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前半戦最下位から後半戦最多勝ち点獲得チームへと変貌した名古屋グランパス

2018 8/23 15:41SPAIA編集部
Jリーグ,名古屋グランパス,ⒸSPAIA
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枠内シュート増加、得点力も向上

今季前半戦を最下位で折り返した名古屋グランパスが後半戦に入り5連勝。第23節終了時点で1試合未消化(台風のため第18節が延期)ながら最下位を脱出し、14位へと順位を上げた。今季前半戦と後半戦で何が変わったのか。

今季前半戦の名古屋は、リーグ3位のパス数でアタッキングサードまでボールを運ぶことができているにもかかわらず、17試合で15得点(1試合平均0.9得点)33失点(1試合平均1.9失点)と得点・失点共にリーグワーストでシュート数も10.5本とリーグ17位。ボールを持って攻撃しながらもシュートまでは持っていくことができていなかった。

しかし、後半戦第19節から第23節までの数字をみると、平均得点は0.9点から2.8点と大幅に増加。さらに失点数も1.9点から1.2点と下げることに成功している。そんな中でも興味深いのはシュート数。全体のシュート数にそれほど大きな変化はないが、枠内シュート数に限ると3.8本から6.0本と増加している。

増加した要因の1つは、名古屋のボールがゴール前に届くようになったことだ。22節までの4試合で連続7得点と大爆発したジョーのペナルティエリア内プレー数が前半戦の4.8回から6.8回へと増えていることからもそれが読み取れる。

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ペナルティエリア付近の攻撃回数が増加

名古屋は今季前半戦でリーグ4位となる52.8%のボール支配率を記録していたが、第19節から第23節までは47.6%と下がっている。保持が下がると必然的にチーム全体のプレー数は下がる。後半戦は全体のプレー数が下がり、それに伴いパス数も1試合平均624.5本から520.8本と100本以上も少なくなっている。

そんな中、相手ペナルティエリア付近でのプレー数に限定すると55.5回が56.0回とほぼ変わらない。全体のプレー数を大きく減らしながらも、しっかりと維持できている。このペナルティエリア付近のプレー数をエリア別に分けるとさらに名古屋の攻撃に変化があったことがわかる。

前半戦ではペナルティエリア左はリーグ6位の20.9回を記録しながらも、エリア内では15位の19.5回、エリア右に至ってはリーグワーストの15.0回と攻撃が左に偏っていた。しかし後半戦はエリア左が15.2回、エリア内が17.4回、エリア右が22.4回。ストロングサイドが逆転しているのだ。

この理由として考えられるのは、この夏に加入した前田直輝の存在だろう。

前田はジョーと並びFWに入ることもあるが主戦場は右サイド。前田は足下でボールを受けるだけでなく幅広く動くことでボールを引き出すことができる。そしてこの前田のプレーは自身が輝くだけでなく、同じサイドで起用されているガブリエル・シャビエルにスペースと時間を与えることにも繋がり、さらに右SBのオーバーラップをも引き出している。

ジョーを欠いた第23節でも、ガブリエル・シャビエルとともに何度もチャンスを演出してサガン鳥栖を翻弄。3得点で完封勝ちを収めた。

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守備への切り替えも改善

守備のデータにも変化が見られる。

前半戦の名古屋はタックル数がリーグワーストの1試合平均16.4回。アタッキングサードでのタックル数もリーグ17位の1.9回。ボールを奪われてしまうと一気に自陣ゴール前まで運ばれ失点を重ねるという状況になっていた。

しかし後半戦のタックル数は18.4回、アタッキングサードでのタックル数も2.4回と増加している。この増加分は大きく伸びているわけではないが、忘れてはいけないのがボール支配率が下がり、全体のプレー数も減っているということ。つまり、攻撃回数自体が減り、アタッキングサードでボールを失う回数も減っている。そんな中でアタッキングサードでのタックル数が増えているということは、ボールを失った瞬間に攻守を切り替えられるようになったということだ。

新加入の中山、丸山が加入後すぐに定位置を確保し奮闘を見せ、守備に関しても明るい兆候が見えている。右サイドを活性化させた前田、最終ラインを支える中山、丸山のCBコンビ、金井はSBでありながらも得点力を発揮するなど新戦力が力を発揮しており、それに合わせるようにジョーやガブリエル・シャビエルなどのシーズン前半から戦ってきた選手達も輝きを見せ始めている。

シーズンも後半戦に入り、ようやく風間グランパスが力を発揮し始めた。

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