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日本代表、チームとして機能できず 中島翔哉中心のチーム作りで打開を

2019 3/28 17:14中山亮
サッカーボール,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

個人に収穫もチームには課題が多かった日本

ワールドカップ以来の代表招集となった山口蛍が従来のストロングポイントであるボール奪取だけではなく、ボール保持で安定したプレーを見せたコロンビア戦。一方ボリビア戦では、代表初招集となった畠中槙之輔がCBからの縦パスで新たな可能性を感じさせた。鈴木武蔵、西大伍、安西幸輝らも持ち味を発揮し個々の選手には収穫が見られた。

しかし、チームは1勝1敗と不完全燃焼に終わり、今後に課題を残す結果となった。

不完全燃焼となったのは

不完全燃焼という印象を与えたのは、例えばコロンビア戦前半。右サイドは堂安と室屋のコンビネーションで、何度もペナルティエリア脇へ進出する形を作っている。だが、そこからゴールに結びつけることができない。

室屋が狙った大外のレーンからのハイクロスなら、ファーサイドで待つ屈強なFWが必要である。ところが、ピッチにはそういったタイプがいないので低くて速いクロスで攻めるしかない。そのためには内側のレーンに侵入したいところだがそういう動きも無く、運ぶだけ運んで後は成り行き任せという印象で点睛を欠いた感がある。

他にもある。コロンビアに対して脅威となった中島のドリブル突破だが、後半コロンビアはシステムを4-4-2に変更し、ハメス・ロドリゲスが右SHに移動することで対応。ハリスがためを作りSBパラシオスが上がってくるというパターンで、中島は何度も背後を突かれた。

ビルドアップのミスから奪われたボールでPKを与え失点したという事故であったが、コロンビアにとってはPK以外は狙い通りの展開だったに違いない。

ボリビア戦では、畠中と三浦が出した縦パスを受けた乾の外側に安西が回ったかと思えば、乾が大外に開いた場合は内側に安西がポジションを取るなど、しっかりと連係がとれていた。だが、それは後半に入ってから。前半は1トップのボリビアに対して橋本が最終ラインに下がり、必要のない3人目の選手を作るなど、最終ラインで意味のない横パスを繰り返していた。香川、乾、宇佐美の3人が同時に前を向けば十分チャンスはあったが、それもなかった。

結局、2試合を通じて見えたことは「チームプレー」ではなく、選手個々の「単独プレー披露」でしかなかった。何のための選手起用なのか、選ばれた選手は何を期待されているのか、チームの狙いは何なのか。そうった事が何も見えなかった。

必要なのはチームとしての狙い

チームに必要なのは「チームとしてどう戦うか」ということだ。そんな中、中島はチームにおいて絶大的存在といえ、ドリブルやためを作るプレーはバルセロナでのロナウジーニョのようだ。

当時バルセロナが強かったのは、チームにロナウジーニョのプレーを生かす仕組みがあったからである。もちろん、周りに素晴らしい選手がそろっていたからともいえる。しかし前線では、エトーが積極的に守備し、攻撃ではデコやシャビを中心にボールをコントロールし、ロナウジーニョが得意なエリアでプレーができるよう、チームが組み立てていたのだ。

今の日本代表に足りないのはまさにその部分。チームが一つの出口に向かって有機的にボールを運ぶことだ。中島の能力を最大限生かすのであれば、チームにはそのための機能が必要になってくる。個々ができることを披露するのではなく、共通のアイデアを持ってプレーするチームにならなければいけない。

6月のコパ・アメリカ、9月から始まるワールドカップ予選に向けて、森保監督に期待したい部分である。