残留争いを決定づけるものとなりそうだ。