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AFCアジアカップ決勝戦 日本代表のキーポイントはCBとSBの間

2019 2/1 07:00中山亮
サッカー日本代表,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

2022年ワールドカップ開催国・カタール

次回2022年のワールドカップ開催が決まっているカタール。これまでワールドカップに出場したことはなく、AFCアジアカップの最高成績も2000年と自国開催の2011年に記録したベスト8が最高成績と目立った成績を残すことはできていない。

しかし、今年6月に開催されるコパ・アメリカ2019には、招待国として日本と共にCONMEBOL(南米サッカー連盟)外から参加することも決まっており、ワールドカップ開催に向けて強化を進めている真っ只中である。

今大会はここまで無失点で、カタールは初の決勝進出を決めた。グループリーグでは決勝トーナメント1回戦で日本が苦戦したサウジアラビアにも快勝。さらに準々決勝では韓国を下し、決勝まで駒を進めた。

今大会のカタールは、スペイン人のフェリックス・サンチェス・バス監督が率いているからか、スペインの中堅クラブで見られるようなモダンなサッカーを見せている。 基本となっている布陣は4-2-3-1。しかし、イラク戦の途中からや韓国戦でも3バックを見せたように臨機応変に対応できる。

また、基本的にはパスをつなぎながら攻め込み、ボールを持つサッカーを行いたいチームだが、高いボール保持率を誇るサウジアラビア戦では相手にボールを持たせながらカウンター2発で勝負を決めるという多様性も持っている。

今大会のカタールで最も注目を集めているのが、イランの英雄アリ・ダエイが持つアジアカップ歴代最多得点と並ぶ8得点を決めている19番のアルマエズ・アリ。 スピードがあり、シュートもうまいストライカーで、大会前からすでにサンチェス・バス監督の母国スペインでも注目を集め始めていたが、グループリーグのサウジアラビア戦を観戦していた名将モウリーニョ氏が大絶賛したことで、さらに世界的に注目を集めるようになっている。

カタールが優れているのは、ボールを持っている時のポジションバランスがいいこと。このあたりがスペインの中堅クラブらしいともいえるのだが、両サイド共にSHが幅を作ることで相手のCBとSBの間を広げ、そこにSBが後ろから飛び込んでくることでDFラインを動かす。そこからアルマエズ・アリがゴールを決めるという流れが再現性を持って繰り広げられる。

その他に注視すべきなのが左サイド。スピードのあるSHの11番アクラム・アフィフと超攻撃的SBの3番アブドゥルカリーム・ハサンがおり、こちらがカタールのストロングサイドとなっている。

勝負のポイントは攻守共にCBとSBの間

カタールの戦い方を踏まえ、日本がこの決勝で勝利するためのポイントを整理してみよう。

まず気をつけなければいけないのはカタールのサイドアタック。先ほども述べたが、ストロングサイドであるカタールの左サイドを、日本の右サイドは警戒しなければいけない。

カタールはこれまで同様、CBとSBの間を広げ、そのスペースにSBが飛び込むという形を狙ってくるだろう。日本はイラン戦で一度、SBの酒井がサイドに引き出された時に柴崎がカバーに入ったのだが、その後、相手のバックパスに対して柴崎が前へアプローチをかけた結果、スペースをぽっかりと空けられてしまう場面があった。

カタールは徹底してこの間のスペースを狙ってくるので、こういった隙を見せてはいけない。守備的MFが埋め、その後に前へアプローチをかけるのであれば、それに合わせて必ずDFラインをスライドするという動きを徹底することが必要になるだろう。

一方、攻撃でも狙いどころはカタールのCBとSBの間となるだろう。カタールは縦パスに対して厳しくアプローチをかけてくるが、今の大迫であればそれでも十分起点を作ることができるはずだ。 そうなった時に狙えるのはギャップができたCBとSBの間。日本のやり方でいえば、ここにトップ下の南野が何度飛び出せるかがポイントとなる。

カタールは下がって守る分には強いのだが、前にアプローチをかけた時にCBとSBの間を誰が埋めるのかが曖昧になってしまうことも多い。 準々決勝の韓国戦では、カタールは3バックだったが、韓国のソン・フンミンが3バックの両脇に飛び出すことで何度もチャンスをつくっていた。

森保監督は多少の優勢・劣勢に動じることなく勝負にこだわる采配ができる監督だ。 そういった面でも前半、もしカタールに攻め込まれる時間帯があったとしても決して動じることなく、今やアジアナンバーワンのCBコンビともいえる冨安・吉田を中心に守り切り、チャンスをものにできる可能性は高い。

日本対カタールの決勝戦は2月1日(金)日本時間23時キックオフとなっている。