「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

大学サッカー西の強豪!関西学生サッカーリーグの紹介

2017 9/21 10:27柴田カズヤ
サッカー ゴール
このエントリーをはてなブックマークに追加

関西学生サッカーリーグとは?

今回紹介する関西学生リーグ(以下関西リーグ)は関西地域2府4県の大学によって構成されるリーグだ。リーグの構成は、2016年度に関しては、1部リーグ(12チーム)を頂点に、2部Aリーグ(10チーム)、2部Bリーグ(10チーム)、3部リーグ(29チームがA、B、Cの3ブロックに分かれる)の計61チームによって行われた。
関西リーグの特徴は1部リーグから3部リーグまで全てのリーグが関西全域で行われる広域リーグだということだ。どういうことかというと、例えば関東リーグは関東1部、2部リーグの下には各都県のチームで構成されるリーグがあり、東京都は東京都のチームで、埼玉県は埼玉県のチームで試合が行われる。このような形は東海リーグや九州リーグも同じで、関西リーグのような形は他には東北リーグなどが行っているが、そのリーグ構成は1つの特徴と言える。
そんな関西リーグは1部リーグ所属チームともなるとそのレベルは非常に高く、毎年多くのプロ選手を輩出している。詳しくは後ほど書くが、大学サッカーのタイトルのほとんどは関東か関西のチームが獲得しているということもあり、多くの有力な高校生たちが関東や関西のリーグに所属する強豪大学へと進学している。中には関東地方から関西の大学へ進学する選手もおり、地域を問わず全国から選手が集まるリーグと言える。

関東の勢いを止める1番手

大学サッカーの強豪と言われるチームの多くは関東や関西に所属しているチームだ。
もちろん、それ以外の地域にも例えば九州の福岡大学や鹿屋体育大学、四国の高知大学、中国の環太平洋大学、東北の仙台大学など全国レベルの知名度と実力を誇るチームはある。しかし、これらのチームが所属するリーグにおいては他の強豪チームが少なく、例えば各地のリーグの順位によって出場チームが決まる全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)において、2016年仙台大学は16年連続、高知大学は23年連続で出場するなど、各リーグにおける力の差があると言える。
そのようなこともあってか、先ほども触れたが全国レベルの大会におけるタイトルのほとんどは、関東か関西のチームが獲得しており、リーグ全体のレベルの高さを伺うことができる。
しかし、関東と関西を比べてみると、関東の方が圧倒的に多くのタイトルを獲得している。大学サッカーの主要大会の1つであるインカレはこれまで65回開催されたが、そのうち優勝しているのは、関東58回、関西9回、東海1回(両校優勝含む)と関東の次点でありながら大きく引き離されている。また、同じく総理大臣杯においてもこれまでの40回の大会のうち関東29回、関西10回、九州1回となっている。
数字をみると関東がぶっちぎりではあるが、これには出場校数の枠の違いというレギュレーションが関係しているし、近年の成績においては関東の独走状況ではないことがわかる。過去5年のインカレ、総理大臣杯を振り返るとインカレにおいては、優勝が関東3回、関西2回、総理大臣杯も同じく関東3回、関西2回とその差はわずかだ。
特にインカレに関しては2013~2015年にかけて3年連続で関西のチームが決勝に進んでいるし、2016年のインカレにおいてもベスト4のうち2チームが関西勢だった。数字の上では差があるが、実力は拮抗しており、まさに関東のライバルとして、その独走を食い止めるのが関西リーグのチームだと言える。

強豪リーグで結果を残すチーム

これまで書いてきたように関西リーグは大学サッカー界の中でも強豪揃いのレベルの高いリーグと言える。ではその強豪の中でも強さを発揮しているチームはどこなのだろうか?
同じく過去5年の関西1部リーグの成績を振り返ると幾つかのチームが浮かび上がってくる。2012年から2016年の関西1部リーグに所属したチームは2部Aへと降格したチームも含めると16チームだ。そのうちインカレ出場権を与えられる4位以内に5年連続で入っているのが阪南大学と関西学院大学の2チームだ。
この2チームに関しては、関西リーグにおける順位だけでなく全国レベルの大会でも結果を残している。阪南大学は2012年の総理大臣杯決勝、2015年のインカレの決勝に進出し、総理大臣杯では優勝を果たしている。また、関西学院大学は2015年の総理大臣杯決勝、2014年、2015年のインカレ決勝に進出し、2015年の総理大臣杯、インカレで優勝している。特に2015年のインカレに関しては阪南大学対関西学院大学という関西勢同士のカードとなるなど、関西の強さを現した大会となった。
関西のチームはよく関東のチームとの比較対象とされ、過去の成績などから関東が優位というイメージが定着しているが、そんなことはないということが以下のインタビューからわかる。

「関東(のレベル)が高くて、関西が低いという構図は絶対にない」

出典: ゲキサカ

これはインカレ準決勝の筑波大学戦の前に阪南大学を率いる須佐徹太郎監督が語った言葉だ。須佐監督は筑波大のOBということで関東リーグのレベルの高さを知っていると考えられる。
それでもこのように語るということからも関西のレベルの高さを伺うことができるし、なによりも、先述の通り過去5年の結果がこの言葉の裏付けとなっている。

今後の活躍に期待ができるチーム

ここまで関西1部リーグに注目してきたが、それ以外のチームにも注目したいと思う。中でもその取り組みから今後関西リーグの上位での活躍するのではないか?と思われるチームを2つ紹介する。
まずは、関西福祉大学だ。関西福祉大学サッカー部のホームページによるとチームが始動し始めたのは2015年からでまだまだ歴史の浅いチームだ。所属している選手も2016年度は1、2年生のみだった。そんなチームを率いるのは元Jリーガーの中田洋平監督が掲げるチームの目標は、創部3年で1部昇格であり、これはつまり毎年昇格し続けるということになる。言うは易く行うは難しと言われるとおり、そんな簡単に達成できるものなのだろうか?ましてや、上級生のいない出来立てのチームにおいて。
そんな疑いの目を持ちたくなるが、チームは2015年、3部リーグで2位となり2部Bへ昇格、続く2016年は2部B昇格1年目ながら優勝し2017年は2部Aで戦う。今のところ有言実行で毎年昇格し続けている関西福祉大学が今後の関西リーグの台風の目になるかもしれない。
続いて紹介するのは京都大学だ。京都大学はみなさんご存知の通り、日本の最高学府の1つとして東の東京大学、西の京都大学と双璧をなす存在だ。 そんな京都大学のサッカー部が強いというのは意外に思われるかもしれないが、自分たちの特徴をしっかりと活かしたチーム運営で上位進出を目指している。 現在京都大学は2部Bリーグに所属している。2部A昇格を目標にしながらも、2016年は3部リーグとの入れ替え戦に回り、かろうじて2部B残留を決めるなど決して順調なチームではない。
京都大学の特徴を挙げるなら、自分たちで考えるチームということだ。京都大学には常駐の指導者がおらず、普段の活動は学生が主体となって自分たちで考えて行う。所属する選手は高校時代まではサッカーと同時に勉強にも力を入れてきており、頭を使うことは関西の他のどのチームよりも長けている。常に状況が変わるサッカーの試合においては自分で考え、判断する力が非常に重要であり、頭のレベルがトップクラスの京都大学が今後上位リーグに進出する可能性は大いにあるのではないかと思われる。

上位チームを脅かすチームの出現に期待

ここまで関西リーグについて紹介してきた。大学サッカー界において関東リーグと双璧をなす存在である関西リーグだが、近年の成績などからその実力をわかっていただけたかと思う。 実力があるリーグということもあり毎年多くのJリーガーを輩出し続けており、2016年度も15名の選手がプロに内定している(2017年1月11日現在)。
しかし、リーグを見てみると上位に入り、全国でも好成績を残せるチームはまだ限られており、今後リーグ全体のより一層のレベルアップが求められる。 幸いなことに、過去5年で1部リーグから2部Aリーグへと自動降格したチームは7チーム(※毎年下位2チームが自動降格するので5年でかぶりも含めて計10チームになる)とチームの入れ替わりは激しく行われていて、容易にはリーグを勝ち抜くことができない環境が生まれている。
さらには先ほど紹介した関西福祉大学などのように今後上位リーグに食い込んでくることが期待できるチームもいるなど、各チームにとって緊張感のあるリーグ戦が展開されることだろう。
上位陣がどこまでいい成績を残せるかということに加えて、新進気鋭のチームがいかに波乱を起こしてくれるかということに注目してみてはいかがだろうか?