「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」
Photo by Ververidis Vasilis/Shutterstock.com
昨今の移籍市場では、ネイマールに約290億円、キリアン・ムバッペに約230億円という金額（買取オプション）が支払われるなど、移籍金の高騰が止まらない。一見すると尋常ではない金額に思えるが、ゴールを量産するような有能FWを獲得すればチームに良い結果をもたらすことができると考えれば、それも頷ける。
ところが驚くことに、ゴールを量産できないDFにも大金を使うようになったのだ。最近では、コロンビア代表のDFダビンソン・サンチェスが約55億円でトッテナム・ホットスパーFCに移籍した。
「世界最高峰の点取り屋VS期待のDF」という構図は、6月14日開幕するロシアW杯でも注目すべきポイントだ。
コロンビア代表のDFダビンソン・サンチェスは、強靭なフィジカルと威圧感、どんな相手にも追随するスピード、驚異的な身体能力を持つ。まだ21歳と若いが今後数年のうちに世界最高峰のDFとなる可能性を秘めている。
サンチェスがいるコロンビアは日本と同じグループH。日本メディアは対戦チームのFWに注目しがちで、主にコロンビアのファルカオや、ポーランドのレヴァンドフスキ、セネガルのサディオ・マネらが取り沙汰されている。
しかし、勝つために必要なのは得点であり、失点数の大小ばかりを気にしていられないのが正直なところ。日本は多くのパスとカウンター攻撃で綻びをつくりたいが、そこに立ちはだかるのがサンチェスだ。
まだ若くラインコントロールの面で荒削りな点があるサンチェスだが、1対1になればその身体能力でどんな相手も刈り取ってしまう。日本にとって彼の守備はファルカオよりも恐ろしい存在になるかもしれない。
W杯大会終了後に移籍を決める選手が多くいる。いずれも大会での活躍を認められ、他のクラブから関心を寄せられた選手たちだ。ところが今回、ポルトガル代表のDFリカルド・ペレイラはW杯開幕前に移籍が決定しているのだ。
ポルトガルがもっとも警戒しているスペインは、サイドと中央の巧みなパスで攻撃し攻め入ってくる。そこで必要となるのが、FCポルトから約33億円でレスター・シティFCへと移ったペレイラだ。
彼はインターセプトやタックルの技術の高さはもちろん、ドリブルや精度の高いクロスで攻撃に参加することを得意としている。大会でブレイク予想のペレイラを獲得し、守備による攻撃ルートのシャットアウトや攻撃参加によるおとり効果が期待できるなら、33億円も納得できる金額なのだろう。
移籍が決定している以上、ペレイラの価値はW杯直後の移籍市場に直接関与するものではない。だがレスターのフロントは、ペレイラの獲得が新シーズンに向けての弾みになり、それが間違いではなかったという確信が欲しいところだ。
世界最高峰の攻撃陣を誇るアルゼンチン代表。リオネル・メッシやセルヒオ・アグエロ、アンヘル・ディ・マリアなどの定番のメンバーをはじめ、アレハンドロ・ゴメスやハビエル・パストーレなど落選した選手の豪華さも素晴らしい。彼らのうち誰を代表入りさせるのか、そして試合に出すのかという贅沢過ぎる悩みを抱えている。
豪華な攻撃陣が活躍する裏には、ゲームメイクや守備に奔走する選手がいる。運動量も豊富でサイドからの突破も得意とし、DFだけでなくMFとしてもプレーすることができるマルコス・アクーニャは特筆すべき選手といえる。
メッシやアグエロにボールが渡った時、攻撃に専念する彼らの後ろにいるアクーニャの動きに注目してもらいたい。攻撃陣の後ろで誰よりも走り守備の穴埋めをすることがアクーニャのプレーであり努めなのだ。
大舞台で輝くFWの裏には、アクーニャのように泥臭く懸命なプレーをこなす選手が必ずいる。今大会でアルゼンチンの攻撃陣が評価されれば、アクーニャも評価されるべきだ。
4年に1度に行なわれ、国民・メディア・クラブ関係者らが注目するW杯。そこで活躍することができれば、その後の成功は約束されたと言っても過言ではない。事実、これまでにも多くの選手がW杯を機にブレイクしてきた。
W杯で記録されるゴールの1つ1つが成功のチャンスに繋がり、それを防ぐこともブレイクチャンスになり得る。つまりFWとDF、両方にとってのチャンスなのだ。
ダビンソン・サンチェス、リカルド・ペレイラ、マルコス・アクーニャ、それぞれがプレーを披露し評価され認めてもらい、次のチャンスを掴むために戦う。彼らが大会を通してブレイクを果たし、新たなスター選手が誕生することに期待しよう。
AI競馬