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日本代表、組織力でカタールの後塵を拝す 5度目のアジアカップ優勝ならず

2019 2/2 08:30中山亮
サッカー,日本代表,2018年アジア杯決勝,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

カタールが完全に上回った前半45分

アジアカップは1日、UAE・アブダビのザイードスポーツシティ・スタジアムで決勝を行い、日本代表はカタール代表に1-3で敗れ、2大会ぶり5度目の優勝はならなかった。

勝負を決めたのは前半の45分間。

日本は、負傷の遠藤に代わって塩谷が入った以外は準決勝と同じメンバー。布陣も同じ4-2-3-1。一方のカタールは、準決勝UAE戦では日本と同じ4-2-3-1だったがこの試合では3バックの3-5-2。カタールは日本を分析し、日本対策としてこの布陣を採用してきたが、日本はこのカタールの3バックに対して対応ができなかった。

立ち上がりは決勝戦ということで両チーム共に強度の高い攻防が繰り広げられたが、時間の経過と共にカタールの3バックがボールをもった時に日本のプレッシングがハマらない場面が見られるようになる。

日本のプレッシングは前線で南野と大迫が並ぶ4-4-2の形で行われるのに対し、カタールは3バックなので最初から数的不利の状況ではあるのだが、これに加えてカタールの中盤・前線の選手すべてが日本の守備陣形の間にポジションを取ることで、プレッシングがハマらない状況が生まれていた。

その結果生まれたのが11分の失点シーン。日本はプレッシングが上手くいかないのでカタールの3バックに対して大迫、南野に加え原口もアプローチに出るが、そのタイミングで原口と塩谷の間にポジションを取る10番のハサン・アルハイドスへ縦パスが入る。

このパスで日本は全体が左サイドに引っ張られしまい、逆サイドに流れた11番のアクラム・アフィフがフリーになる。

最後は19番アルモエズ・アリのオーバーヘッドシュートという形だったが、そもそもはCBとSBの間の1つ手前、守備的MFとSHの間に攻撃の基点を作られたことで失点につながった。

27分に奪われた追加点も塩谷と原口の間に入った6番アブデルアジズ・ハティムへのパスから始まった。

カタールのフェリックス・サンチェス・バス監督は、日本の4-4-2に対してどういう布陣でどこにポジションを取ればどこが開くのかを分析し徹底させたが、対する日本の森保監督は全く準備できていなかった。

後半日本が攻勢に見えた理由

後半は日本が1点を返しさらには攻め込む時間が増えたことで、前半から一転し一見日本が攻勢に見えた。しかし実際のところは問題点を改善できていたわけではない。日本が後半の立ち上がりに攻め込むことができたのはカタールの守備陣系が変わったからだった。

カタールは前半の5-3-2から5-4-1に変更。これは2点リードとなったことでより安全にという狙いだったのだろう。

カタールの前線が1人減ったことで日本は前半よりもボールを運びやすくなり、かなり強引にではあったが、攻め込むこともできるようになった。そして中央を押し切る形で69分に南野が決め1点を返すことに成功する。

しかしここで再びカタールは守備陣形を前半同様の5-3-2へと変更。そうなると日本は再び停滞することとなる。

後半の中盤以降は日本の方が攻め込む時間が長かった。そうなったのは日程面の問題。日本は準決勝から中3日で決勝を迎えているのに対しカタールは中2日。後半のカタールはコンディション的に非常に厳しかっただろう。

そてでもこの試合、組織的な戦いで完全にカタールが上をいった。日本は最後までカタールディフェンスを崩せず、また83分にはアンラッキーな形とはいえPKで失点を重ね、1-3で敗戦となった。

この試合の日本は選手のミスや質で敗れたわけではない。ヨーロッパで浸透し劇的にサッカーを進化させた「組織的なポジショニングで優位性を作る」という考え方を取り入れたカタールに対して、日本は全くの無策。組織的な戦い方でカタールに上回られた結果がこの敗戦を生んだと言えるだろう。

組織的な戦い方でカタールの後塵を拝し、世界の流れについていけていないという事実を日本サッカー界は受け止めなければならない。次に向け日本代表の強化へ転機とできるか。