ウズベキスタン戦に求められたもの
共に2連勝でグループステージ突破を決めていることもあり、両チーム共に前節から大きくメンバーを入れ替えて挑んだこの試合。考え方によっては消化試合と捉えることもできるが、2つの収穫があった。
その1つは当然ながら結果。
試合開始前の時点で日本とウズベキスタンは勝ち点で並ぶも、得失点差ではウズベキスタンが上回っていた。引き分け以下で日本が2位となり、決勝トーナメント1回戦で前回大会優勝のオーストラリアと対戦しなければならなかった。
優勝を狙う日本としては強豪オーストラリアとはいえ倒すべき相手だが、トーナメント序盤での対戦は避けたいというのが本音だろう。
そしてもう1つは控えメンバーの底上げ。ロシアワールドカップのベルギー戦における敗因として、ベルギーが最後の最後に繰り出したカウンターが印象深いが、実際のところ最後のカウンターは最終的な結果でしかない。
本当の敗因はカウンターを受けてしまう状況にまで追い込まれていたこと。そうなってしまったのは、信頼・計算ができる選手が特定の先発メンバー11人と本田・岡崎・山口3人の14人しかいなかったからだ。
それを踏まえ今回のアジアカップでトーナメントを勝ち上がるためには、控え組から計算できるメンバーを何人加えられるかが重要なポイントとなっていた。
日本はこの試合で結果を求めつつ、控え組を使ってチームの底上げもしていたのだ。
2つのポイントをクリアした日本
ウズベキスタン相手に2-1で勝利。この時点で1つ目の「結果」というポイントはクリアした。そしてもう1つの「控え組の底上げ」に関してもまずまずの内容だったと言えるだろう。
ウズベキスタンもすでにグループステージ突破が決まっているため先発5人を入れ替えて臨んだが、かつてスペインのバレンシアで2年連続UEFAチャンピオンズリーグ決勝に進出した経験を持つクーペル監督率いるチームということもあり、洗練されたクオリティの高いチームだった。
ウズベキスタンが取った戦い方は、自陣でコンパクトなブロックを作り、そこでボールを奪うと一気にSHがスプリントをかけカウンターを狙うというもの。これはクーペル監督が得意とする戦い方でもあり、今大会ここまでの対戦相手も取ってきた日本が乗り越えなければならない戦い方でもある。
そんなウズベキスタンに対して日本は、乾と伊東の両SH、佐々木と室屋の両SBがスムーズに幅を作り、攻撃を仕掛けることができた。
乾はベティスでプレー時間が短いこともあり後半はバテてしまったが、かつてエイバルで同じような役割を担っていたので、コンディション面さえクリアできれば十分な戦力だ。
また右SBの室屋のプレーも特に攻撃面では収穫といっていいだろう。
前線の武藤と北川の2人も、ここまでの2試合に比べると十分能力を発揮した。
確実にボールを収める大迫と、攻守にスイッチを入れることができる南野の2人はチームの戦い方を決定づけ、森保監督率いる日本代表にとって最も代えが利かない選手である。同じポジションに入る武藤・北川の2人は同じレベルで機能しているとは言い難かった。
しかしこの試合では武藤が同点ゴールを決め、結果を残した。先発の2人からポジションを奪うまでにはまだ至らないだろうが、アクセントになれることは証明したと言えるだろう。
そして最後に守備的MFに決勝ゴールを決めた塩谷は外せない。水戸や広島にいた時はDF、アル・アインの一員としてクラブワールドカップに出場した際にはWBも務めていた塩谷だが、守備的MFとしてもまずまずのプレーを見せ高いユーティリティ性を見せた。
遠藤が欠場となったトルクメニスタン戦ではCBの富安が守備的MFを務めたが、今後は有事の際に塩谷を起用することでカバーできるメドが立った。かつて広島でも何度も窮地を救い、この試合の決勝点でも見せた得点力は大きな魅力だ。
先制点を奪われたシーンのような被カウンター場面では、これまで同様にチームとしての課題として残っているが、選手面では優勝に近づくための大きな一歩を記した勝利だったと言えるだろう。