近年は波乱の傾向が見られる
宝塚記念といえば、暮れの有馬記念と同じくファン投票で上位となった馬に優先出走権が与えられるグランプリレースだ。近年は適性に応じて出走するレースが分散化する傾向にあるため、ファン投票上位でも出走しないケースも見られる。
しかし過去10年のファン投票で1位に限ってみれば、2013年のオルフェーヴルと2019年のアーモンドア以外は全て出走している。
出走した7頭のうち2016年のキタサンブラック(2番人気、3着)以外は全て1番人気に支持され、(2,2,1,3)という成績を残しているが、3回の着外は近4回の出来事だ。
その1番人気が馬券圏外となった3レースのうち、2015年は6番人気、10番人気、11番人気で3連単528,510円、2018年は7番人気、10番人気、12番人気で3連単492,560円の決着となっており、近年は波乱の傾向が強く見られている。
歴史に残る大出遅れ
今回のコラムでは、数々の名勝負が繰り広げられた宝塚記念の中から、その波乱の結末を迎えた1つ、2015年のレースを振り返ってみよう。
2013年と2014年で史上初の同レース連覇を果たし、多くのファンに愛されたゴールドシップは2015年、天皇賞(春)を勝った勢いそのままに3連覇をかけてレースに挑んだ。
ファンは単勝1.9倍の1番人気に支持し、大きな期待を集めていたが、スタートで波乱が起こった。15番枠にゲートインしたゴールドシップだったが、スタートが切られる直前に大きく立ち上がってしまい、そのままゲートが開いてしまうという大出遅れをしてしまったのだ。
当然競馬場内はもちろんのこと、テレビで観戦していた多くの人も思わず悲鳴をあげてしまうほどのものだった。
これではレースにはならない。それでもようやく3コーナーで馬群の最後方に追いつき、追い上げを見せたが、勝負どころではもう脚は残っておらず15着に終わった。
レースを勝利したのは、隣の16番ゲートからスタートしたラブリーデイ、そして2着は道中15番手からレースを進めたデニムアンドルビー。もし普通にスタートを切れていたら3連覇の夢は……。
レース後、騎乗した横山典弘騎手がコメントしたように、なぜ突然暴れてしまったのかはゴールドシップに聞いてみないとわからない。ステイゴールドの血が騒いだとしか言いようがないのか。
時には派手にやらかしてしまう部分も含めて、それがゴールドシップの魅力であり、ファンに愛された理由だったのではないだろうか。