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「W杯初戦のロシア戦が一番重要」ラグビー日本代表リーチ マイケルに聞く①

2018 9/20 06:00四家秀治
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約一年後に迫ったラグビーワールドカップ2019日本大会。開幕へ向けラグビー日本代表に注目が集まる中、前回W杯日本代表主将で今大会も主将候補のリーチ マイケル選手が来年へ向けた思いを熱く語った。

4年前のW杯とは違う

―ワールドカップ(以下W杯)まであと1年、今、どんな心境ですか?

あと1年か、早いなあという印象です。

―1年前のチームの状態としては2015年のW杯の1年前と比べてどうですか?

(2015年までは)日本はW杯でしばらく勝っていませんでした。(1991年の第2回大会以来勝ち星なし)

自分たちのチームでも勝っていませんでしたから、W杯前のメンタリティとしては2015年に3勝している経験がある分、4年前とは違います。

前回のW杯で勝利した経験のあるメンバーがいるのは大きいです。

―ヘッドコーチがエディ・ジョーンズからジェイミー・ジョセフに変わったことについては?

もちろん、エディの頃の経験は大きいです。ジェイミー(の指導)だけでは難しい。

今の日本代表は、ジェイミーの掲げたプランを消化してスタンダードを仕上げるのは選手たちというやり方で、考えながらやっています。4年前よりチームには柔軟性もあります。

チームの方向性としても今はいい感じだと思います。

―では、2015年以降の日本代表を振り返ってください。

2015年の前と今回とでは、対戦相手が違います。

オーストラリアともアイルランドとも戦いました。今年はイタリアとも試合をしました。 これからニュージーランド(以下NZ)、イングランドとも試合ができます。

世界のトップ4といっていいNZ、イングランド、オーストラリア、アイルランドと試合ができるのは大きいです。前回は、トップレベル(ティア1)の国としてはウェールズと試合をしたぐらいですから。

今年6月のテストマッチではイタリアとの1戦目が戦い方としては完璧でした。自分たちで考えたプラン通りに戦って勝てました(34-17)。でも、イタリアとの2戦目は敗れ(22-25)、ディフェンスに問題があることがわかりました。

身体づくりとゲームマネジメントの重要性も再認識することができました。これはいい経験と捉えています。課題が見つかったわけですから。

―身体づくりについては、エディ体制のときにも徹底的にやりましたよね。

朝から5部練、あれはやりすぎ。(笑)

でも、フィットネスは高めないといけません。しっかりやっていきます。それから走ること。その量とスピードもとても重要です。トランジション(攻守の切り替え)の速さは世界一にならなければいけないと思っています。

100%日本でラグビーがうまくなった

―先ほどのお話しに出たNZ、イングランドと、11月に対戦しますが、どう戦いますか?

過去3年間でやってきたこと、そのすべてを出して挑みたいです。世界No.1とNo.2のチームですからできればどちらにも勝って、自信をつけたい。

負けて課題がはっきりするのもいいですが、勝って自信をつけて、さらに新しい課題を見つけるほうがもっといい。

エディ率いるイングランドとやることについては、特別な思いはありません。それは違うモチベーションであって、他の試合同様、W杯でベスト8に入るための重要な戦いと考えています。

―W杯予選プールの対戦相手が1戦目ロシア、2戦目アイルランド、3戦目サモア、4戦目スコットランドとすべて決まりましたが、どのようなゲームプランをイメージしていますか?

具体的なプランまではまだありません。前回は、初戦の相手が南アフリカで、それがターゲットだったから準備しやすかったですが、今回は(格下の)ロシアが相手だから、むしろ難しいです。

日本はベスト8進出が目標ですが、ロシア戦が一番重要と考えることもできるかもしれません。ロシアは「この試合しかない」という気持ちで日本に立ち向かってくるでしょうから「たぶん勝てるかな」ぐらいの感覚で試合に臨むのはよくありません。

勝ったけれど最初の10分、15分はダメだったというような内容ではなく、試合開始からしっかり戦って勝ちたいです。

それからアイルランド戦、スコットランド戦については、今年のイタリア戦で感じたゲームマネジメントがとても重要になってくると思います。これからサンウルブズでの試合も含め、コツコツと積み上げていきたいですね。

―リーチ マイケルさんが2011年に初めてW杯の代表に選ばれたときは祖国のNZでの開催でした。そのとき、特別な感情はありましたか?また、日本人として迎える地元開催の来年のW杯はどんな気持ちですか?

NZでラグビーを始めましたが、その頃は遊びでしかやっていませんから2011年のW杯は祖国といっても特別な感情は湧きませんでした。

僕は日本で(札幌山の手高校に留学)ラグビーを学びました。だから、今回は、特別です。

来年にはNZでの生活も日本での生活も両方とも15年になります。今は、日本に愛着があります。(2012年日本人と結婚、2013年日本に帰化)

文化的にも日本のほうがフィーリングが合います。ラグビーについてもそうです。高校でも東海大でも日本でたくさんラグビーの練習をしてきました。本当にNZではまだ遊び程度のラグビーでした。

僕は日本で100%ラグビーがうまくなったと思っています。

「W杯で日本人のメンタルの強さを見せる」ラグビー日本代表リーチ マイケルに聞く②