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【1年後を占う】FIFAコンフェデレーションズカップ2017まとめ

2017 8/25 10:07dada
Confederations Cup 2017
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開催が危ぶまれているコンフェデレーションズカップとは?

コンフェデレーションズカップは、ワールドカップ(以下、W杯)の模擬大会としての位置付けがされている。

2018年のW杯はロシアで開催されるのだが、2017年のコンフェデレーションズカップもロシアだ。つまりは、1年後にW杯が開催される国がコンフェデレーションズカップを主導し、大会の進行や警備といった試合とは直接関係しない部分をチェックしていく。
ここで粗相があればW杯にも不安を残すことになるため、ミスは許されない。

そういった事務的なリハーサルの他に、各国の代表選手たちの動向を探る意味合いもある。各大陸の王者とW杯開催国、そして前大会のW杯優勝国が集められ、計8ヵ国で優勝が争われる。

しかし、コンフェデレーションズカップの開催は各国の選手たちの負担になることが懸念されている。2022年に予定されているカタールでのW杯は熱波を避けるために11月の開催が予定されている。
となれば、リハーサルであるコンフェデレーションズカップも同じ時期の11月に開催されるはずなのだが、そうなれば選手たちは各国のリーグを中断して招集されなくてはならない。このことにクラブが反発するのは必至だ。

さらに各国の代表選手の動向を探るためとはいえ、実際には全力でコンフェデレーションズカップに挑む国というのは少ない。出場する各国の代表にとってもコンフェデレーションズカップは”リハーサルに過ぎない”のだ。

故にコンフェデレーションズカップは、開催の意義が問われている。

2軍でもやはり強い!優勝国ドイツ代表の強さ

2017年のコンフェデレーションズカップを制したのは、ドイツ代表だった。
前項でも取り上げたように、コンフェデレーションズカップに挑む国は、レベルを落とした陣容で挑むことが多く、ドイツ代表もまたそうであった。

しかし、2軍と呼ばれる陣容でありながら、ドイツ代表は随所で素晴らしいクオリティを発揮して優勝を成し遂げた。v 若手主体の陣容は決勝戦はチリ代表を押し切る形で制した。大会得点王のティモ・ヴェルナー選手はチリのゴールへ果敢に迫り、ゲームメイクのできるユリアン・ドラクスラー選手とともに試合を動かした。

対するチリはアレクシス・サンチェス選手(以下、敬称略)やアルトゥーロ・ビダル選手(以下、敬称略)ら運動量の豊富な選手がハードワークで攻守に貢献するも、ドイツ代表には一歩及ばなかった。ここぞという場面での一打に欠け、ドイツ代表の勢いを受け入れてしまった。

何度も言うが、この大会でのドイツ代表は若く2軍と言うべき陣容だった。2014年のW杯で圧倒的な強さを披露した、FCバイエルン・ミュンヘンに所属するの面々はほとんどいない。それでも大会を通して披露した勝負強さは、ドイツ代表のこれからを明るくするには十分だった。

ハードワークで臨むも準優勝、チリ代表の課題

チリ代表は、決勝戦でドイツ代表に敗れ準優勝となった。
多くの選手がハードワークをこなしたが、決定打に欠けたというのが正直なところだ。

チリ陣容は全力で臨んだに等しいのだが、2018年のW杯に向けてまだまだ課題はある。

それはサンチェスやビダルといった、チリ代表のエース級選手をもう少し自由にプレーさせることだ。今回のコンフェデレーションズカップでは、この2人があまりにも守備のタスクをこなし過ぎた。もちろん、それがチリ代表の持ち味でもあるのだが、タスクをこなすあまり彼らは攻撃に使うべきスタミナを温存できていなかった。
いざ、攻撃の局面となってもドリブルに切れ味がなく、もったいないボールロストが多かったように思える。

もう少し他の選手が彼らの分までハードワークをこなすか、ベテランよりも動けそうな若手の起用があっても良いだろう。
チリにはフランシスコ・シエラルタ選手という190cmと長身のDFがいる。彼は空中戦での勝負強さもありながら、SB起用も可能な逸材だ。彼を大舞台で育てることで開かれる道もあるのではないだろうか。

3位でフィニッシュ!ポルトガル代表のベテラン

ポルトガル代表はメキシコ代表戦を退けて、3位でフィニッシュした。

この試合ではペペ選手、アドリエン・シウバ選手といったベテランが後半ロスタイムと延長戦の前半で得点を挙げて勝ち抜けた。
ペペ選手は所属していたレアル・マドリードCFを去っていたことで、今後のモチベーションやクオリティの如何が気にされていたのだが、それが取るに足らないことだった。「何も問題なし」、その一言に尽きる。

そんなベテランの活躍の一方で、ACミランへの移籍が決定していた逸材アンドレ・シウバ選手(以下、敬称略)のプレーにも注目が集まった。
彼はスピードとパワーを兼ね備え、あのクリスティアーノ・ロナウド選手も認めたとされる期待の若手だ。しかし、そのアンドレ・シウバは自身によって獲得したPKをストップされる。ゴールへ果敢に迫る姿勢は評価すべきなので、今後の成長に期待したいところだ。おそらく1年後のW杯でも招集がされるはずで、その時にはさらに強くなっていることが予想される。

開催国ロシア代表は勝てる?いなかったフランス代表が強い?

今回のコンフェデレーションズカップでは、開催国であるロシア代表がグループAで敗退している。グループAには前述のポルトガル代表やメキシコ代表がおり、彼らにそれぞれ敗北を喫していた。

現状のロシア代表は、これからを担えるエースの存在を欠いている。

代表での歴代最多得点記録である30得点を挙げた、アレクサンドル・ケルジャコフ選手は2017年7月に引退を表明。今回のコンフェデレーションズカップはおろか、1年後のW杯への出場は叶わないことであり、やはりロシア代表にエースは存在しない。

願わくば開催国のロシアはW杯でも決勝トーナメントに進出してもらいたいものだ。準備期間は1年。時間は限られているが、できることはあるはずだ。

一方で今回のコンフェデレーションズカップには、2016年のEUROでポルトガル代表と死闘を繰り広げたフランス代表は出場していなかった。
それでも今のフランス代表が用意できる陣容は、W杯優勝を狙えるだけのクオリティを備えており1年後も彼らが優勝を争う姿は容易に想像できる。今回のコンフェデレーションズカップで彼らの動向を探れなかったのは、その他のライバルにとっては少々痛手だろう。

EUROで舐めた辛酸をフランス代表は忘れはしない。多くのスター選手を引っ提げ、1年後ロシア後に現れるだろう。