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パワーのジオグリフ全弟VSスピードのキャンベルジュニア半弟、夏の福島で激突 血統で見抜く新馬の力

2025 6/26 17:00貴シンジ
2025年6月29日(日)福島5R出走予定 ロスパレドネスの血統分析,ⒸSPAIA
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今週デビュー予定の注目新馬

出走する全馬が初出走となる「新馬戦」は、他のレースと予想のアプローチが全く異なる。調教で能力を見定める方法もあるが、実戦で同様の走りができるかは未知数だ。

従って、血統面からのアプローチが他のレースに比べて格段に有効となる。そこで今回は血統のなかでも“牝系”にフォーカスして、今週デビュー予定の2歳新馬のなかからピックアップした2頭を解説。デビュー戦の展望はもちろんのこと、血統から想定できる潜在能力や将来性についても深掘りしてみたい。


6/29(日)福島5R・芝1800m ロスパレドネス

2025年6月29日(日)福島5R出走予定 ロスパレドネスの血統分析,ⒸSPAIA



母は現役時代に芝中距離路線で活躍し、JRAで通算6勝を挙げたアロマティコ。重賞勝ちこそないが、エリザベス女王杯(GⅠ・芝2200m)3着などの実績をもつ。

この母の産駒は6頭が中央で出走、うち5頭が勝ち上がり。複数勝利をあげている馬も多く、ロスパレドネスは皐月賞馬ジオグリフの全弟にあたる。

このファミリーといえばインティライミがいるが、特にラブリーデイを皮切りに一気に活躍馬が増え始めた印象だ。牝系の特徴として挙げられるのは豊富なスタミナ。ドレフォン産駒のジオグリフが中距離路線で活躍できているのは、牝系による支えがあるからだろう。

本馬は体形を見ても全兄とよく似ていて、将来的にはダート転向もできそうだが、現時点では芝の中距離向きとみる。仕上がりの早い傾向のあるファミリーで、新馬戦から勝ち負けを期待したい一頭だ。

<血統から想定できる潜在能力>
・馬場適性:芝
・距離適性:1800~2400m/ベスト2000m
・能力:スピードB/瞬発力B/パワーS/持久力S
・同タイプ:ジオグリフ
・特徴:パワーがあり時計のかかる馬場も歓迎。機動力・スタミナ十分
※持久力=スピードの持続力


6/29(日)福島5R・芝1800m パッセージピーク

2025年6月29日(日)福島5R出走予定 パッセージピークの血統分析,ⒸSPAIA


同じ日曜福島5Rからもう一頭、上位人気が予想されるパッセージピークも取り上げたい。

母メリートはオーストラリアのTJスミスSをはじめ、スプリントGⅠ・2勝の実績馬。半兄キャンベルジュニアは京王杯スプリングC2着の実績を持ち、母の活力が重賞級であることを既に示している。

また、4代母Summonedからは芝1000~1600mのGⅠで計5勝を挙げてオーストラリアの最優秀3歳馬に輝いたZeditaveが出るなど、ファミリーとしての勢いも活発だ。ほかにも、いとこにはブルーダイアモンドS(GⅠ/芝6F)で2着に入ったPariahもいて、芝短距離に特化した牝系と言っていい。

半兄キャンベルジュニアはSir Ivorの影響もあり、若駒のころはしなやかな走りで芝中距離路線を中心に活躍を見せたが、古馬になってからは牝系の影響が出てスプリント路線にシフトした。

本馬は父アドマイヤマーズで、HaloがSir Ivorを引き出す形になっておりスピード性能が高い。体形的にはキャンベルジュニアより胴部が長くゆったりとした造りで、2歳のうちは中距離でも走れるが、本質的にはマイル以下がベストになるだろう。

ダイワメジャー×デインヒルの配合も相性が良く、ゆくゆくはNHKマイルCまで駒を進めてもらいたい。ゆったりとした新馬戦特有の展開になれば、ロスパレドネスとも良い勝負が期待できる。

<血統から想定できる潜在能力>
・馬場適性:芝
・距離適性:1200~1600m/ベスト1600m
・能力:スピードS/瞬発力S/パワーA/持久力B
・同タイプ:メジャーエンブレム
・特徴:スプリント戦でも通用するスピード
※持久力=スピードの持続力


《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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