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エンドスイープ系の「異端児」は大成する 阪神大賞典はリッジマンで決まり!

2019 3/14 15:00門田光生
リッジマン,Ⓒ明石智子
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Ⓒ明石智子

名馬が競い合ったレース

中山記念はGI馬の争いとみたらGI未勝利馬にやられ、逆に金鯱賞ではGI同士の決着となった。データがどうのこうのというより、選択ミスをしている自分が情けない。何年やっても競馬は難しいが、だからこそ飽きが来ず毎週のように新鮮な発見がある。今週はいいデータを提供できるように頑張りたい。

自分の中で阪神大賞典といえば1996年、ナリタブライアンとマヤノトップガンの壮絶な叩き合い。当時、北九州のとある電気屋の大型テレビで観戦していたのだが、僅差の決着となり、隣にいた知らないおじさんに「どっちや、兄ちゃん!」と聞かれたことを思い出す。

1990年代は上記のナリタブライアンやマヤノトップガン、マックイーン・パーマー・ブライトのメジロ軍団にスペシャルウィーク。2000年代はナリタトップロード、ディープインパクト、そして2010年代はゴールドシップが3連覇するなど、その時代で活躍していた実力馬が勝ち名乗りを挙げていた。

3レースの出走頭数,ⒸSPAIA

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上記は天皇賞・春の代表的なステップレースの出走頭数を表にしたもの。阪神大賞典はもともと頭数のそろいづらいレースではあるが、一昨年から大阪杯がGIに格上げされたことにより、今後は層の薄さも心配されるところ。

なぜかというと、キタサンブラックがそうであったように、大阪杯→天皇賞・春→宝塚記念と3戦連続でGIを使う有力馬がこれから増えてくると思われるからだ。現に、過去にあれだけの名馬が出走していたにもかかわらず、昨年、そして今年とGⅠ馬の出走がない。今後のデータにどのような変化が出てくるのかにも注目したい。

キーは有馬記念

阪神大賞典はとにかくGⅠ馬が強いレース。1番人気の好走も目立っており、実力と格がものをいうレースといえる。

阪神大賞典過去10年,ⒸSPAIA

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阪神大賞典過去5年前走成績,ⒸSPAIA

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前年の有馬記念を使った馬の活躍が目立つが、特に前走が有馬記念だった馬の成績がいい。着順の善しあしは関係ないので、出走していれば要チェックだ。また、栗東所属馬が美浦所属馬を圧倒している。迷ったら関西馬を選択したい。

阪神大賞典過去5年の種牡馬,ⒸSPAIA

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阪神芝2400m以上の種牡馬成績,ⒸSPAIA

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阪神大賞典に強い種牡馬は、ここ5年で4度馬券に絡んでいるハーツクライ産駒。次点はステイゴールドとディープインパクト産駒。また、阪神の長距離戦で活躍している種牡馬も上記の3頭が上位に名前を連ねている。これらの産駒が出走してくれば高い評価を与えていいだろう。

個性派サイアーに注目

そろそろまとめに入る。これまでのデータから
①GⅠ勝ち馬
②昨年の有馬記念に出走
③栗東所属馬
④ハーツクライ産駒、もしくはステイゴールドかディープインパクト産駒
となる。残念ながら4つ全ての条件をクリアする馬はなし。そこで、今回は好走率の高い②に注目してリッジマンを指名したい。

リッジマンの父スウェプトオーヴァーボードはミスタープロスペクター系の種牡馬。その祖父エンドスウィープともども産駒は基本的に短距離向きと考えて間違いないのだが、時々全く違うタイプ、しかも結構な大物を輩出する。

エンドスウィープでいえばアドマイヤムーン(JC、ドバイデューティーFなど)やスイープトウショウ(秋華賞、宝塚記念)、ラインクラフト(桜花賞など)。そしてその仔スウェプトオーヴァーボードもリッジマン(ステイヤーズS)のほかに日本産のフロレンティノという馬がアメリカで芝の中距離重賞を勝っている。昨年、スウェプトオーヴァーボード産駒のオメガパフュームが東京大賞典を勝ったが、この馬も距離が長くても大丈夫という、いわば「異端児」。リッジマンはまだ5歳馬。今後、上記の馬のようにGⅠ馬の仲間入りを果たしても不思議はない。

相手は④の種牡馬からハーツクライ産駒のアドマイヤエイカンと、ステイゴールド産駒のステイインシアトル。これに、ステイゴールド系の父を持つヴォージュも加えておく。ステイゴールド産駒のコルコバード、ディープインパクト産駒のソールインパクトはともに分の悪い美浦所属なので今回は割引いた。

人気が予想されるシャケトラだが、父マンハッタンカフェが阪神芝の長距離で他の上位馬に比べて勝率が悪いこと、この馬自身のレースぶりも直線の短いコースの方が内容がいいことから、人気を加味して勇気を持って今回は消し。 それに、一昨年の有馬記念に出走しているので、もし今回圏内に来たら「昨年の有馬記念に出走した馬」から「近走で有馬記念に出走した馬」にデータをこっそり変更しておこう。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬の記事を執筆中。