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【シルクロードS】ダノンスマッシュは4歳馬不利のデータを乗り越えられるか

2019 1/22 15:00SPAIA編集部
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ⒸSPAIA

ハンデ重賞も実力馬が力を発揮するシルクロードS

長きに渡って京都競馬場で親しまれてきた短距離重賞シルクロードS。1200mと短い距離で行われる電撃戦であるにも関わらず、広大なユーラシア大陸を横断するルートからの呼称とはこれいかに?などという素朴な疑問はさておき、一見は混戦必至のハンデ重賞の位置づけながら、過去の優勝馬にはファイングレインやロードカナロアなどの名がある。

ファインニードルは昨年このレースを勝った後にスプリントGⅠの春秋制覇を達成し、スプリント界の王者へと上り詰めた。

2か月後に控える大一番、高松宮記念の前哨戦として機能していることで、参加メンバーは一定の質を保ち、軽量馬がスピードのみで押し切れるほど、安易なレースではないことを承知しておきたい。

重い荷物を背負ってでも、はるかなる絹の道を歩んだ先に現れるのは黄金の国ジパング。シルクロードSのネーミングがGⅠへの登竜門によるものであれば、存外しっくりとくるものであるかもしれない。

1番人気が苦しむレース

かといって、馬券的に平穏な決着をみせるレースかといえば、それほど簡単ではないことを過去の傾向は語っている。人気上位馬はそれなりに結果を残しているものの、とにかく1番人気の馬だけには受難のレースとなっている。

それは何に起因するものなのか。相応のハンデを課せられる馬もいるので、確かにトップハンデを背負う馬には不利なレースでもある。ただし、トップハンデの馬が1番人気に支持されるとは限らず、実際昨年58kgのトップハンデを背負ったセイウンコウセイは5番人気の評価ながらも2着に好走。芝短距離のスペシャリストというべき実力馬であれば、少々重いハンデでも背負い切れるとみるべきであろう。

昨年は内枠が好走

昨年のこのレースを突っ込んで検証してみると、そのセイウンコウセイが7番枠に対して、1番人気の先行馬ダイアナヘイローは一つ外の8番枠。ハナを主張して逃げたセイウンが2着に粘り、楽な2番手に見えたダイアナは16着に沈んだ。

勝ったファインニードルは最内の1番枠から終始ロスのない立ち回りを見せ、4番枠フミノムーンも道中は内で我慢の競馬をしたことでラストの伸びを見せて3着に食い込んだ。

そこから推察される有利不利は枠の内外の差。今年も第2回開催となる今週からBコースへと仮柵を移動。急に外差しの決まる馬場状態へと変化することは考え難く、この傾向は続くと見るべきであろう。

さらに加えるならば、保全技術が向上した近年の冬場の馬場は、開催が進んでも傷みは少ないが、おおむねパワーを要する状態。昨年の1~3着をアドマイヤムーン産駒が占めたように、軽快なスピード型より持続性に優れた血統の馬に、より注意を払う必要がありそうだ。

父とかぶるダノンスマッシュ

シルクロードSにはもう一つ捨て置けないデータがある。この時期、最も勢いのあるはずの4歳馬が、ことごとく年長馬の壁にはね返されている点だ。

しかし、それをいとも簡単にクリアした馬がいる。それはロードカナロアだ。4歳でこのレースを制し、続く高松宮記念こそ同じ厩舎の先輩カレンチャンの3着に敗れるが、その後に国内外のGⅠを6勝とスプリント界の王者として君臨した。

種牡馬としても初年度からアーモンドアイを輩出し、もはや歴史的名馬といっても過言ではないだろう。それほどの実力があれば問題なしと言えばそれまでだが、今年その壁に挑もうとするのがロードカナロア産駒の4歳馬ダノンスマッシュだ。

おそらく1番人気に推されるだけに、データから真っ先に消したい存在だが、ロードカナロアと同じ安田隆行厩舎の管理馬であり、京阪杯で重賞初制覇を果たしたステップ、担当の調教助手までもが同じなのだ。

京阪杯のレースぶりはまるで父のリプレイを見ているかというほど、鮮やかなものだった。短距離界に現れた新星は、受け継がれる血の後押しでジンクスを打ち破り、果たして黄金の国の頂へと辿りつけるのか。そういう視点でも、今年のレースを楽しんでみたい。