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明大、帝京にセブンズで雪辱 7人制から見る大学ラグビー勢力図

2018 5/4 12:00藤井一
ラグビー
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東日本大学セブンズ

4月30日の関東大学春季大会Aグループで全国大学選手権決勝と同カードとなる明治大-帝京大戦で明治大が逆転トライで雪辱を果たした。大学選手権でわずかな差で敗れており、実力は伯仲と見られていたが、この結果を予見する大会があった。それは4月15日に秩父宮ラグビー場で開催された第19回東日本大学セブンズだ。

東日本大学セブンズ参加は16大学。その大半の目標が15人制の全国大会制覇であり、7人制だけでなく、チーム全体の強化が出場の主たる目的となっている。

7人制のスキルは15人制でも活きる。また、勝ち進めば1日4試合というハードスケジュールで高いフィットネスも要求されることになるので、勝ち上がれば間違いなくチーム強化につながるのだ。昨年の新潟大と早稲田大のような番狂わせも起きるのが7人制の魅力なのだが、多くは15人制に近い戦い方をしており、15人制の勢力図も多少見える。

明治大学が連覇

明治大の準決勝は早稲田大を相手にラストワンプレーで攻め切る決勝トライで勝ち、決勝ではチームのまとまりを感じさせ勢いがあった筑波大を前半からリードし、快勝。文句なしの2連覇を遂げた。

昨年この大会で初優勝を飾った明治大はそのとき、新たにヘッドコーチ(HC)として田中澄憲を迎えていた。どん底の状態から戦える集団にまでチームをよみがえらせたのは丹羽政彦監督だったが、そこに田中HCが加わったことで、昨季、15人制の大学選手権で19年ぶりに決勝に進出するまでチーム力を高めることができたのだ。決勝では1点差で無敵の帝京大に敗れはしたが、今年は大学日本一を本気で狙えるところまできた。

現役時代SHで7人制日本代表の経験もある田中澄憲が、4年にわたってチームを率いた丹羽監督の後を継ぎ、HCから今季監督に就任しムードも非常にいい。

サントリーで現役を引退した後、選手のリクルートで昨春まで帝京大に足繁く通っていたので帝京大がいかにして強くなったかも熟知している。帝京大の岩出雅之監督もその田中が指揮官になったことで明治大を近年になく警戒している。

チームの主将を務めた松尾将太郎は、東福岡高校時代から俊敏な動きと即時の判断力がすばらしく、以前から7人制向きのプレーヤーとしても評価されていたが、東日本大学セブンズのMVP(個人表彰はなし)を選ぶなら間違いなく彼であった。

一方の帝京大は2回戦で筑波大に負けた。ただし、15人制のエースランナー4年生竹山晃暉など主戦級は出場しておらず、個々の強さには光るものが感じられた。選手層の厚さも含め、10連覇を目指す大学選手権で優勝候補の最右翼なのは間違いない。

しかし、この7人制大会の明暗が今の大学ラグビーの勢力図を表しているとしたら、来年の1月はこの9年間と違う風景が広がっているかもしれない。