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日本馬にもチャンスあり!馬場適性から見る香港国際競走全4レースを徹底予想

ビューティージェネレーション馬
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Ⓒゲッティイメージズ

日本からは9頭が参戦

12月9日(日)香港・シャティン競馬場にて、1日に4つのGⅠ競走が行われる香港国際競走が開催される。今年はイギリス、アイルランド、フランス、オーストラリア、シンガポールからの参戦があり、日本からは9頭が出走する。日本国内でも4レース全て馬券販売が行われる。今週も日頃から馬場状態を分析して楽しんでいる競馬好き編集部員が香港国際競走について考察する。

発走時刻は以下のとおり。
12月9日(日)
4R 香港ヴァーズ(芝2400m)15:00発走
5R 香港スプリント(芝1200m)15:40発走
7R 香港マイル(芝1600m)16:50発走
8R 香港カップ(芝2000m)17:30発走
※時間は日本時間

レース当日は曇り予報

香港の日曜日の天気は曇りの予報となっており、何とか天気は持ちそう。今回のコラムでは、12月2日と11月18日に良馬場で行われた開催から馬場傾向を見ていく。

時計と上がりタイム

ⒸSPAIA

11月18日に行われた前哨戦のGⅡ戦、3レースを見てみると、ジョッキークラブマイル(芝1600m)の勝ち時計が1.32.6、ジョッキークラブカップ(芝2000m)の勝ち時計は1.59.3と香港にしては好時計が出ている。普段、時計の速い馬場で走っている日本馬にとってプラスに働くだろう。

次に上がりタイムを見てみよう。香港競馬では2Fごとのタイムを計測しているため、上がり3Fの正確なタイムを計測することはできない。そこで、上がり2Fのタイムと1Fあたりの平均タイムを加えて、推定3Fのタイムを算出してみた。

好時計が出ていたジョッキークラブマイルとジョッキークラブカップの2レースは、ともに流れる展開となったため、それぞれ34.8、36.0と上がりが少しかかるレースとなった。その一方、上がり勝負となったジョッキークラブスプリント(芝1200m)は上がりが33.5と極めて速い結果となっている。香港の競馬場は日本よりも重たい芝コースに分類され、北海道の洋芝のイメージに近い。それだけに、先の2レースは特別上がりがかかっているわけではない。

最後に先週12月2日に行われた開催との比較をしてみる。両レースの中間にあたる11月25日は重馬場での開催となり、その後の馬場悪化が懸念されたが、同じクラス3の1400m戦を比較すると、わずか0.3秒しか違わず、上がりタイムにも差がなかったことからも、相変わらず良好な状態が続いていたことが分かる。これらを踏まえた上で、香港ヴァーズから考察していこう。

リスグラシューはチャンスあり

香港ヴァーズには、リスグラシューとクロコスミアの日本馬2頭が出走。中でもリスグラシューには期待できそうだ。

前走、エリザベス女王杯でGⅠ初制覇を果たしたが、その時の馬場は時計と上がりのかかる状態だった。多くの馬が34秒台後半の上がりとなった中、唯一33.8の末脚を見せた。引き続きモレイラ騎手が騎乗することからも、期待は大きい。

香港ヴァース分布図,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

強敵になりそうなのがフランスから参戦するヴァルトガイスト。2走前の凱旋門賞では後方から追い込み4着と好成績。前走ブリーダーズカップ・ターフでは5着となるも、小回りコースが合っていない印象を受けた。実績はNo.1で雨が降っても問題なし。シャティンで変わり身があっても不思議ではない。

以下、イーグルウェイは前走のジョッキークラブカップでスタミナ比べのレースを制しており、距離延長でも通用しそうだ。

イギリスから参戦のサルウィンは、時計がかかる馬場が向いているだろうが、一線級相手に常に善戦している。時計がかかれば怖い存在だ。

最後にパキスタンスター。スタート後に自らレースをやめてしまうなど、かなり気難しい馬だが、今春のクイーンエリザベスⅡ世カップで見事に復活。近走結果は伴っていないが、思わぬところで好走する可能性もあり、ビュイック騎手とのコンビで大駆けがあるかもしれない。

大混戦のスプリント

香港スプリントは混戦模様。しかし、ここまで10戦9勝という抜群の強さを見せているホットキングプローンに注目したい。

前哨戦のジョッキークラブスプリントでは快速馬がそろった中でも、ハナを切りそのまま逃げ切った。自慢のスピードと勢いで、今回も押し切るレースを期待する。

香港スプリント分布図

ⒸSPAIA

相手筆頭はこの路線の大将格ミスタースタニング。近走2、3着が続き、勝ち切れていないが安定感は抜群。昨年に続いて連覇となるか注目が集まる。その他、同じく安定感のあるビートザクロックは、ムーア騎手が騎乗するので怖い存在だ。

もちろん日本から出走するファインニードルにも期待したい。2013年のロードカナロア以来となる春秋スプリントGⅠ制覇の看板を引っさげて、地元香港馬に挑む。今回は、4月に行われたチェアマンズスプリントプライズでの経験が生きてくるだろう。川田騎手とのコンビでビッグタイトルを獲得したいところだ。

年度代表馬ビューティージェネレーションに立ち向かう

香港マイルの中心は地元香港のマイル路線の王者で、2017-18シーズンの年度代表馬ビューティージェネレーション。昨年の香港マイルを優勝後も、クイーンズシルバージュビリーSとチャンピオンズマイルとGⅠ2勝を挙げている。さらに現在4連勝中で、前走のジョッキークラブマイルではスタート後、後方3番手まで位置取りを下げたが、3コーナーから早めに動き、そのまま押し切る強い内容だった。外国馬相手でも不動の中心だ。

香港マイル分布図,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

2番手以降の取捨は難しいが、日本馬ペルシアンナイトとモズアスコットを推奨する。ペルシアンナイトは前走のマイルCSで2着。内から追い込んで、あと一歩という内容だった。香港の馬場も合いそう。

モズアスコットは、前走マイルCSでは1番人気に推されたものの13着と大敗。状態面が心配だし良馬場ならいいが、天気が微妙で評価を下げる。

あとは1400m以下のレースを中心に使われてきたフィフティーフィフティーと、前走ジョッキークラブマイル2着のサザンレジェンドを挙げる。

フィフティーフィフティーは層の厚いスプリント路線で安定して好走を続けてきたが、レースぶりからは距離延長がプラスに出るのではないかとみた。サザンレジェンドは、春のチャンピオンズマイル3着、その後シンガポールのGⅠクランジマイルを勝利している。

香港カップの主役は日本馬

メインレースの香港カップは、ディアドラとサングレーザーの日本馬2頭に注目してほしい。

香港カップ分布図,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

ディアドラは前走の府中牝馬Sで、勝ち時計1.44.7、上がり32.3というとてつもない末脚を見せているが、3歳時には重馬場で秋華賞を制しているように道悪になったとしても不安はない。

加えて、札幌競馬場でも上がり33秒台の末脚を使ったことがあるという点、ドバイターフで3着となった海外経験もあることから、好勝負になるだろう。

サングレーザーは天皇賞(秋)2着からの参戦。以前はマイル以下の距離を中心に使われていたが、札幌記念を勝利したあたりから完全に馬が本格化して2000mでも強さを発揮している。あっさり勝利することも十分考えられる。

3番手には昨年の優勝馬タイムワープを挙げる。前走のジョッキークラブカップでは、他馬にマークされて楽に先行することができずに、早々に失速して9着となっている。展開に注文はつくが、楽に逃げることができれば怖い存在だ。

ステファノスは5度目の香港遠征で経験と実績は十分。今回もうまく先行することができれば、馬券圏内に食い込めるかもしれない。ビュイック騎手の手腕にも注目したい。