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セレッソ大阪、優勝に向けての課題は「ファーストディフェンス」

2018 6/23 12:00SPAIA編集部
セレッソ大阪,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

2017年に尹晶煥監督がもたらした守備改革

これまで数々の選手を育て上げ魅力的なアタッキングフットボールを見せる一方で、J2降格もあったセレッソ大阪。そんなセレッソがコンスタントに結果を残せるようになったのは、尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督が持ち込んだ組織的守備が大きく関係していると考えられる。

その守備によって、リーグトップとなる1試合あたり3.1回のインターセプト数をマーク。個人別ランキングでも、山口がダントツ1位となる30回ものインターセプトを記録しており、2位にも18回を記録した柿谷が入っている。このように4-4-2のゾーンディフェンスで作った守備の網で相手のパスをことごとく奪い続けた。

ルールを徹底することで生まれたのが、守備への切り替えの速さだ。それにより、1試合平均の被シュート数も12.0本とリーグ4位となっている。49.0%とボール支配率は決して高くはないのだが、相手カウンターに対しては、しっかりと強さを発揮したことになるだろう。

2018年前半戦は怪我人続出も厚い選手層で乗り切ることに成功

2017年に作り上げた守備をベースに、今季は攻撃の上積みを求めた。
得点数がリーグ2位、1試合あたり1.9得点だった2017年に比べ、今季はリーグ4位、1.4得点と下がっている。昨季はリーグトップだったセットプレーからの得点も、今季は伸びていないため、これが要因の1つとも考えられる。

また、キッカーの1人として数々のアシストを記録していたソウザが怪我で離脱していたこと、そしてCK獲得数が5.2本(リーグ3位)から4.8本(リーグ11位)と減っていることも影響しているのだろう。しかし、シュート数自体は14.7本(リーグ3位)から14.1本(リーグ2位)とほぼ横ばい。過密日程やソウザや清武など、主力に怪我人が出たことを考えると悪くはない数字だ。

2017年カップ戦で出場機会を重ねた福満に、今季は高木やオスマルが加わったことで戦力はもちろん、確実に層の厚さが増したと言える。特にチームトップタイとなる4得点を決め、スプリント力がある高木の活躍は素晴らしい。高木が加入したことで柿谷がFWとしてプレーできるようになり、戦い方のバリエーションも増えているのだ。

後半戦に向けての課題は「ファーストディフェンス」

昨季は20.1回、今季はリーグ最少の18.4回。これはセレッソのタックル数だ。リーグ平均が19.9回から22.6回と大きく増えリーグ全体でデュエルの意識が高まっている中、セレッソのタックル数は減っている。
これにも、昨季2位の小泉(当時新潟)よりも30本以上多くタックルを記録したソウザ離脱の影響が考えられる。とはいえ、この下がり幅は大き過ぎる。実際に今季のセレッソの試合をみると、サイドから攻撃をうける形が多いことに気がつく。

また、クロスからの失点数も今季14試合を終えた時点で5と、昨季の10よりも悪い失点ペースだ。こうなったのは守備方法にあると考えられる。
昨季、尹晶煥によりもたらされた4-4-2によるゾーンディフェンス。実は、中盤と最終ラインからなる4-4の守備組織と2トップの2人がバラバラになってしまう傾向があり、ファーストディフェンスが定まらないのだ。

2トップが相手の攻撃方向を制限できていないので、サイドにボールを展開された時にSBが引っ張り出されてしまう場面も多く、その結果SBの背後を相手に使われてしまっている。 今季狙われているのは、まさにそこだと言える。

守備の改善方法として、高い位置からのプレッシングを積極的に取り入れる方法もある。しかし、これまでのチームを見る限りその可能性は低い。そうなると必要なのはファーストディフェンスの精度となってくる。
層の厚さを持ち始めたセレッソが悲願のリーグ優勝を掴むためには、この中断期間でファーストディフェンスの精度をどれだけ高められるかがポイントとなってくる。