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女子中学生レーサーJuju&野田英樹氏に聞く① 「世界を狙うためにもっともっと成長を」

2019 8/4 06:00河村大志
Juju選手(右)と野田英樹氏ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

「FORMULA UNDER 17 & SENIOR RACE」第3戦で独走優勝

7月27日に岡山国際サーキットで行われた「FORMULA UNDER 17 & SENIOR RACE」第3戦に中学生にしてF3に乗るJujuこと野田樹潤選手が参戦した。予選・決勝とも好タイムを記録し今回も見事優勝を果たしたJuju選手。しかしこのレースウィークは簡単ではなかったとのこと。

F3マシンに乗るJuju選手と野田英樹氏(左端)ⒸSPAIA

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レース終了後、Juju選手とお父さんでF1ドライバー経験者の野田英樹さんにインタビューする機会をいただいた。今回は第3戦の振り返りに加え、海外での経験や日本と海外との違い、今後の展望についてお話を伺った。全3回でお届けする。

成長を感じた「FORMULA UNDER 17 & SENIOR RACE」第3戦

-今日のレースを振り返っていかがでしたか?あらかじめ目標を設定されていたと思いますがそれは達成されましたか?

Juju選手:うーん。今回はタイムの目標は設定していなくて。なぜタイムを決めていないかというと、路面が日によって全然違うんですよ。今日はレース前にカートが走っていたので路面の状態が悪かった。タイムはこの路面にしては悪くないよね?

英樹さん:予選のタイムはすごく良いと思うよ。あの条件の中ではあれ以上のタイムは望めない。あのタイムならもう少しコンディションの良い(涼しい)場合は2秒くらい上がります。今日FJのポールタイムがだいたい2秒半落ちで、F4のポールタイムが2秒落ち。だからどれだけ小さく見積もっても1.5秒は落ちますよね。そうすると今回26秒前半だったから24秒後半ということになる。Nクラスで24秒後半って、ありえないぐらい速い。

表彰台で手を振るJuju選手(中央)ⒸSPAIA

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-出場するマシンのカテゴリーが様々ということで順位よりタイムが目標になると思っていたのでタイムの目標を決めていなかったのは意外でした。

Juju選手:自分が頑張った結果がタイムに反映される。頑張ったからこのタイムを出せたと思うし、実際このタイムには自分のなかで満足しています。

英樹さん:自分がその状況の中で出せるものを精一杯出せた上で、その時のレース運びや、そのコンディションの中でタイムがどうだったのか、内容がどうだったかですね。これが例えば極端なことを言うとウェット路面だとドライ路面のタイムは望めないわけだから。

今日、本人的には今週の練習の時から含めて目標は完全にクリアしてた。全日本で走ってるドライバーがここ(岡山)に同じマシンを持ち込んできても負けないという内容だったので。6秒台に入れば私の中では上出来。今年ずっと練習を重ね、海外に行って成長して、以前と比べたら安心して見ていられる。最後のほうにタイヤが垂れてきてコンディションが悪くなっても前半よりタイムをあげるっていう走りを決勝でもしてたから、そんなところにも成長を感じましたね。

本人にとっては今日の路面状況はすごく乗りにくかったですが、その乗りにくい中でコントロールして走ったと思います。こっちとしてはリラックスして見てられたかな。ただこれが日本で戦うのであればそれで良いけど、これから本人が世界に出て戦うわけだから、海外でのレベルに設定して考えるとやっぱり予選で6秒台前半、このコンディションでも5秒が見えるくらいの走りは必要になってくる。

世界を狙うためにはもっともっと成長を

-前回の第2戦から期間が短かったですが、どのような取り組みをされていたのでしょうか?

英樹さん:前回のレースから今回にかけてはF3のために費やしてきたのではありません。前回のレースからF3は全然乗っていなかったんです。その間は別の車に乗せていろんなトレーニングをして、ドライビングのスキルをあげるために時間を費やしました。

7月の初旬にこのレースのためにF3を走らせなければと思っていましたが、梅雨に入って雨ばっかりでまともにF3を走らせることができなかった。今週のレースウィークになってようやくF3をまともに走らせることができました。なので今週の走り始めはだいぶタイムで苦戦しましたが徐々に削っていけましたね。そういう意味ではよくレースに帳尻を合わすことができたなと思います。

昨日も直前になってトラブルが出てバタバタしました。原因不明のトラブルが出て途中で走れなくて、その原因究明にメカニックがかなり時間を費やして車もバラしました。決勝には間に合わせてくれてレースでまともに走る車に仕上げてくれました。

インタビューに答える野田英樹氏とJuju選手ⒸSPAIA

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-前回のインタビューでもJuju選手のトラブルが出た時の対処する能力が優れてるとおっしゃっていましたよね。

英樹さん:そうですね。本人を前にしていうのもなんやけど、そういう部分はわりと落ち着いてるかなと思います。トラブルが起きてセッション中、周りが走ってる中で、自分は車にトラブルが出て走れずモーターホームで待ってるしかないという状況もあります。それでも開き直ってマシンが直った時に走るように切り替えることが出来ている。なかなか簡単なことではないですよね。

レースが迫っているにも関わらずそういう状況になれば「なんでこのタイミングでこんなことになるんだろ」ってイライラするのは当然。そんな中でも割と冷静なのは13歳にしてよくやってるなと思います。

しかし何回も言ってるように我々が目指してるのは世界です。世界にはそういうレベルのドライバーがたくさんいる。これから上のカテゴリーで戦っていくわけですから、13歳だからよくやってるではなく、もっともっと成長していかなければいけないと思っています。

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