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【根岸S】ローテーションから導く激走馬は?当日まで覚えておきたいデータ

2020 1/26 17:00勝木淳
2019年の根岸S覇者コパノキッキングⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

東京ダートの特異性

2020年も東京競馬開幕はダート重賞の根岸S。GⅠ開幕戦であるフェブラリーSのステップレースでもある同レースを攻略するヒントはずばり「東京ダートの特異性」である。

東京競馬場のダートコースは他場とは共通点がなさすぎる、いわば独自路線である。芝スタートは中山、京都、阪神、中京もあるが、ダートのマイル戦はJRA全10場で東京にしかない。

逆に他場にはあるコーナー4つの1700~1800mは東京にはない。コーナー4つのレースは東京では2100mであり、この距離設定も他場にはない。そして、オールダートの1400m戦も東京にしかない。通常ダート1400m戦を施行する競馬場は京都、阪神、中京とあるが、いずれも芝スタートである。共通しているような部分もあるが、厳密には他場とは重なり合わない、それが東京競馬場のダートコースなのだ。

ということは当然ながら東京ダートでしか求められない適性というものがある。それが時計の速さ、とりわけ上がり600mの記録にあらわれる。根岸Sも過去10年でもっともレース全体の上がり600mが遅かったのは19年の36秒4であり、馬場による違いもあるが、平均しても35秒台後半、中山でいえば芝レースの上がり600mに匹敵するような記録であり、確かな脚力が必要不可欠になる。

推理の起点は武蔵野S

こうした東京ダートの特異性は東京適性、つまり東京巧者を作る要因になるのはまちがいない。根岸Sも過去10年前走レース別の成績を比較すると、武蔵野S組がトップで【3-0-1-5】、勝率は3割を超えている。

武蔵野Sはチャンピオンズカップのステップレースであるにも関わらず、そこをスキップして根岸Sに向かう馬の成績がいいというのはいかにも東京ダートらしい傾向だろう。

「東京から東京へ」。東京ダートを攻略する上ではこれは標語のようなものだと考えたい。というのもサラブレットも人間同様に経験が重要。独自コースである東京ダートの経験は再び東京ダートを走ることで生かされる。武蔵野Sの好成績はそれを証明している。20年は想定されているなかにこのパターンにハマる馬がいないのは残念だが、記憶しておいて損はない。

前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA

続いて数字がいいのは距離が共通するギャラクシーS組【2-2-0-7】。14~16年は施行されなかったことを考えると優秀である。ただし、オープン特別からGⅢなので根岸Sの好走馬はギャラクシーS上位馬ばかり。今年はスマートダンディー(ギャラクシーS1着)、スマートアヴァロン(ギャラクシーS2着→すばるS3着)が想定に名前がある。なお、すばるS組は【0-0-0-1】とサンプルが少なすぎるので、軽視は早計というものだ。

武蔵野S好走、チャンピオンズC敗退は見逃すな

前走チャンピオンズC組の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

チャンピオンS組【2-1-2-5】。阪神のジャパンカップダート組【0-0-0-5】なので、左回りという共通点ができて、根岸Sに結びつくようになった。ただし、根岸S好走馬で目立つのはチャンピオンズCで4~9着とまあまあ負けた馬。チャンピオンズC6~9着馬は根岸Sで【1-1-2-3】と成績がいい。単勝回収値150、複勝回収値180と妙味もある。

またチャンピオンズC経由の馬で根岸Sを好走するパターンとして多いのが武蔵野S~チャンピオンズC~根岸Sというルートで、加えて武蔵野S○~チャンピオンズC×~根岸S○と着順をアップダウンアップさせる傾向にある。

18年根岸S6番人気1着のノンコノユメは武蔵野S4着~チャンピオンズC9着、17年1番人気1着カフジテイクは武蔵野S3着~チャンピオンズC4着、16年10番人気3着グレープブランデー武蔵野S5着~チャンピオンズC8着と目立つ。なおカフジテイクは18年も武蔵野S5着~チャンピオンズC7着~根岸S3着だった。

今年の想定メンバーではワンダーリーデルが当てはまる。同馬は武蔵野S1着~チャンピオンズC11着。

最後に根岸Sと結びつかないイメージがあるカペラS組【2-1-1-24】だが、カペラS1着馬に限ると【2-1-0-1】と連対を外したのは1頭(10年ミリオンディスク6着)しかいないので、乗り替わりが予定されているが、コパノキッキングは昨年も同パターンで根岸Sを勝利しているだけに軽視は禁物である。

前走カペラS組の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

以上から想定メンバーからは
・スマートダンティー、スマートアヴァロン(ギャラクシーS好走)
・ワンダーリーデル(武蔵野S○~チャンピオンズC×~根岸S)
・コパノキッキング(カペラS勝ち馬)
を推奨したい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。