明暗くっきりの馬場適性
先手を奪うエーティーラッセンとハナから番手を狙ったロードヴァンドールの関係は相思相愛のごとくすんなり収まり、内枠レッドレオン、行けないサイモンラムセスも2頭の関係性を壊すような素振りはない。
実績馬のなかでもっとも前にいたのが外枠のアフリカンゴールド。枠なりに壁のない位置となり、深追い厳禁の様子。それを見ながらインに収まったのがモズベッロ。池添謙一騎手らしい意図と意志をもった騎乗プランが実行された絶好の形。
アルゼンチン共和国杯でためて弾けた競馬から、タイセイトレイルも以前のような強気な策に出られず、中団の後ろ。菊花賞以来のレッドジェニアルはスローペースの後方2番手では勝負圏内には入れない。
勝負どころまでの位置関係が結果に大きく影響したのは言うまでもないが、それ以上に格上の有力馬が展開の不利を逆転できない末脚を削がれる京都の芝も大きかった。
この週の京都競馬場は話題のディープインパクト産駒アドマイヤビルゴこそ新馬勝ちを飾ったが、これも2番手からの抜け出しという安全策でのもの。ためても切れ味を封じられ、ゴール前はピッチ走法のパワー型の馬が、リズミカルなフットワークで重い馬場に対応する場面が多く見られた。
勝ったモズベッロは2019年でもっとも極悪だったと言っても過言でない、7月中京の芝2200m(重)1勝クラスを0秒6差勝ち、この冬の特殊な馬場を作った原因でもある昨秋の京都開催、それも開催後半の芝2400mで2勝クラス勝ち(0秒5差)と特殊な馬場にこそ適性があったといえる。
インでロスをなくし、4角から馬場がいい外を通るという今開催の理想的なコース取りで突き抜けた。前2勝同様に勝つ時は突き抜ける馬。裏返せば、買い時と消し時がはっきりした馬である。今後はこの勝利から得られたデータを活用し、モズベッロの取捨選択をしていきたい。
2着レッドレオンは全4勝いずれも上がり2位以下、34秒台後半というディープインパクト産駒のなかでもいわゆる切れない部類の馬。こちらも今後は馬場適性を考慮したい。