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【宝塚記念】大阪杯好走馬に割引データあり グランプリ連覇を目指すレガレイラを推奨

2025 6/10 17:00貴シンジ
宝塚記念 主な前走レース別成績(過去10年),ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

15日に阪神競馬場で行われる宝塚記念について、下記3つのファクターを組み合わせるコンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

今回は特別登録のあった18頭を検討対象とし、データは過去10年分を使用する。


重要データ:前走レース別成績

前走レース別成績,ⒸSPAIA


宝塚記念は春のGⅠシリーズ総決算。暮れの有馬記念と並び、中長距離GⅠの最高峰とされるグランプリレースだ。

非根幹距離(400mで割り切れない距離)かつ内回りコースと一見荒れそうな要素もあるが、実はレース全体の単勝回収率は57%、複勝回収率も80%に留まり、荒れにくいレースに分類される。

前走レース別成績を見ると、天皇賞(春)が【3-3-3-30】で単勝回収率63%、複勝回収率101%と上々の成績だ。なかでも一桁着順だった馬は【3-2-3-26】となり、単勝回収率は72%まで上昇してレース全体の回収率を上回る。今年の登録馬ではジャスティンパレス、シュヴァリエローズ、ショウナンラプンタが該当する。

ただし、今年の天皇賞(春)は1、2着と3着以降の馬で着差が開いており、宝塚記念に出走する3頭はいずれも3着以下。この取捨はよく考える必要がありそうだ。

続いては大阪杯。こちらはGⅠ昇格後の成績が【2-3-2-19】で単勝回収率50%、複勝回収率74%をマーク。今年は勝ち馬ベラジオオペラ、2着ロードデルレイを筆頭に多数の馬が参戦を表明している。

ところが、過去の勝ち馬2頭はクロノジェネシスとサトノクラウン。両馬はいずれも大阪杯時の馬体重が479kg以下だった。今年の大阪杯で好走したベラジオオペラとロードデルレイはいずれも500kg超えという大型馬。ベラジオオペラは昨年も大阪杯勝利から宝塚記念に挑んで3着に敗れていることも頭に入れておきたい。

続いてはドバイシーマクラシック。こちらは【2-1-1-6】で単勝回収率31%、複勝回収率59%だが、過去の連対馬3頭はいずれも前走で連対していた。今年同レースから参戦するドゥレッツァは前走3着で、好データには合致しない。

このほか、過去に勝ち馬を輩出しているレースでは鳴尾記念【1-1-0-16】や目黒記念【1-0-1-15】、QE2世C【1-0-0-6】が挙がるが、今年の登録馬に該当馬はいなかった。


前走内容:レガレイラの有馬記念

過去10年では例のない「前走・有馬記念」から挑むのが、4歳牝馬のレガレイラだ。

昨年の有馬記念は5F通過62秒9のスローペースで、勝ち時計は2分31秒8。馬群は一団で進み、器用さと瞬発力が求められたレースだった。

レガレイラはスタートで躓いたものの、二の脚でカバーして先行集団にとりついた。もともと器用なタイプでトリッキーな中山コースにもしっかり対応。4コーナーもロスなく回すことができていた。

勝負所で外から一気に上がってきたシャフリヤールに一度は前に出られたが、直線で戸崎圭太騎手のゴーサインに反応すると内から一気に加速して差し返すという強い内容。2歳暮れのホープフルSを制して以降、明け3歳シーズンは苦しい戦いを強いられていたが、年末にその悔しさを晴らしたといえるだろう。

有馬記念のパフォーマンスから、宝塚記念の阪神内回りコースへの対応は可能とみる。真ん中より内側の枠を引ければ、今回も勝ち負けになりそうだ。


血統解説:レガレイラ

レガレイラの血統表,ⒸSPAIA


・レガレイラ
日本での牝祖は3代母ウインドインハーヘア。ディープインパクト、ブラックタイドなどを輩出している名繁殖だ。

母ロカは新馬戦(京都芝1800m)の1勝しか挙げることができなかったが、キャリア2戦目の阪神ジュベナイルフィリーズで1番人気の支持を受け(8着)、クイーンC(GⅢ/東京芝1600m)でも3着と好走するなど仕上がりの早い一頭だった。

このファミリーは持続性能とスタミナに優れたタイプが多く、本馬も父スワーヴリチャードからスタミナがより強化され、3歳牝馬ながら有馬記念を勝利した。

ストライドが広く、大きいコースが向きそうにも思えるが、しなやかな切れ味が武器で、直線が短い内回りコースでもすぐにトップスピードに持っていくことができる。有馬記念の走りは想像以上に競馬センスを感じさせる内容で、同様の走りができれば宝塚記念でも面白い存在になるだろう。


Cアナライズではレガレイラを推奨

今回のCアナライズではレガレイラを推奨する。

故障明けの今年初戦とあって、ベラジオオペラやロードデルレイといった大阪杯上位組に比べると人気は手薄になりそう。とはいえパフォーマンスだけを考えれば決して劣ることはなく、仕上がり次第で十分買える一頭だ。

有馬記念から宝塚記念というローテーションは過去10年のうちに例がなく、データ外にはなるが本命候補として注視したい。

《ライタープロフィール》 
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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