たった200m、されど200m
今年は例年以上に芝コースには厳しい冬となった。すべては暖冬の影響。馬産地は雪が少なく放牧地の悪化に苦しんでいるが、京都は雨が多い。野芝の休眠期に雨で緩んだ馬場は馬が走るたびに掘られていく。馬場整備が進む近年では経験がないような馬場状態で行われた開催も今週が最終週。フィナーレを飾るは 京都牝馬S 。承知の通り、過去の成績表のとおり、2016年にマイルから1400mへ200mだけ距離が短縮された。この200mの距離短縮がこのレースの傾向を一変させた。
過去10年でみると、15年までは4角10番手より後ろにいて上がり3ハロン最速を記録した、いわゆる牝馬らしい切れ味を武器とした馬が勝利していたが、16年以降の4年間は傾向が一変、4角10番手以内、上がり3ハロン2、3位、切れ味よりスピードの持続力を武器とする馬に優位なレースとなった。これを如実に表現しているのが種牡馬成績だ。
過去10年間のうち2015年までの5年間では冬の中距離に強いキングカメハメハ産駒が【2-1-0-8】、勝率18.2%、複勝率27.3%。切れ味を武器にといえば、ディープインパクト産駒。こちらは【2-1-0-3】で勝率33.3%、複勝率50%と以前はディープを買えばいいレースだった。ところが、距離短縮後の2016年以降の4年間ではディープインパクト産駒は【0-0-1-10】と散々な結果となっている。マイル時代は【0-1-0-4】のダイワメジャーは1400mでは【1-0-1-6】、元来は京都があまり得意ではない産駒が多い傾向にあるので、一変とはまでは行かないが、ディープインパクトとの出し入れは成立する。冬の中山短距離戦に強いマンハッタンカフェが【2-1-0-1】、これこそ持続力優位な条件であることを物語っている。
今年の出走馬ではディープインパクト産駒サウンドキアラ、アルーシャ、ディメンシオンの扱いは慎重にならざるを得ない。逆にダイワメジャー産駒のアマルフィコースト、シゲルピンクダイヤ、メイショウショウブの評価は上げるべきだろう。ちなみに万能型のキングカメハメハ産駒は16年以降で【1-0-0-3】、サンプル数が少ないので微妙だが、ディープインパクトほど下降していない。直系のロードカナロア、ルーラーシップも含め、この辺は個々に柔軟に対処したい。