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東京パラリンピックでも注目!ブラインドサッカーは聴覚が命

2017 3/29 09:48Aki
サッカー
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Photo by Ververidis Vasilis / Shutterstock.com

視覚障がい者によるサッカー「ブラインドサッカー」は、見るものを圧倒する激しさ、熱さがある、ある種通常のサッカーよりもタフな競技。東京パラリンピックを前に、パラリンピックの人気競技の1つであるブラインドサッカーをご紹介します。

目隠しをして行うサッカー

ブラインドサッカーのベースになっているのはフットサル。フィールドプレーヤー4人とゴールキーパー1人の1チーム5人で行われ、フィールドプレーヤー4人は視覚障がいのレベルを統一させるためアイマスクをしてプレーを行います。
フィールドプレーヤーが頼りにしているのはボールの中の鈴の音と、目が見える人の声によるコーチング。コーチングは相手ゴール裏にいる「コーラー」と呼ばれる人と、ピッチサイドの監督、そして自チームのゴールキーパーの3人です。それぞれがピッチを3分割した敵陣側・中盤・自陣側からコーチングを行うため、立ち位置に従って指示の内容や役割が異なっています。
プレーヤーは目が見えないためラインを自分で判断することができないため、ピッチの両サイド、通常タッチラインがある場所には壁が設置されています。

激しくタフなブラインドサッカー

ブラインドサッカーを初めて見た時、そのプレーの激しさに衝撃を受ける方がほとんどです。
ブラインドサッカーではプレーヤー達はピッチでの情報を音から得る事になります。そのためインプレー中はスタンドの観客は極力音を出さず静かに観戦しなければいけません。その為静かなピッチにボールに入った鈴の音と、声での指示が響く事になるのですが、それ以上に聞こえてくるのは「ドン!」という激しい音。ピッチサイドに設置された壁に選手がぶつかっている音です。
先ほども書いた通りブラインドサッカーではタッチラインが壁になっており、攻撃で相手ゴール前にボールを運ぶにはこの壁をいかに有利に利用するかがポイントとなっています。 しかし守備側もそれを理解しているので壁際に陣取って守備をする。その結果、ある種プレミアリーグ以上の激しいボディコンタクトが壁際で行われ、その度に「ドン!」という激しい音が響き渡るのです。

パラリンピックでは2004年アテネ大会から正式種目に

ブラインドサッカーがパラリンピックの正式種目に選ばれたのは2004年のアテネ大会から。2016年のリオパラリンピックまでこれまで4大会で行われています。 その中で圧倒的な強さを見せているのがブラジル代表。母国大会となった2016年のリオパラリンピックでも優勝を達成し、大会4連覇と貫録を見せつけています。
一方日本代表は、残念ながらパラリンピックに出場した事はありませんが、2014年東京開催となった世界選手権には過去3回出場。2020年の東京パラリンピックでは自国開催として初出場となりますが、メダル獲得に向けて本格的な強化が既に始まっています。

ブラインドサッカー界の注目選手

ブラインドサッカー界で王者と呼ばれているのが、ブラジル代表のエースがヒカルド選手。背番号10番を背負うこのスーパースターの武器は、ボールが足に吸い付くドリブル突破だけでなく、壁際でのボディコンタクトの強さも群を抜いています。
シュート精度の高さも素晴らしく、特に角度のないところからのシュートを得意としています。アイマスクで完全に目が見えていない状態にもかかわらず、目が見えているゴールキーパーから簡単にゴールを決める様は圧巻です。
アジアのスターはフットサル強豪国でもあるイランのビフザード・ザダリアスハーリ選手。リオパラリンピックのモロッコ戦で見せたカットインからフィールドプレーヤー4人全員をドリブルで抜いての強烈なシュートは、まるでメッシの様だと話題になりました。

日本代表の注目選手

ブラインドサッカー日本代表キャプテン落合啓士選手。エースとして背番号10も背負う、代表の中心選手です。ドリブルテクニック、パスの精度、シュートの巧さはいずれも日本最高レベルです。
特に現在のブラインドサッカー日本代表は、東京パラリンピックに向けて本腰を入れて強化を始め、ポゼッションサッカーにチャレンジしているのですが、落合啓士選手がいるからこそそこにトライする事が可能であるともいわれています。
神奈川県内で唯一のブラインドサッカーチーム「buen cambio yokohama」を設立し、クラブの代表を務めながらプレーを行っています。

まとめ

2020年の東京パラリンピックではお台場が会場となることが決定しているブラインドサッカー。音の情報が重要なスポーツなので普段観客席は静かに観戦する必要がありますが、ゴールが決まった時は別。それまで静かに観戦していた分、ゴールが決まった瞬間の爆発力は「見るスポーツ」としての魅力にも溢れています。 パラリンピックではブラインドサッカーに注目してみてはいかがでしょうか。