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リスグラシューが勝利したエリザベス女王杯 上がりタイムのデータから振り返る

室内におる馬,ⒸShutterstock
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人馬ともうれしいGⅠ勝利に

11日(日)に京都競馬場で行われたエリザベス女王杯は、3番人気のリスグラシュー(牝4、栗東・矢作芳人厩舎)が優勝。見事にGⅠ初制覇を飾った。また鞍上のJ・モレイラ騎手も日本でのGⅠ初勝利となった。 前回のコラムでは、5頭に注目して馬場状態から見た適性分布図を紹介し、良馬場での平均上がりタイムを分析した。では実際のレースでは、どれくらいの上がりを使って走ったのか見てみよう。

5頭中4頭が平均から0.1秒差以内の上がりタイム

まずレースの上がりは、34.7と時計がかかる馬場だったと言える。そして、勝ち馬のリスグラシューは道中のコーナー通過順位が8-9-10-9という数字からも分かるように、中団で脚をため、鋭い伸びを見せた。上がりタイムは33.8で、自身の良馬場での平均上がりタイム33.7とほぼ同じ脚を使った。

良馬場での平均上がりタイム

ⒸSPAIA

その他を見ても、3着のモズカッチャンが平均34.6から0.1秒違いの34.7、5着のノームコアは平均と同じ34.9、6着カンタービレも平均上がりタイムと全く同じ34.7の上がりで駆け抜けた。

唯一、大きな差があったのがレッドジェノヴァ。平均は35.3だったが、実際のレースでは34.5の上がりを使い、4着に入った。平均データの1/3が洋芝のレースだったこと、京都大賞典では34.3の上がりを使っていたことからも、当然のタイムだったと言えるのかもしれない。

前回のコラムで紹介した分布図は、筆者の主観も踏まえて紹介したが、実際のレースでは、紹介した全馬が力を出し切ったことはデータで証明された。SPAIA競馬コラムを通じて、より多くの人に、データを使った競馬の楽しさを理解してもらえたら幸いだ。次回のコラムもお楽しみに!

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