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W杯を支える審判たち 求められるスキルは?日本人は誰が?

2018 7/4 19:20SPAIA編集部
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Ⓒゲッティイメージズ

W杯を支える審判

グループリーグを勝ち抜いた猛者達が熱戦を繰り広げるW杯決勝トーナメント。たくさんの有名選手の活躍やニューカマーの躍進に目を惹かれるのはもちろんだが、今大会から導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の影響もあり、審判のレフェリングにも大きな注目が集まっている。

時には選手以上に試合への影響力をみせる審判。ワールドカップという大舞台で試合をコーディネートする彼らは一体どのような人物で、どうすれば就くことが出来る職業なのだろうか。

ロシア大会の審判団は狭き門をくぐり抜けたスーパーエリート集団

もしもあなたが「選手での出場が無理なら審判員としてW杯へ出場したい!」と考えるなら、まずは日本サッカー連盟(JFA)が定めた4級審判員の資格取得が必要だ。そこから経験を重ね各階級の条件をクリアし、最上級である1級まで昇級しなければならない。

1級審判員になるとJ1リーグの試合を経験しながら、次に目指すのは国際審判員だ。国際審判員になるためにはJFAから優秀な人材だと認められ、国際サッカー連盟(FIFA)に推薦してもらうことが必須だ。

2017年のデータによると、日本で審判員の登録数は271,662人。その中で1級として登録されているのは218名で、国際審判員として登録されているのは9名のみ。また、国際審判員は定年制のため、45歳で引退となる。

FIFAの発表によれば、ロシアW杯に参加する審判団は46か国から選び抜かれた主審35名、副審63名、VAR13名の合計111名で構成されている。大会に参加する選手の数から考えてみても、審判員としてW杯に出場するのがいかに難しいことなのか理解していただけるだろう。

求められるのは、語学力、体力、精神力、洞察力

2014年のブラジル大会から共通言語として設定された英語が話せるだけでW杯レフェリングは務まらない。選手以上に走り切れる体力と激しい抗議やプレッシャーに惑わされない精神力、そしてプレーの流れが読める洞察力が必要だ。

審判団は正確なレフェリングをするため、フィジカルトレーニングやメンタルトレーニング、ルール対応のための研修、試合を想定した実戦練習と予想以上にハードなスケジュールをこなしている。大会の判定をめぐり熱狂的なサポーターや世界中のマスコミから一斉に、罵倒を浴びせられる場合もある。彼らもまた選手同様、夢の舞台で戦っているのだ。

日本人審判が見せた、SAMURAI BLUEの誇り

今大会は佐藤隆治主審、相樂亨副審、山内宏志氏副審の3名が選出されており、日本代表として大会で活躍している。

グループリーグ第2戦であるドイツースェーデン戦。第4の審判員に指名された佐藤隆治主審が、激昂したスウェーデンのアンデション監督とドイツ代表ディレクターを務めるオリバー・ビアオフ氏が口論する場面で、毅然とした態度を取っている姿が見られた。

その姿は「日本人サポーターによる試合後のゴミ拾い」や、惜しくも敗退したベルギー戦後に日本代表が行った「美しく整えられたロッカールーム」と同様、異国の地へ乗り込んだSAMURAI BLUEの一人として誇りを感じさせるワンシーンとなったのではないだろうか。

早いもので、残り数試合となったW杯。決勝までに生まれる数々の名シーンはもちろんだが、トップ選手たちが彩る試合をコントロールするレフェリー達に注目してみるのも面白いかもしれない。