全兄はジオグリフ
6月最終週となった28、29日の開催で撮影した2歳戦からスポットを当てるのは、29日の福島5Rに組まれた芝1800m・新馬戦を制したロスパレドネス。10年ぶりの福島開催参戦となったC.ルメール騎手を背に鮮やかなデビュー勝ちを果たした。
父ドレフォン、母アロマティコ。顔にある流星の形こそ違うが同じ栗毛の馬体に、木村哲也厩舎×サンデーレーシングと所属も馬主も同じ。募集価格は総額7,000万円(一口175万円、40口)、2022年の皐月賞を勝利したジオグリフの全弟という血統で、デビュー前から注目を集めた。当日は馬体重496kgでの出走となった。
レースは内にモーリア、外にリベッチオと2頭による先行争いが激しくなり、スタートから後続に4馬身ほどのリードをつける展開。隊列は縦長となり、最終的にモーリアがハナを奪い切った2角までの序盤600mは35.6(12.8-10.8-12.0)と新馬戦としては速い流れとなったが、ロスパレドネスは激しい先行争いを尻目に6番手を追走する。
3角から少しずつ鞍上が促して前へと迫っていき、直線に向いたところでは前にいた5頭が横に広がる形となったなか、大外へと持ち出されると一気にかわし去って先頭へ。最後までノーステッキのままで後続に2馬身差でゴールした。
2人曳きでパドックに入場してから返し馬まで終始馬っ気を出していたが、レースになると集中力を切らすことはなかった。勝ちタイム1:49.5は夏の福島開催における芝1800m戦・新馬戦においては2017年にノームコアが記録した1:49.1に次ぐ好記録だった。
前半から流れていたこともあるが、前記の600m通過以降も12.6-12.6-12.2-12.4-12.1-12.0と最後までペースは緩まず、レースはスピードの持続力が求められる展開。3角から鞍上が促しつつだったが、新馬戦としては厳しい流れのなかでもゴール前は流す余裕もあり、ラスト3Fを加速ラップでまとめた点からもここでは能力が違ったという印象だ。
その一方で、瞬発力が求められる展開になったときにどうかなど、このレースだけでは未知数な部分もある。難なく対応できるようであれば重賞でも活躍の場は広がっていきそうだ。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)