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【Road to Derby 2018】クラシック注目馬・牡馬編②

競馬
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ⒸSPAIA

大物感漂う走り 執念という名の”オブセッション”

2015年4月20日生まれ、生産は安平町ノーザンファーム。父はディープインパクト、母はパーシステントリー、姉のパーシーズベストは紫苑ステークス(GⅢ)で入着経験がある血統。一口クラブのシルク・ホースクラブにて一口20万円(募集総額1億円・500口)で募集され、会員からの公募によって勝利への執念を見せてほしいという思いから”執念″という意味のオブセッションと名付けられた。

数々の名馬を管理し、2017年にレイデオロで念願の日本ダービー制覇を果たした美浦・藤沢和雄厩舎で調教を積み、2017年10月21日に東京競馬場・芝2000mでデビュー。当日は台風の接近もあり、重馬場でのレースとなったが、ゆっくりとしたスタートを切り後方で脚をため、直線ではキッチリと差し切り勝ちを見せた。

圧巻のレースを見せたのは2戦目のシクラメン賞(阪神競馬場・芝1800m)。このレースでもゆっくりとしたスタートを切ると、道中は後方2番手を追走。7頭立てと少頭数ながら1000m通過が59.1秒という流れとなったが、直線に向きルメール騎手がアクションを起こし、大外に持ち出されると他馬とは次元の違う脚色で差し切った。特筆すべき点は、1.45.6というタイム。2013年の東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)でイスラボニータがマークした1.45.9のJRA2歳レコードを更新する走りは、競馬ファンに大きな衝撃を与えた。

500kgを超える大型馬で、飛びの大きい走りはクラシック戦線で大きな期待を抱かせてくれる。しかし、エンジンの掛かりが遅く多頭数のレースや皐月賞が行われる中山競馬場の小回りコースに対応できるかどうかという点において不安が残る。その一方で日本ダービーが行われる東京競馬場・芝2400mに対する適性が高いことをうかがわせる。同馬の次走も、前回のコラムで紹介したダノンプレミアムやワグネリアンが出走を予定している3月4日(日)の弥生賞となっている。今年のクラシック戦線もルメール×藤沢コンビには要注目だ。

粗削りな素質馬 グレイル


グレイルもまた、安平町ノーザンファームの生産馬で2015年3月7日生まれ。父はハーツクライ、母はプラチナチャリス。半兄に2017年のダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)を勝利したロジチャリス、半姉に2017年新潟ジャンプステークス(J・GⅢ)を勝ったグッドスカイがいる。2016年に行われたセレクトセール1歳馬セッションにて6,048万円(税込)で株式会社カナヤマホールディングスに落札された。

所属は栗東・野中賢二厩舎。2017年10月22日に出走したデビュー戦当日は、大雨が降り続き不良馬場での競馬となった。スタート後6番手からレースを進めるが、向正面で鞍上の武豊騎手が外目に持ち出すと3番手まで位置取りを上げる。一団のまま直線を迎え、ジョッキーのアクションに応えると追い比べを制し優勝した。勝ちタイムは2.12.9とかなりの時計を要し、他馬が道悪馬場に苦戦していたが、同馬は全く苦にすることなくしっかりと駆け抜けた。

2戦目のラジオNIKKEI杯京都2歳ステークスでは、道中4番手からレースを進め、タイムフライヤー(前回のコラムで紹介)をガッチリとマーク。直線に入り、引き続き手綱を取った武豊騎手のステッキに反応すると、前との差を詰め先に抜け出していたタイムフライヤーをゴール前できっちりと差し切った。後のGⅠ馬を破ったレースぶりから評価が急上昇している。

グレイルの強みは、好位から自在性のある器用なレース運びができる点だ。初戦、2戦目とも京都内回りコースでのレースではあったが、追い出すと反応よく鋭い脚をつかっていることから、中山コース・東京コース、道悪・良馬場と条件を問わずに走れる万能型だと言えるだろう。ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークスのレース後に武豊騎手が「手前が替わらず、まだ走りがしっかりしていない」とコメントしているように、今後の更なる成長に期待が膨らむ。次走は2月11日(日)の共同通信杯を予定している。

中山コースへの高い適性を見せつける ジェネラーレウーノ


ジェネラーレウーノは2015年1月27日生まれ、日高町の新生ファームの生産馬だ。父は現役時代ジャパンカップを勝利し、種牡馬としてもモーリス、ゴールドアクターを輩出しているスクリーンヒーロー、母はシャンハイロック。2016年の北海道セレクションセールにて3,240万円(税込)で森岡幸人氏が落札、馬主は同氏の法人名義である株式会社Gリビエール・レーシングとなっている。

日高の生産ながらノーザンファームで育成され、同ファーム代表の吉田勝己氏もその素質に太鼓判を押したと言われている同馬は、美浦・矢野英一厩舎に入厩後は調教で好時計を連発し、デビュー前から注目を集めていた。迎えた2017年7月23日に函館競馬場・芝1800mでデビュー。道中は後方3番手からレースを進めるが、3~4コーナーすぎでルメール騎手の手が動きだしても反応は鈍く、そのままの位置取りで直線を迎える。ジョッキーのステッキに応え、残り200mすぎから追い上げたものの3着でゴールした。

3か月の休養を挟み迎えた2戦目の東京競馬場・芝2000mの未勝利戦では、好スタートを切るとそのまま先頭に立ち、初戦とは打って変わり、行きっぷりの良さをみせてそのまま押し切った。続く葉牡丹賞(中山競馬場・芝2000m)でも好スタートを切りハナに立ち、道中は他馬に競りかけられる展開になるが、ハナを譲ることなく直線を迎える。ゴール前シャルドネゴールドの強襲にあうも、ハナ差凌ぎきり2連勝とした。

逃げるレースで好結果を残したことから、引き続き中山競馬場の芝2000mで争われた京成杯(GⅢ)でも、逃げる競馬でどこまでの結果を残せるかが注目されていた。このレースでも外枠から先頭を伺うが、内から先手を主張する馬がいたため離れた2番手からレースを運ぶ。直線で前を捉えるとそのまま押し切る強いレースを見せ、初重賞勝利をマークした。

離れた2番手とはいえ、控えても好走できたのは大きな収穫であるとともに、速い上がりは使えないが逃げてしぶといのが同馬の大きな強みだと言える。タイプ的には皐月賞が行われる中山競馬場がベストの舞台だといえるが、スタミナ豊富で東京競馬場の芝2400mにも十分対応可能だ。レース直後は、次走は皐月賞に直行すると言われていたが、多くの注目馬が集まる弥生賞に出走予定となっている。

このコラムでは、2回に分けて牡馬クラシック戦線で活躍が期待される6頭の注目馬を紹介したが、今年は素質馬が多く例年以上に高いレベルの戦いが繰り広げられるだろう。また前哨戦として3月4日(日)に行われる弥生賞には多数の有力馬が参戦を予定しており、クラシック戦線を占ううえで見逃すことはできないだろう。次回のコラムでは、クラシック牝馬戦線の注目馬を紹介していくのでお見逃しなく!


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