ラチ沿いを通せる器用な先行馬が恵まれやすい
7月6日(日)に北九州記念(GⅢ)が行われる。昨年は開幕週の恩恵を最大限に生かし、ピューロマジックが前半3F32.3秒の超ハイペースで鮮やかな逃亡劇を決めた。近年は毎年のように施行のタイミングが変わっているレースだが、今年は開幕2週目での施行となる。能力、実績で突き抜けた出走馬は少なく、大混戦模様の非常に難解な一戦となった。
以下では、本レースが行われる小倉芝1200mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
まずは小倉芝1200mのコース形態をみる。向正面の2コーナーポケットからスタートし、初角までの距離は約480m。2コーナーが最高地点であり、スタートからの200mは高低差約2mの下り坂だ。その後の3~4コーナーも下り坂でスパイラルカーブ。最後に293mの平坦な直線が待ち構えている。これが今回のコースレイアウトだ。
まず注目すべきは初角までの距離が約480mと長い点、そしてスタート後が下り坂になっている点だ。長く先手争いが続きやすい上に、下り坂でダッシュがつきやすい。スプリント戦ということもあって先行馬がそれなりに揃ったレースが大半で、序盤のペースはかなり上がりやすい。どのクラスでも33秒台前半から32秒台で流れることがほとんどだ。その後の3~4コーナーも下り坂であり、ここでもペースは落ちにくい。
序盤、中盤でペースが流れるにもかかわらず、このコースはペースが緩む地点が一切ない。最終直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくく、馬群が縦長の状態で直線を迎えやすい。加えて最終直線が293mと短く、スパイラルカーブをペースが緩まないまま通過すると先行馬が外に膨らむため、その外々を回した差し馬は距離ロスが大きくなりすぎてしまい、物理的に馬券内まで届きにくい。
したがって、序盤から前目で立ち回り、出来るだけラチ沿いを通した器用な先行馬が惰性で残しやすいというのがこのコースが持つレースの質だ。差し馬の場合、序盤~中盤での追走力が問われる上に、ラチ沿いを追走しイン差しをしてくる形でなければまず馬券内まで届かない。

<小倉芝1200mOPクラス以上 4角通過順別成績>
5番手以内【36-31-27-166】
勝率13.8%、連対率25.8%、複勝率36.2%
単勝回収率153%、複勝回収率100%
※過去10年
この傾向は数字にも表れている。小倉芝1200mのOPクラス以上における4角5番手以内馬の成績は上記の通り優秀だ。開催のタイミングに依らずいい数字が出ており、本レースを考える上でまずテンの速さは意識したい。
ただ、昨年のピューロマジックの逃げ切り勝ちが記憶に新しく、先行馬有利がオッズに織り込まれそうなのも確か。昨年の開幕週施行から2週目に変わる今回、ハイペースをラチ沿いで追走し、イン差しできる馬はそれなりのオッズ妙味を見込める可能性が高い。
まず能力比較をしたうえで各馬のテンの速さを比較し、例年通り先行馬を中心に考えつつも、枠、並び、想定オッズ次第で差し馬にも印を回していきたい。
例年通りハイペース必至の構成
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が9頭と出走馬全18頭に対して多い。その多くが前走と同距離、もしくは距離延長の徹底先行馬であり、前述のコース形態と相まって前半3F32秒台のハイペース必至とみる。
この展開で恵まれるのはやはり序盤から前目で立ち回り、ラチ沿いを通すことができる器用な先行馬で、次点がハイペースをラチ沿いで追走してイン差しできる馬だ。
特に序盤、中盤の追走力は重要で、近走でハイペースを追走できていない馬や距離短縮馬は序盤から置いて行かれてしまいノーチャンスである可能性が高い。この点も踏まえて印を打っていく。
人気を落とすここが狙い目
◎メイショウソラフネ
3走前のタンザナイトSは好位から運びスムーズに追い出す形で0.2秒差の快勝。次走以降OPクラスを勝つソンシ、カルチャーデイ、ジャスティンスカイ、短距離実績確かなバースクライ相手に完勝の内容で、高い能力を示した。4走前のオパールSはハイペースを6番手で先行し0.1秒差2着。勝ち馬(ビッグシーザー)が次走GⅢを勝利するハイレベル戦で、本馬が先着した相手もレベルが高かった。5走前のCBC賞は中京芝の内有利な展開で4頭分外を回し0.2差4着。着順、着差以上に評価できる内容だった。
昨年の4月以降短い間隔で7連戦と厳しいローテーションもあり、近2走は理想の結果が出ていないものの、3~5走前の内容を見れば今回のメンバーでは能力最上位の一頭だ。陣営からも「ひと息入れたのが良かった」というコメントが出ているように馬体面、調教面ともに充実している。また、近走の通過順位以上にテンの速さがあるタイプで、想定されるハイペースも本馬の追走力なら問題ない。
想定オッズ段階では近2走の敗戦で高いオッズ妙味が見込まれる。OPクラス3走連続2着の馬が最上位人気に推されるメンバーレベルであれば十二分に通用するとみて本命を打つ。
◯クラスペディア
前走の葵Sは前半3F33.5秒のハイペースで逃げる競馬。4角6番手以下の馬が1、3、5、6着に来る差し展開で0.1秒差2着と、着順、着差以上に評価できる内容だった。ここでも最上位のテンの速さを持ち、4枠7番の好枠からスムーズに先行できれば簡単には止まらない。
▲ヨシノイースター
安定した先行力と堅実な末脚を使えるのが強み。大外枠に入ったが昨年の高速決着でも外枠から上手く先行して好走していることから、むしろオッズ妙味として受け入れたい。スムーズな追い出しで能力を最大限発揮すれば順当に勝ち負けできる。
△モズメイメイ
3枠5番の絶好枠。近走嚙み合わない競馬が続いているが、昨年同様夏競馬で一変に期待。
×ヤマニンアルリフラ
重賞初挑戦となるが近走内容から能力は上位。斤量減を生かして好位から運べれば。
×ヤマニンアンフィル
1枠1番の絶好枠。本命同様、近走の通過順位以上にテンの速さがあるタイプ。前目から。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。
▽北九州記念予想▽
◎メイショウソラフネ
◯クラスペディア
▲ヨシノイースター
△モズメイメイ
×ヤマニンアルリフラ
×ヤマニンアンフィル
◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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