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母はオークス馬シンハライト、エピファネイア牝馬の大物候補が福島でデビュー 血統で見抜く新馬の力

2025 7/3 17:00貴シンジ
2025年7月5日(土)福島5R出走予定 アランカールの血統分析,ⒸSPAIA
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今週デビュー予定の注目新馬

出走する全馬が初出走となる「新馬戦」は、他のレースと予想のアプローチが全く異なる。調教で能力を見定める方法もあるが、実戦で同様の走りができるかは未知数だ。

従って、血統面からのアプローチが他のレースに比べて格段に有効となる。そこで今回は血統のなかでも“牝系”にフォーカスして、今週デビュー予定の2歳新馬のなかからピックアップした2頭を解説。デビュー戦の展望はもちろんのこと、血統から想定できる潜在能力や将来性についても深掘りしてみたい。


7/5(土)福島5R・芝1800m アランカール

2025年7月5日(土)福島5R出走予定 アランカールの血統分析,ⒸSPAIA



日本での牝祖は祖母シンハリーズ。同馬は競走馬としても優秀で、デルマーオークス(GⅠ・芝9F)を勝利したほか、シーザリオが勝ったアメリカンオークス(GⅠ・芝10F)でも3着と好走した。

繁殖牝馬としても大変優秀で、これまで10頭の産駒がJRAで勝ち上がった。ラジオNIKKEI杯勝ち馬アダムスピーク(父ディープインパクト)やマーメイドS勝ち馬リラヴァティ(父ゼンノロブロイ)、小倉2歳S2着スリーパーダ(父ミッキーアイル)など重賞級も複数輩出している。

そのなかでも、アランカールの母シンハライトはシンハリーズの代表産駒だ。現役時はオークスを制しており、強烈な末脚のイメージが強いかもしれないが、持続力とパワーに長けているのがこのファミリーの特徴だ。サンデーサイレンスのスピードが合わさることによって、日本の芝のスピードにも対応できている。

シンハライトの産駒から重賞勝ち馬は出ていないが、セブンサミット(父モーリス)が芝中距離で3勝している。アランカールは父にエピファネイアを迎えた。スピードだけでなくパワーも持ち合わせた馬で、時計がかかる馬場でも歓迎だろう。シンハリーズの産駒は徐々に良くなっていく馬が多かったが、孫世代では新馬戦からでも動ける血統構成にすることができる。

アランカールも馬体重が軽いこともあり調教は動いている。小柄な分、長距離輸送だけ心配だが、それさえこなせば新馬勝ちの有力候補だ。

<血統から想定できる潜在能力>
・馬場適性:芝
・距離適性:1800~2400m/ベスト2000m
・能力:スピードA/瞬発力A/パワーS/持久力S
・同タイプ:ディアドラ
・特徴:時計のかかる馬場歓迎/パワーと持続性能◎
※持久力=スピードの持続力


7/6(日)函館5R・芝1800m ショウナンガルフ

2025年7月6日(日)函館5R出走予定 ショウナンガルフの血統分析,ⒸSPAIA


日本での牝祖は祖母ミスエーニョ。同馬は現役時デルマーデビュータントステークス(GⅠ・AW7F)を勝利している実績馬だ。産駒にはファンタジーステークス勝ちのミスエルテ(父Frankel)、フラワーカップ勝ちのミアネーロ(父ドゥラメンテ)、フィリーズレビュー勝ちのショウナンザナドゥ(父キズナ)がいて、繁殖としての能力も高い。

米国で繋がれてきたファミリーで、早熟性とスピード性能の高さが特徴。配合次第ではダートでも走れる血統だが、ミスエーニョが芝の実績馬だったことや繁殖能力も高いことから、芝血統がつけられて芝で結果を残している。

活躍馬の共通点は末脚の持続性能が高いことで、本馬は父ハービンジャーだからダートでの活躍は難しいが、持続性能を伸ばす配合になっていて芝での期待が大きい。母ミカリーニョの産駒では半兄メディテラニアン(父サートゥルナーリア)がデビュー勝ちを果たしており、新馬戦向きの牝系で初戦から期待したい一頭だ。

<血統から想定できる潜在能力>
・馬場適性:芝
・距離適性:1800~2400m/ベスト2000m
・能力:スピードS/瞬発力A/パワーA/持久力S
・同タイプ:ベラジオオペラ
・特徴:持続性能とスピード性能◎/早熟性も
※持久力=スピードの持続力


《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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