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【お金だけじゃない?】サッカー選手の移籍の決め手を徹底解説!

2017 10/13 10:05dai06
サッカーボール、お金
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批判は覚悟の上!金銭面や待遇が良いから

プロのサッカー選手である以上、お金を稼がなくてはならない。これは当たり前だ。20世紀後半から、サッカー選手には非常に高額の給与が支払われるようになった。
リーグやクラブに舞い込む多額の放映権料は、選手の給与も向上させた。1年で数十億円を稼ぐような選手も当たり前のようにいる。そんな金銭面に惹かれる選手がいるのもまた事実だろう。

成長著しい中国のリーグには、欧州の名選手が何人も渡っている。エセキエル・ラベッシ選手、カルロス・テベス選手(以下、敬称略)、オスカル選手らがその筆頭だろうか。

一般的に中国のリーグは、欧州と比べるとどうしても見劣りがしてしまう。プレー面はもちろん、生活面でも不安を抱く選手は少なくない。
それでも欧州の選手が中国に渡るのは、金銭面などの待遇が良いからだ。テベスは1年で約50億円という給与を受け取る。クリスティアーノ・ロナウド選手が約30億円であるから、この金額がどれだけ凄まじいものであるは明らかだ。
もちろん、テベスが素晴らしい選手であることは疑いの余地はないが、30歳を超えた選手にこれだけの給与が支払われるのは驚くべきことだ。

しかし、多額の給与が約束されている移籍を受け入れた場合、避けて通れないのが批判だ。テベスの場合は自身を育てた古巣のボカ・ジュニアーズのサポーターから「裏切り者」といったレッテルを貼られてしまった。

出場機会やエースとしての地位が約束されるから

2017年の夏、サッカー界を揺るがしたのがネイマール選手(以下、敬称略)だろう。FCバルセロナ(以下、バルセロナ)にパリ・サンジェルマンFC(以下、PSG)が支払った金額は約290億円。この金額がこの夏の市場の選手の価格を底上げし、50億円規模以上の移籍が続発した。
「ネイマールにそれほどまでの金額がつけられるなら、うちの選手だってこれだけ高くても売れるだろう」、各クラブのフロントからはそんな意思が汲み取れる。

バルセロナの将来を背負い、リオネル・メッシ選手(以下、敬称略)らと世界最高峰の攻撃陣を築いていたネイマール。彼がそれでも移籍を決断したのは、なぜだろうか。
本人は「僕はいつも自分と家族の幸せを考えている。お金のためであれば他のことをやっているよ」と語り、あくまでも多額の給与が目当てではないことを強調した。どうやら彼は出場機会だけでなく、「エース」としての立場を求めたようだ。

バルセロナではどう転んでもメッシより上の地位を望むことはできないだろう。相性やコンディションはあるにせよ、「ネイマールとメッシどっちを出場させるか?空きは1つしかない」と言われれば、クラブの象徴であるメッシの方が重視される。極端に言えば、メッシが引退しない限り、ネイマールはバルセロナのエースになることができない。

だが、PSGではどうだろうか。国際舞台(CL)でのタイトルを渇望するPSGは、ネイマールを必ず重宝する。PSGにも優れた選手はいるのだが、ネイマールほどキャッチーで実力的にも素晴らしい選手はいない。バルセロナでは付けることできなかったであろう背番号10を背負い、ネイマールは新たな挑戦を手にした。

一緒にプレーしたい!同胞や友人の存在があったから

ネイマールの移籍の裏には、PSGに同胞で大の友人でもあるダニエウ・アウヴェス選手(以下、敬称略)が存在することも背景にあったようだ。そのアウヴェスもネイマールがやってくることを移籍の理由に挙げている。

サポーターからすれば「どうしてそんなクラブに行ってしまうんだ?」といった移籍においては、金銭面だけでなくその選手の移籍先のチームメイトについてもよく考えてもらいたい。母国が同じ選手が複数名いること、かつて同じクラブでプレーしたことがある友人いること、そういった背景が移籍を決めたのかもしれない。

ネイマールとアウヴェスの場合は、プレーしたクラブも国も同じだったが、これは必ずしも友人の絶対の条件ではない。
マンチェスター・ユナイテッドFCに移籍したロメル・ルカク選手が、プレーしたクラブも国も違うポール・ポグバ選手を友人とし、移籍の一助となったことを語っているように、サッカー選手の交友関係はとても広く複雑だ。サポーターがその全てを把握することは難しいが、移籍の大きな支えになることは事実だろう。

更なる高みへ!強豪、名門からの誘いがあったから

強豪や名門と呼ばれるクラブからの誘いは、どんな選手の目にも魅力的に映る。
特にサッカー界では、「バルセロナやレアル・マドリードCF(以下、マドリード)、この2クラブからの誘いを選手は断ることができない」とまでされている。この2クラブはプレーレベルが高い上、ブランド力も他のクラブよりも抜きん出ているからだ。故に控えに甘んじることがわかっていても、移籍を決める選手は少なくない。

ただ、強豪や名門であっても条件をつける選手はいる。それがマドリードをはじめ複数のクラブから関心を持たれたキリアン・ムバッペ選手(以下、敬称略)だ。2017年夏、彼はPSGにレンタル移籍(買い取りオプション付き)することを決めた。
彼はこの移籍市場でネイマール選手と並んで注目された選手であり、多くのクラブが多額の移籍金や給与を支払うことで獲得を狙っていただけに、この移籍は驚きだった。
ムバッペは移籍に際して、「偉大な選手たちは、自国で歴史を築き上げていったんだよ」と語り、自国のクラブでキャリアを積み上げていくことを重視したようだ。PSGはフランスの強豪であり、名門のクラブだ。フランス人であるムバッペの意思にも適っている。

男のなかの男!古巣への愛を裏切ることができなかったから

チェルシーFC(以下、チェルシー)のレジェンドと言えば、フランク・ランパード氏(以下、敬称略)やディディエ・ドログバ選手など複数名の選手が存在するのだが、ジョン・テリー選手(以下、敬称略)はその筆頭格だろう。
長年クラブのキャプテンを務め、選手、クラブ、サポーターからの支持も抜群だった。ランパードからは「a man's man(男のなかの男)」と称賛された。

テリーは、加齢による衰えから出場機会が減っていく状況下でも、ピッチ内外でクラブをサポートし続けた。そして2016-17シーズンにリーグタイトルを獲得すると、22年間過ごしたチェルシーから退団した。

1980年生まれのテリーは35歳をとうに超えているのだが、まだまだ最前線でプレーできることをサポーターは疑わなかった。テリー自身も退団と同時に引退することはなかった様子で、新天地を探していた。
そうして決まったのが、アストン・ヴィラFC(以下、アストン・ヴィラ)への加入だった。アストン・ヴィラはプレミアリーグの2部にあたるリーグで戦う(2017-18シーズン)。
「なぜテリーほどの選手が2部に行くのか、残念だ」という声もあったが、テリー自身は「チェルシー(1部)と戦うことは、精神的に受け入れられない」と語り、退団後もチェルシーへの愛情が見え隠れしていた。
テリーのように古巣との関係を重視して移籍を決める選手もいる。「移籍をすれば古巣との関係は終わり」ということもないようだ。

近年、多額の金銭がやり取りされる市場を見ていると、そういったことは埋もれてしまいがちだ。なんと歯痒いことだろうか。この記事を読んでくださった読者の方には、金銭面以外の背景にもしっかりと目を向けていただきたい。