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【京都牝馬S】1400mになって傾向が変わった!持続力型優位な舞台で一変する馬とは?

2020 2/21 17:00勝木淳
本命に推されたメイショウグロッケⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

たった200m、されど200m

今年は例年以上に芝コースには厳しい冬となった。すべては暖冬の影響。馬産地は雪が少なく放牧地の悪化に苦しんでいるが、京都は雨が多い。野芝の休眠期に雨で緩んだ馬場は馬が走るたびに掘られていく。馬場整備が進む近年では経験がないような馬場状態で行われた開催も今週が最終週。フィナーレを飾るは 京都牝馬S 。承知の通り、過去の成績表のとおり、2016年にマイルから1400mへ200mだけ距離が短縮された。この200mの距離短縮がこのレースの傾向を一変させた。

京都牝馬S過去10年成績ⒸSPAIA


過去10年でみると、15年までは4角10番手より後ろにいて上がり3ハロン最速を記録した、いわゆる牝馬らしい切れ味を武器とした馬が勝利していたが、16年以降の4年間は傾向が一変、4角10番手以内、上がり3ハロン2、3位、切れ味よりスピードの持続力を武器とする馬に優位なレースとなった。これを如実に表現しているのが種牡馬成績だ。

2010-2015年の種牡馬別成績ⒸSPAIA


2016-2019年の種牡馬別成績ⒸSPAIA


過去10年間のうち2015年までの5年間では冬の中距離に強いキングカメハメハ産駒が【2-1-0-8】、勝率18.2%、複勝率27.3%。切れ味を武器にといえば、ディープインパクト産駒。こちらは【2-1-0-3】で勝率33.3%、複勝率50%と以前はディープを買えばいいレースだった。ところが、距離短縮後の2016年以降の4年間ではディープインパクト産駒は【0-0-1-10】と散々な結果となっている。マイル時代は【0-1-0-4】のダイワメジャーは1400mでは【1-0-1-6】、元来は京都があまり得意ではない産駒が多い傾向にあるので、一変とはまでは行かないが、ディープインパクトとの出し入れは成立する。冬の中山短距離戦に強いマンハッタンカフェが【2-1-0-1】、これこそ持続力優位な条件であることを物語っている。

今年の出走馬ではディープインパクト産駒サウンドキアラ、アルーシャ、ディメンシオンの扱いは慎重にならざるを得ない。逆にダイワメジャー産駒のアマルフィコースト、シゲルピンクダイヤ、メイショウショウブの評価は上げるべきだろう。ちなみに万能型のキングカメハメハ産駒は16年以降で【1-0-0-3】、サンプル数が少ないので微妙だが、ディープインパクトほど下降していない。直系のロードカナロア、ルーラーシップも含め、この辺は個々に柔軟に対処したい。

ハイレベルだった昨年のターコイズS

主要なローテとしては今年も5頭が出走するターコイズS。昨年の同レースはコントラチェックが逃げ切り、勝ち時計は1分32秒2、前後半800m45秒4-46秒8の急流。直線入口の11秒1というラップが光る。

狙うなら先行して0秒6差5着のメイショウグロッケ、4角で勝ちに行って0秒6差3着シゲルピンクダイヤ。タイム差なしなら評価は互角。ダイワメジャー産駒のシゲルピンクダイヤ、力のいる馬場に強いメイショウサムソン産駒メイショウグロッケで、血統的にも狙いたいところだ。内枠有利だった京都金杯でそれを利して勝ったサウンドキアラは牡馬相手に重賞を勝ったことは認めつつ、やはり今年の出走馬の前走でもっともレベルが高いターコイズS組を上位にとりたい。

本命メイショウグロッケの適性とは

デビュー戦以来となる1400m戦出走のメイショウグロッケだが、勝ち鞍は新潟芝2000m、阪神マイル、新潟芝1800m、新潟マイル、東京マイルで、軽い馬場向きのようにみえるが、勝ったときの上がり3ハロンは35秒4、34秒3、34秒0、35秒8、33秒5。最後のユートピアSの33秒5は出走馬中9位にすぎず、切れ味ではなく持続力タイプ。前走のターコイズSでマイルのハイペースを経験したことで、1400mは走りやすくなっているはずで、短距離から転戦してくる組にテンに飛ばすタイプが不在となれば、メイショウグロッケに対応可能な流れになると読む。

以下、ダイワメジャーのシゲルピンクダイヤ、2走前の秋風Sで流れに乗る競馬で勝てたモアナを評価。抑えにサウンドキアラ、以下は連下にアマルフィコースト、ドナウデルタ、ノーワンとする。

◎メイショウグロッケ
〇シゲルピンクダイヤ
▲モアナ
△サウンドキアラ
×アマルフィコースト
×ドナウデルタ
×ノーワン

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「 築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。