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【ラジオNIKKEI賞】パンサラッサら過去の穴馬に共通点あり 傾向合致の注目馬2頭

2025 6/26 06:00坂上明大
ラジオNIKKEI賞の傾向と血統,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

傾向解説

3歳限定のハンデ重賞・ラジオNIKKEI賞。出世が遅れた素質馬たちが秋に向けて賞金加算を狙う一戦ではありますが、小回りの福島芝1800mで行われるハンデ戦だけに一筋縄ではいかないのも本レースの特徴。本記事では血統面を中心に、ラジオNIKKEI賞のレース傾向を整理していきます。

最初に取り上げたいデータは前走距離別成績。過去10年では、前走芝2000m以上の複勝回収率は113%と優秀で、距離短縮馬をベタ買いするだけでプラスになるのが本レースの大きな特徴です。

これは3歳春の牡馬クラシック路線が芝2000m以上を中心に大レースが組まれているため、当然芝2000m以上のレースレベルが高く、当レースでの好成績に繋がっています。特に前走オープン組は信頼度が高く、前走で芝2000m以上のオープンクラスに出走していた馬には要注目です。

ラジオNIKKEI賞(過去10年),ⒸSPAIA


<前走芝2000m以上の成績>
該当馬【5-7-6-43/61】
勝率8.2%/連対率19.7%/複勝率29.5%/単回収率49%/複回収率113%
※過去10年

また、ラジオNIKKEI賞は2回福島開催の開幕週に行われるため、内の先行馬が有利になりやすい点も大きな特徴。雨が降った場合は考慮する必要がありますが、基本的には内枠や先行馬に有利なレースといえるでしょう。

ラジオNIKKEI賞(過去10年),ⒸSPAIA


<今回1~3枠かつ前走初角2番手以内の成績>
該当馬【4-1-1-8/14】
勝率28.6%/連対率35.7%/複勝率42.9%/単回収率284%/複回収率148%
※過去10年

血統面ではヨーロッパの主流血統であるNureyev≒Sadler's Wellsに注目。血統以外におけるポイントの重要度が高いレースではありますが、前半1000m58〜59秒台の引き締まったラップを刻むことが多いため、日本的な瞬発力よりも欧州的な底力が輝く舞台という点も忘れてはいけません。

近年では2020年2着馬パンサラッサ(7番人気)や2021年1着馬ヴァイスメテオール(4番人気)、2024年1着馬オフトレイル(6番人気)などNureyev≒Sadler's Wellsの増幅形で穴を開ける馬も多く出ています。

ラジオNIKKEI賞(過去10年),ⒸSPAIA


<血統別成績>
Nureyev【8-3-3-35/49】
勝率16.3%/連対率22.4%/複勝率28.6%/単回収率137%/複回収率87%

Sadler's Wells【2-3-3-21/29】
勝率6.9%/連対率17.2%/複勝率27.6%/単回収率38%/複回収率117%
※過去10年

注目血統馬2頭

この章では前章で取り上げたレース傾向に合致する、注目血統馬を2頭ピックアップ。血統面を中心に解説していきます。

☆フクノブルーレイク
3代母エリモエクセルは1998年のオークス馬ですが、牝系の活力は今一つ。ただ、母ブルーエクセルがトライマイベスト=El Gran Senorの5×4、本馬がNumber≒Nureyevの5×6を持つ点はなかなか見どころがあり、配合のバランスも整っています。

ウインブライト×ロードカナロアの晩成血統で本当に良くなるのは秋以降でしょうが、福島記念を制している父と同様に、福島の芝中距離戦は得意条件のひとつでしょう。レース傾向に合致する前走皐月賞組(GⅠ、芝2000m)という点からも中心視せざるを得ない実力馬です。

☆ショウナンマクベス
母ウインフロレゾンはシャトーブランシュ(2015年マーメイドS)の半姉で、近親にはイクイノックスなどがいる一族。リオンディーズ産駒の本馬はNureyev≒Sadler's Wellsの5・4×5やサンデーサイレンスの4×3などを持つバランス型の中距離血統で、ラジオNIKKEI賞適性も水準以上の好配合馬です。

また、父リオンディーズは距離延長への対応力が低く、200mの延長ローテだった前走のプリンシパルS(リステッド競走、芝2000m)では折り合い面でひと苦労。1800mへの距離短縮となる今回はローテーション面も“買い材料”となりそうです。

ラジオNIKKEI賞の傾向と血統,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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