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新潟拠点の騎手が優勢 サマージョッキーズシリーズを制するための条件とは

2019 6/12 07:00門田光生
2018年のサマージョッキーズシリーズ覇者・福永祐一騎手Ⓒ三木俊幸
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Ⓒ三木俊幸

今週からサマージョッキーズシリーズが開幕

夏のお楽しみといえば、恒例の「サマーシリーズ」。1200mの全6戦で争われる「スプリント」、2000mの全5戦で争われる「2000」、そして1600mの全3戦で争われる「マイル」。加えて、上記のレース全てを対象にした「ジョッキー」。当コラムでは今週から開幕するジョッキーズシリーズの傾向をみてみる。

まずサマーシリーズのルールを簡単に説明しておく。対象レースに出走すると最低1点がもらえ、1~5着馬にはさらに加点される。また、GⅢよりGⅡの方がポイントで優遇されている。1勝以上し、なおかつマイルは最低12点、スプリントと2000は最低13点以上の得点を稼いだ馬がチャンピオンの資格を得る。つまり、1勝しただけでは優勝馬にはなれず、このシリーズを取りにいく陣営の本気度も大事な要素になってくる。

また、各サマーシリーズのチャンピオンには賞金が与えられ、馬主も本気で取りにくるシリーズでもある。

JRAではサマーシリーズのチャンピオンを当てて豪華賞品がもらえるキャンペーンをやっているので、この記事が参考になれば幸いである。

なお、今回はサマーマイルシリーズが始まった2012年を基準に7年間のデータで検証している。

重賞で有力馬に乗れるかがカギ

このジョッキーズシリーズははっきりいって予想が難しい。今はかなり先まで騎手の騎乗が予約されている時代なので、ある程度はどのレースに誰が乗るかわかる。

しかし、対戦メンバーがどうなるか、先に行けば行くほど予想できないので、得点の先読みは不可能に近い。とはいえ、過去の優勝ジョッキーを調べていくうちに、ヒントになるデータがいくつか現れた。

サマージョッキーズ歴代優勝者ⒸSPAIA

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上記は歴代優勝ジョッキーと勝利数、そして参戦数を表にしたもの。最低1勝はしないと優勝の権利がない(昨年の得点トップはM.デムーロ騎手だったが、対象レースにおいて1勝以上でなかったため、2位の福永騎手が優勝)。

最高は戸崎騎手、M.デムーロ騎手、そして田辺騎手の3勝。2012年と2013年は対象レースが倍近く多かったが、勝ち星は1~2勝にとどまっている。

それよりも大切なのは対象レースへの参戦数と、そこでいかに着を拾えるか。例えば、小倉にいる時に新潟の重賞の有力馬に騎乗依頼がかかるなど、当たり前のことだが普段から重賞での乗鞍が多い騎手はやはり有利だ。

新潟拠点の騎手が狙い目

続いて、その騎手が夏にどこを拠点としているか。サマージョッキーズの対象レースは北海道が4つ、関西と関東がそれぞれ5つずつ。北海道を拠点としている騎手は、よほどの有力馬でない限り拠点から動くことがないので、関東、関西と移動しやすい本州を拠点にしている騎手が有利。

サマージョッキーズ優勝者の拠点ⒸSPAIA

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しかも、対象レースが14となった2014年以降は、北村友騎手以外は全員新潟を拠点としている。新潟だと北海道にも行けるし、小倉にも行けるのが影響しているのかもしれない。なので、小倉や北海道より、新潟を拠点としている騎手を選択するのがデータ的に正解といえる。

また、サマーシリーズのチャンピオンホースに騎乗して、なおかつジョッキーズで優勝したのは2016年の戸崎騎手(サマー2000優勝のアルバートドック)、2015年のM.デムーロ騎手(サマーマイル優勝のスマートオリオン)、2014年の田辺騎手(サマーマイル優勝のクラレント)。

つまり、7人中3人。これが多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれだろうが、少なくともサマーシリーズの有力馬に騎乗予定の騎手は、ジョッキーズの優勝に近い位置にいることは間違いない。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬などの記事も執筆中。