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2018年冬の花園を制するのはどこだ!有力校と有力選手を紹介

2017 11/10 12:24あんこ
ラグビー 高校
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全国高等学校ラグビーフットボール大会とは

第97回全国高等学校ラグビーフットボール大会が、2017年12月27日~2018年1月8日の日程で開催される。高校球児が「甲子園」を目指すのと同じ気持ちで、高校ラガーマンは「花園」を目指す。それほど全国高等学校ラグビーフットボール大会は由緒ある大会であり、その優勝を手にするのは最大の名誉であり勲章である。

「甲子園」と同じく「花園」も会場となる場所の名前である。花園の正式名称は「東大阪市花園ラグビー場」であり、日本最初のラグビー専用グラウンドである。過去から現代まで数々の大会が開催されており「花園」「花園へ行く」という言葉はラガーマンにとって強い決意を秘めた大事な言葉なのだ。

第97回大会の出場枠も例年通りに51校と決まった。北海道、東京は2校、大阪が3校、その他の県は1校の出場となり、各都道府県で予選が行われている。12月2日に組み合わせ抽選会があり、3回戦までの対戦カードが決定する。

1試合のベンチ入り人数は今まで25人だったが、ケガやアクシデントに備え、97回大会から30人まで登録可能になった。

過去5年の優勝校は

2012年 優勝 常翔学園(大阪)  準優勝 御所実(奈良)
2013年 優勝 東海大仰星(大阪) 準優勝 桐蔭学園(神奈川)
2014年 優勝 東福岡(福岡)   準優勝 御所実(奈良)
2015年 優勝 東海大仰星(大阪) 準優勝 桐蔭学園(神奈川)
2016年 優勝 東福岡(福岡)   準優勝 東海大仰星(大阪)

ラグビーは関西が強いというイメージがあるが、やはり大阪、奈良など関西勢の活躍が目立つ。神奈川や福岡も、ここ数年は力をつけてきており、優勝は毎年のように入れ替わっている。

優勝回数最多15回を誇る秋田の秋田工だが、1987年以降優勝から遠ざかっており、戦前1強時代を築いた同志社(京都・優勝回数8回)は大会に姿を見せなくなってしまった。
常翔啓光学園(大阪・優勝回数7回)、天理(奈良・優勝回数6回)東福岡(福岡・優勝回数6回)など、新たな強豪として名を挙げる高校が増えてきた。それでも依然、関西の勢いは強い。

絶対王者 東福岡高校

前年度王者『東福岡』は2017年も絶好調だ。サニックス2017ワールドラグビーユース交流大会(2017年4月28日~5月5日)で第3位(国内では1位)、第70回全九州高校ラグビー大会(2017年6月17日~20日)で優勝を飾っている。

東福岡高校は、何故こんなにも強いのだろうか?「有力選手が多い」「トレーニングがいい」「監督がいい」など考えられる理由はいくつもある。その考えられる理由を全て満たしているのが東福岡高校なのだ。
選手層の下地としてあるのは、福岡のラグビースクールの多さが挙げられる。小学生や中学生からスクールで鍛えられ、その中でも有力な選手がラグビーの名門、東福岡に入学する。福岡の中学生ラガーマンにとって、東福岡は「花園」と同様、憧れの場所なのだ。

監督の考えも素晴らしい。谷崎重幸監督は、かつてスパルタの鬼として有名な監督だった。しかし、世界を見て「厳しさだけではダメだと」気づく。谷崎監督は「自分の思う通りにプレーする選手」を育てる方針を捨て、「選手の自主性」を育てた。
自分で考え行動し、練習し、反省する。その考えはラグビーだけではなく、日常生活にも及び、選手たちは考えに考え、自分たちの「思うまま」プレーを始めた。ラグビーの楽しさを改めて確認し、個性を伸ばした選手たちは、勝てなかった「花園」で優勝を重ねる様になった。『常勝軍団』は、こうして出来上がった。

福岡は王者「東福岡」は慢心することなく、精神と肉体を鍛え、今年も「花園」を見つめている。

虎視眈々と優勝争いに喰らいつく 桐蔭学園高校

神奈川県の桐蔭学園は決勝戦で敗れてしまう場面が多い。2010年にライバルである東福岡と同点、同時優勝を飾って以来、単独で優勝経験がない。ベスト4、決勝戦と対戦表で名前を見かけるものの、勝ちあがれないでいる。

しかし、今年の桐蔭学園は良いスタートを切った。第18回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会(全国高校選抜大会)で念願の初優勝を飾ったのだ。準々決勝で春日丘を60-0で下し、準決勝で石見智翠館を68-0で下す。圧勝のまま進むかと思えた決勝で対戦するのは近畿大会王者である、京都成章だった。
京都成章の前に出るディフェンスに苦労しながらも、FW戦を制し、42-12で初優勝に輝いた。

藤原秀之監督は「FWが頑張ってくれた。優勝を目指し一生懸命にやったことが良くできた」と語りながらも「複雑な気持ちがある」と吐露した。
今回の大会はU18ヨーロピアンチャンピオンシップに出場する選手がフランスに渡った日程で行われたため、強豪校の多くが主要選手を欠いた状態だったのだ。その中での優勝は確かに手放しで喜べる状態ではないが、桐蔭学園にとっては、いい波を運んだのも事実だ。チームをさらに成熟させ、桐蔭学園は「花園」単独初優勝を目指す。