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ルメール騎手と同じエージェントに!2019年武豊騎手の騎乗依頼に変化はあったのか?

2020 1/17 06:00三木俊幸
2019年武豊騎手の騎乗依頼の変化ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

松永幹夫厩舎からの依頼数が最も多い

2019年、4年ぶりに年間100勝を達成した武豊騎手。2018年までサポートしたエージェント(騎乗馬の手配や調整を行う騎乗依頼仲介者)が引退したため、リーディングジョッキーに輝いたC.ルメールも担当している豊沢信夫氏がその座を引き継ぐこととなった。

ちょうど1年前にSPAIAでは、エージェントが豊沢氏に変わることによってどのような変化が起こるのかについて予想してみたが、今回はその答え合わせも含めて武豊騎手への騎乗依頼について調べてみた。

まずは2018年と2019年の厩舎別の騎乗依頼回数について見ていこう。

表1_武豊2018と2019年の調教師別乗鞍ⒸSPAIA


1位は2018年と2019年ともに松永幹夫厩舎。2018年は40回、2019年は37回と、2位以下に回数は抜けており、エージェントに関係なく武豊騎手を厩舎の主戦騎手として信頼していることが見てとれる。また、その背景にはノースヒルズやキーファーズなど、武豊騎手をサポートするオーナーが多いことも理由として挙げられるだろう。

その他では2018年が21回で3位、2019年が27回で2位だった森秀行厩舎も昔から武豊騎手に多くの騎乗依頼をする厩舎としても知られている。

エージェントの変更により、依頼回数が増えたのは須貝尚介厩舎。2018年は11回にとどまっていたが、2019年は25回で4番目に多い数字だった。須貝厩舎はルメール騎手に多くの騎乗依頼をする厩舎の上位にランクインしており、豊沢氏のコネクションで騎乗依頼が増えたものだと考えられるだろう。

豊沢氏の高いマネジメント能力

続いて厩舎別の勝利数についても振り返っていこう。

表2_武豊2018と2019年の調教師別勝ち星ⒸSPAIA


2018年が6勝で1位、2019年も6勝で2位だった松永幹夫厩舎。騎乗回数が多いこともあるが、安定した成績を残している。その他では友道康夫厩舎も2018年が4勝で3位、2019年は7勝で1位と好成績。2019年は騎乗回数も前年の9位から大幅にアップしているので、それが7勝という成績に反映されていると分析する。

注目したいのは2019年4勝で5位にランクインした国枝栄厩舎。それ以外の上位4厩舎はいずれも栗東を拠点とする厩舎だが、トップ20にまで拡大してみても美浦の厩舎では唯一のランクインとなった。2018年の依頼回数は2回、2019年は8回と極端に増えたわけではないが、2019年は【4,2,0,2】で勝率50.0%、連対率75.0%、複勝率75.0%と驚異的な成績を残している。

国枝厩舎が2018年にルメール騎手に依頼した回数は34回だったが、2019年は騎乗依頼が17回に減少。ただし勝率は47.1%、連対率52.9%、複勝率70.6%と素晴らしい成績が残っており、馬質が下がっているわけではないことは明らかである。

武豊騎手にも、うまく騎乗依頼を分散させることに成功し、双方が好成績を残せていることからも豊沢氏のエージェントとしてのマネジメント能力はかなり高いことが見てとれる。先述の須貝厩舎や国枝厩舎のような事例が増えたことこそが、年間100勝を達成できた要因だと言うことができるだろう。

2019年武豊騎手の騎乗依頼の変化ⒸSPAIA