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【京都記念】過去6年で連対馬なし "1番人気の裏切り馬"が続出する要因とは

2019 2/5 15:00SPAIA編集部
馬群,ⒸSPAIA
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近6年1番人気の裏切り続く京都記念

ビワハヤヒデ、テイエムオペラオー、ブエナビスタなど、過去の優勝馬には歴史的名馬が名を連ねる伝統ある京都記念(GⅡ)。だが、2013年からの6年間に渡って1番人気の支持を集めた馬は1着はおろか、連対さえ果たせていないという事実がある。

その〝1番人気の裏切り馬〟を列挙してみると、ジャスタウェイ、ジェンティルドンナ、ハープスター、そして昨年のレイデオロと、優勝馬に劣らないビッグネームが並ぶ。これは由々しき事態だ。

いかにしてこのような現象が起こり得るのか。ここは少し視点を変えて、勝ち馬からではなく負けた馬の敗因を見直すことで、その〝波乱〟の要因を探ってみたい。

前哨戦の仕上げが敗戦の原因

まず2013年5着のジャスタウェイ。素質の高さを評価されての1番人気も、当時のキャリアとしては3歳時のアーリントンCで挙げた重賞1勝のみ。本格化するのは同年の秋以降で、完成のレベルまで到達したのが、圧勝で世界を驚かせた翌年のドバイDF。単純にこの時点では底力で劣っていたとみるべきだろう。

対して抜群の実績を誇りながらも、6着に沈んだのは2014年のジェンティルドンナ。彼女が道悪で走ったのは2着に敗れたデビュー戦と、このレースの2回だけ。そう思えば持ち味である切れを道悪馬場に殺されたとの見立てが正解かと思われるが、当日はいつになくイレ込んでいたし、レースでは行きたがる面も見せていた。

3歳で牝馬3冠とJC制覇を成し遂げ、4歳時は牡馬たちと堂々と渡り合ってJCを連覇。迎えた5歳のラストイヤーでは、JC後に一旦は馬を緩めて、2月から早めの始動を選択していた。これは、おそらく陣営が京都記念参戦の意義として、次走で予定しているドバイ遠征へ向けての、言葉は悪いが〝ひと叩き〟や俗にいう〝ガス抜き〟の必要性を感じていたとも推察される。その成果もあってか、2年越しの挑戦でドバイSC制覇を成し遂げるのだから、ここでの敗戦も実になったと考えるべきだろう。

同じくドバイ遠征を控えてここからの立ち上げとなり、1番人気に応えられなかったのが2015年ハープスターと2018年レイデオロ。両馬は続くドバイ遠征でも結果を出せなかったが、京都記念へ向けてはいわゆる〝前哨戦の仕上げ〟であったことも想像に難くはなく、それが敗戦の一因となった可能性も否定はできない。

京都記念の結果はその後を左右しない

しかし、ここで思い返してもらいたいのは、〝1番人気の裏切り馬〟たちのその後の競走生活がどうであったか。

ジャスタウェイは世界に名を知らしめ、ジェンティルドンナは同年の有馬記念で有終の美を飾り、レイデオロは秋以降の活躍でJRA賞・最優秀4歳以上牡馬に選出された。そこに京都記念での敗戦が影を落とすことは一切なかった。〝実績馬にとっての京都記念は、負けても構わないレース〟ということではないか。

だからといってレースの存在自体を軽く扱っているのではない。1番人気馬が実力通りの走りを見せられなくても、他の上位人気馬たちがそれを補って、配当的に大荒れのレースとはならない。近年の勝ち馬でみてもトーセンラー、ラブリーデイ、そして連覇したサトノクラウンが、ここでの勝利をひとつの足がかりとして、のちにGⅠ制覇を果たすこととなる。

勝敗に関わらず、京都記念には参戦することに意義がある。それぞれの事情を抱えつつ、その競走馬たちの先に見据えたものは何であるのか。そこに思いを巡らすだけで、その結末を単純に波乱と呼ぶのではなく、レースを観る楽しみも増してくるのではないだろうか。