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【隠された意味】サッカー選手の契約延長にまつわる豆知識3つ

2018 4/16 12:46dai06
サッカー契約延長豆知識
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契約延長を渋るのは金のためだけじゃない

契約の延長をクラブから持ちかけられた時、すべての選手がそれに対してすぐにYESと答えるわけではない。なかには交渉の席にさえつかない選手もいる。
そうした選手は、一部のサポーターから「金のために渋っているのか?」と言われがちだ。確かに契約の延長を渋ることでクラブ側からより良い条件を引き出すことはできるだろう。

しかし、彼らが延長を渋る理由は金銭面だけではなく「他のクラブからのオファーを待つため」なのだ。それは経済的でもあり、心理的な問題でもある。
一度契約の延長に応じてしまえば、これまで設定されていた違約金が更に高額になる可能性があり、その他のクラブはオファーを出しにくくなる。

移籍市場で多額の金銭が動くようになった近年では、どのクラブも違約金の設定に敏感になっている。
アトレティコ・マドリードのサウール・ニゲスは2017年の夏、2021年までだった契約をさらに2026年まで伸ばした結果、違約金は1億ユーロ(約128億円)にまでなった。

契約延長で他クラブからのオファーを足切りに

契約の延長を行えば当然、違約金だけでなく給料も上がる。活躍度の高い選手や有望な若手選手であれば、給与はどんどん上昇し、4大リーグともなれば1年で数十億円を稼ぐような選手も出てくるだろう。
当然そのような給与を支払えるクラブというのは限られており、リーグで首位を狙うビッグクラブと呼ばれる程の経済力を持つクラブでなくては不可能だ。

それ以外の小さなクラブは興味ある選手がいたとしても契約が延長され、週給が高くなれば手を出し辛くなる。たとえ移籍金の用意ができたとしても、今度はその選手の維持費(週給)が払えなくなってしまう。
つまり、そういうクラブからのオファーを足切りするためにも契約延長は行われるのだ。

2015-16シーズンに、奇跡とされる優勝を果たしたレスター・シティFCの立役者でもあったジェイミー・ヴァーディ。入り前の彼は、技師として働きながらアマチュア選手として活動していた。
この活躍を受け週給約4万ポンド(約700万円)が、今や倍の約8万ポンド(約1400万円)になったといわれている。これにより資金力のないクラブは、安易なオファーを出しにくくなったといえる。

ボーナスで機嫌取り?揉めに揉めているネイマール

契約延長が行われれば、そのタイミングでボーナスが支払われることも多い。言ってみればこれは、クラブ側から選手へ与えられる「ねぎらい」であり「機嫌取り」だ。

選手にとって金がすべてではないのは前述した通りだが、こうした細かな部分からもクラブと選手の信頼関係は構築されていく。
選手や代理人の力が増しつつある近年のサッカー界にとって、選手との関係がこじれるのは何としても避けなくてはならない。そのための手段がボーナスの支払いというわけだ。

しかし、こうしたボーナスの支払いは、時に騒動を呼び起こすこともある。
2017年夏にバルセロナから移籍したネイマールの場合、バルセロナとの間に交わされていたというボーナスの支払いを巡って裁判沙汰になっている。ネイマール側は約2600万ユーロ(約40億円)を要求し、バルセロナ側は移籍前までに得ていた収入と損害賠償金である約7500万ユーロ(約100億円)を要求している。

この騒動は未だ決着がついておらず、ネイマールとバルセロナ、そしてサポーター達との間には亀裂ができてしまった。このように契約延長は、サポーターも巻き込む程の騒動に発展する場合もあるのだ。