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「W杯で日本人のメンタルの強さを見せる」ラグビー日本代表リーチ マイケルに聞く②

2018 9/20 06:00四家秀治
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「W杯初戦のロシア戦が一番重要」ラグビー日本代表リーチ マイケルに聞く①



約一年後に迫ったラグビーワールドカップ2019日本大会。開幕へ向けラグビー日本代表に注目が集まる中、前回W杯日本代表主将で今大会も主将候補のリーチ マイケル選手が来年へ向けた思いを熱く語った。

チームに柔軟性が身に付いた

―来年のW杯でも日本代表の主将になると思います。2大会連続で主将ということについては?

何も変わらないですが、前回経験しているのはやはり大きいです。いろいろな状況について予測ができますから早めに対応できると思います。チームがいい状態のときも悪い状態のときも。

ただ、前回ははっきり言って注目度0、今回は地元開催なので注目度100です。それが一番の違いでしょう。

でも注目度が高いのはうれしいことでもあります。われわれの戦う姿勢を多くの日本人に見てもらえる。それはプレッシャーというよりもうれしいことです。

もちろん、スタジアム、気候、などに慣れている点で、ホームの優位性もあります。でも、家族、友人、知り合いなどが近くにいるのは必ずしも優位ではありません。

例えば、直前に友人が、応援に会いにくるかもしれないし、突然「チケットが欲しい」と言ってくるかもしれません(笑)。そんなことは前回のイングランド大会ではほとんどありえなかったことですから。

よくキンちゃん(大野均)と話すのは(来年も含めて)あとW杯に3回出たいということです。

キンちゃんは、前回37歳で出ました。私は来年31歳。3回出るには39歳で出ればいいわけで。キンちゃんは叩かれても叩かれてもラックの真ん中から出てくるのでゾンビと呼ばれていますが…(笑)

※大野均(日本代表LO、キャップ歴代最多98、W杯3回出場、リーチとは東芝のチームメイト)

―2016年に日本代表から離れたのは?

もし、2016年も日本代表でやっていたら僕は死んでいたかもしれません。それはないとしても、たぶんラグビーが嫌いになったと思います。それぐらい前回のW杯ではギリギリまで自分を追い込みました。

だからジョセフがヘッドコーチになった頃、日本代表は言われたことはやるが、自主的でないなどと言われたそうですが、知りません。

確かに、エディの頃は、エディの言う通りにやるのがチームのスタイルでしたし、事実、それで勝ちました。

ジョセフに代わってからも選手は初め言われた通りやるだけだったのかもしれません。でも今は、自主的に考えて積極的に取り組んでいます。

それは、2015年以前からのメンバーにはエディの頃に培われたものがあり、それがジョセフのスタイルとは違うので、皆、考えるようになったということで、それが柔軟性なんだと思います。

―トニー・ブラウンとジョン・プラムツリーの2人のコーチについては?

ブラウンがアタックをプラムツリーがディフェンスを、2人ともよく考えてくれていると思います。

最初に、ジェイミーがプランを掲げてと言いましたが、そのプランをブラウンとプラムツリーがアタック、ディフェンスでそれぞれ細かく指示を出すような役割です。選手たちはそれを考えながら自分たちでスタンダードにしています。

選手の中では前回も出場したフミ(田中史朗=SH)、堀江(翔太=HO)がよくサポートしてくれます。チームは着実に成長しています。

フィジカルもメンタルも100%に

―2015年のW杯より、各チームが日本を分析してくると思うのですが、それについてはどうですか?

それは、あまり気にしていません。対応力がつきましたから。ラインアウトについては自信がありますし、スクラムも強くなっている。あと、モールも今の日本は強いですよ。

―リーチさん個人としては2015年以降の3年でどう変わってきたと思っていますか?

メンタル的には、自己責任の部分が成長したかなと思います。フィジカルでは3年前よりすべての数値が上がっています。

―日本代表には前回よりもっといろいろな国の選手がいます。ワンチームにするのは難しくないですか?

皆、ワールドカップに出たくて日本代表になっているのではなく、日本のラグビーを強くしたい思いで出場しています。

2015年にはトンプソンルークのような選手がいました。彼はワンチームにする上でとても大きな存在だったと思いますが、今回も難しくはないと思っています。

※トンプソンルーク(NZ出身、2010年に日本に帰化、近鉄所属、元日本代表LO、代表キャップ64。日本をこよなく愛し、献身的なプレーは秀逸で大阪弁を話す)

―あと1年でチームをどう仕上げていくイメージですか?

さっきも言ったように、もっと身体を作って、走って、そして来春からのサンウルブズの試合を通して、いろいろと試したいです。これからは細かいところも詰めていきたいので。そういう意味でサンウルブズがあるのは日本のアドバンテージです。

日本代表をイメージして何試合戦うのかまではまだわかりませんが、そこでの経験を踏まえ、W杯直前のテストマッチで仕上げていけばいい(対戦相手はまだ不明)と思います。

もちろん、コンディショニングも大切ですが、最後に一番大事なのはメンタルです。2015年のチームはフィジカルも100%でしたがメンタルも100%でした。そのような状態に持っていきたいです。そのためにはメンタルコーチも必要で、今探しているところです。

―最後に、W杯で、日本のファンに何を見てもらいたいですか?

ある国の格闘技の人と話していて「日本人のメンタルの強さはすごい」と言われました。そのようなどこにも負けないメンタルの強さ。大きな選手を倒して勝つ強い日本代表をお見せしたいですし、ぜひ見てほしいです。